ページビューの合計

PV数

←ブログ全体のPV数(2017/8~)

2026年4月29日水曜日

素手でコリドラスを追いかけまわした結果、激痛・悶絶そして反省

激痛・悶絶!! コリドラスに刺されたあの日

小さな熱帯魚のコリドラス。丸い目にのほほんとした顔、愛らしい姿を見ているだけで、つい笑顔になってしまいますよね。
でも、そんなかわいらしい彼らには、ちょっと意外な秘密が隠されているんです。見た目からは想像もつかないその一面に触れると、きっと「えっ、そうなの?」と驚きながらも、彼らを扱う時に用心するようになるはずです。
とにかく、コリドラスの毒にはご注意を!!


**********************************


これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

陰性植物水槽改め、新生コリドラス水槽は今日も静かにたたずんでいる。
田砂の白い粒がライトを反射し、壁にうっすらと水影を作り、湧き水用に組んだパイプの先では小さな砂粒たちが元気よく踊っていた。
「準備は整った。あとは、主役を迎え入れるだけ」
意中の子は、もう決まっている。コリドラス・アエネウス。
愛嬌のある丸い顔に、少し渋さを感じさせる黒い背中。あのコントラストに、わたしはずっと惹かれていたのだ。



コリドラス水槽を作る時に起きた悲劇


ゴム手袋の意味

そのアエネウスを見つけたのは、まさかの場所だった。
小さく古いペットショップ。近所のスーパーに併設されている。
子どものころ、インコを何度か買いに行った思い出の店だ。まさかそこで、今になって熱帯魚を迎えるとは。人生は本当に予想できない。
バイトの女性が分厚い手袋で苦戦しながらも、3匹を丁寧に袋へ入れてくれる。
その袋がわたしに手渡った時、彼女は自身の奮闘ぶりを苦笑いしてみせた。
「しっかり頼むぞ」
そう言われた気がして、こちらとしても身が引き締まる思いだ。
小走りで家へ戻り、水合わせを開始。
およそ30分。
待つ時間さえも楽しい。
これが終わるころには、きっとお師匠様も来てくれるだろう。



コリドラス捕獲大作戦

師:「お邪魔します♪」

私:「随分時間が掛かったんですね?」

師:「見てくれよ、この靴? いくら運動靴だからって酷い有様でしょ?」

私:「また農場で実習ですね?」

師:「そうなんだよ。それじゃあ、早速お魚を水槽へ移していこうよ!」

――しかし、これが惨劇の序章だとは、その時は思いも知らなかったのである。

バシャ!!

「あぁ……逃げちゃった」

師:「あはは!」

バシャバシャ!!

私:「うーん……捕まらないなぁ」

師:「んふふ♪ 右に左にすばしっこいでしょ? ナマズの仲間だからね」

私:「そうなんです。それに、グレーのバケツにアエネウスの色では、なんだか分かりづらいですね?」

師:「あぁ、それね! 彼らは今、新しい環境についたばっかりなんだ。だからほら、色も白く飛んでるでしょう?」

私:「ほんとだ……。あの黒く輝く背中が、グレーみたいな、薄い鉛色みたいな……不思議な色になってる」

師:「上手くカモフラージュして、キミから逃げているともいえるね。にひひ。」

私:「とは言え、このまま追いかけまわすのは良くないような気がします」

師:「まぁ、そぉだねぇ……。だから、ここはひとつバシっと捕獲してくれよ?」

私:「そう言われても。あっ……そうだ!」

師:「お? どうしたんだい?」

私:「こうやって左手で追い込みつつ……」

師:「えぇぇぇえ!?」

私:「これなら……いけるはず!」

師:……あ、待って

左手をバケツに突っ込み、ネットで挟み撃ちするように追う。両手の効果は絶大で、早くも一匹が角に追いつめられた。

――しめた、今しかない!!

ネットで誘導しつつ、手でそっと拾い上げようとすると、隣から悲鳴に似た声が上がる。

師:「わぁ! ちょっと待った待った!!」

が、今を逃せば元の木阿弥。彼女の声など気に留めることなく、左手を被せる。
その瞬間だった。

――チクッ。

私:「へっ?」

と、言葉が出たすぐ後に――

私:うぉお! イッターーーッ!!

猛烈な痛みがやってくる。
悲鳴とも叫びともつかない声が、6畳の小部屋に響いた。



激痛に悶絶!?

赤熱したかぎ針を無理やり刺し込まれたような激痛が、左手を駆け抜けていく。
あまりの痛さに呼吸が乱れ、患部を抱え込むようにしてしゃがみ込むと、意識が遠のき、目の前がかすむ。

師:「あぁ! ちょっと待っててね!」

お師匠様は焦りを押し殺した声を出すと、素早く部屋を離れた。
わたしは咄嗟に左手首を押さえつけ、痛みがこれ以上腕に上がってこないように必死に堪えた。ジンジンと脈打ち、冷汗が背中をつたう。こんな激痛、経験したことがない。
汗がポタポタと床に垂れ、シミができる。

まさかこんな目に遭うなんて。

地獄のような苦しみに苦悶していると、お師匠様が戻ってきた。
彼女が置いたのは、水の張られたタライだった。

私:「う゛ぅ……」

師:「さぁ手を!」

私:「……う゛?」

師:「とにかくこれに手を!」

私:「あ゛い゛」

師:「早く!」

チャポン♪

私:「……ん゛?」

師:ちょっと熱めのお湯さ。ここにしばらく浸けていれば、多少は良くなるから」

私:「あ゛あ゛あぁ……」

師:「どうだい?」

私:「なんだか、冷汗が引いてきた気がします」

師:「でしょう?」

私:「それでも、まだ手全体がピリピリと痺れるような痛みがあります」

師:「しばらくの辛抱だよ?」

私:「うう、いったい何が起きたんでしょうか……?」

師:コリドラスの毒だよ。背びれにある棘条(きょくじょう)――針の部分にね、毒があるんだ」

私:「棘条……?」

師:「うん。背びれ以外にも胸びれに持ってる子もいるよ。危機を察知すると針を立ててね、うかつに手を出すと刺さっちゃうんだよ」

私:「あんな小さな体で、キュートな顔つきをしているのに?」

師:「あぁ、そうなんだ」

私:「そんな武器を持っているだなんて。なんて考えもしませんでした」

師:「そうだよねぇ~。でも、タンパク質の毒だからさ、ちょっと熱めの湯につければ失活して、多少は和らぐはずさ」

私:「そうなんですね?」

師:「まぁ、すぐには治らないと思うけどさ」

私:「あ……あぁ、一応治るけど時間がかかるタイプの毒なんですね?」

師:「そうだね。たぶん1週間は痛むかなぁ」

私:「へぇっ? 一週間も!?」

段々と落ち着きを取り戻してきたが、それでもズキズキする指は、わたしの心を沈ませる。まさか、可愛いコリドラスにこんな痛い目に遭わされるとは。

師:「窮鼠猫を噛むだね」

私:「はい?」

師:「とにかく、相手は生き物さ。緊張してるときは、無理に追いかけちゃだめだよ?」

私:「コリドラスって……危険な魚なんですか?」

師:「いやいや、普段はとっても温和だよ。ただ、今日は新しい環境だしね。必死で身を守ろうとしてたんだと思う」

タライの水面を見つめた。アエネウスたちは、悪気があったわけじゃない。
そう理解すると、不思議と痛みよりも、申し訳なさが胸に広がっていった。



それから……

新しい水槽がわが家に完成した。
水草が揺れ、湧き水の気泡が絶え間なく上昇していく。その中をアエネウスたちがゆっくり泳ぎ、時折砂をつつく。その姿を眺めているだけで、指の痛みは少しだけ報われる気がした。

とはいえ、少なくとも2週間は左手が本当に痛かった。
授業はチクンとした痛みに納屋され、実験の操作に支障が出るほどだ。
だが、あの子たちが悪いわけじゃない。驚かせたのは、わたしのほうだ。

夜、ライトが消えた後、共用になった「ひかりクレスト キャット」を水槽に落とすと、アエネウスたちは興味津々で寄ってくる。ひとかじりすると、ビクッと体を震わせて止まる。そのぎこちない仕草が可愛らしくて、わたしはつい見惚れてしまうのだ。

もちろん、隣の水槽のポリプテルスも、落ちてきた餌を大きな口で「ハングハング」と嬉しそうに食べてくれる。

――これは最高だ。
手をさすりながら、己の愚かさをしみじみ思い返す夏の夜だった。



まとめ

コリドラスはとても小さくて愛らしい熱帯魚ですが、実は意外な一面を持っています。それが「毒」です。

え、かわいいのに毒!?

と思うかもしれませんが、安心してください。これは人を襲うものではなく、あくまで防御のためのものです。コリドラスの背びれや胸びれには、棘条(きょくじょう)と呼ばれる針状の部分があり、ここに微量のタンパク質系の毒が存在します。危険を感じると、この針を立てて身を守ろうとするのです。

この針に触れると、びりびりとした痛みや、ピリピリとした痺れを感じることがあります。熱帯魚に慣れている人でも、初めて刺されると驚くかもしれません。ただ、この毒は強力なものではないので、命の危険はありません。ぬるま湯につけるとタンパク質ゆえに毒が失活し、症状を和らげることもできます。とはいえ、1週間~2週間程度は痛みが続くことがあるので、小さいからと侮るのはやめましょう。

毒の存在を知っておくことは、生き物と対峙するうえで極めて大切なことです。
特に水槽の掃除や魚の移動のとき、無理に手で触ろうとすると刺される可能性があります。ネットで掬えば安全に扱えますし、魚にも余計なストレスを与えません。
かわいらしい姿の裏に、こんな小さな武器があると思うと、ますます愛着が湧いてしまいますね(え?。



2026年4月22日水曜日

湧き水水槽を作るつもりが、大きなクレーターを作ってしまった君へ

湧き水のはずが蟻地獄?

水槽の底からそっと湧き出す水の動きって、不思議と目を引きますよね。でも、見た目の美しさの裏には、ちょっとした工夫や注意点が隠れています。勢いの強さや砂の厚み、配管の向きひとつで、水槽の景色も魚たちの暮らしやすさも大きく変わるのです。


**********************************


これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

今回は、コリドラスの湧き水水槽を楽しむうえで知っておきたい、ちょっとしたコツや気をつけたいポイントをやさしくストーリーでまとめてみました。

30cmキューブハイタイプ水槽の前にそっとしゃがみ込む。
思えば、この水槽は失敗の連続だった。

一目惚れしたこの水槽は、紆余曲折を重ねてきた勉強の相棒でもある。発酵式ではあまりのメンテの煩雑さから小型ボンベ式に浮気し、バコバはソイルの扱いがよくわからず腐海に沈み、そしてヘアーグラスは黒ひげの扱いを知らず黒ひげに占領された。

何度も諦めかけたし、いくつもの小さな挫折を経験した。正直に言えば、この水槽を丸ごと捨ててしまおうと心が折れそうになったことだってある。

それでも今、この水槽はマツモがふわりと揺れ、アヌビアス・コーヒーフォリアの淡い新芽が葉をひっそりと広げつつある。小さな世界だが安定を取り戻し、それがたまらなく嬉しくて、そっとガラスに手を添えたくなるのだ。


2026年4月15日水曜日

コリドラスを飼育するなら水槽に敷いておきたい田砂の話

癖はあるものの、コリドラスがいるなら使いたい「田砂」

水槽の底で小さな魚たちがモフモフと砂をほじくる姿に、つい見入ってしまったことはありませんか?

その光景を支えているのが、実は田砂という底砂です。粒の細かさや適度な比重、丸みを帯びた形状が、コリドラスたちの自然な行動をそっと支えてくれます。

今回は、そんな田砂の魅力や扱い方のコツを、ストーリーで紹介したいと思います。


**********************************


これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

壁のように棚に並んだ水槽は、心地よい水音と特有の水の匂いが混じり合い、熱帯魚店特有の密林のような雰囲気を生み出している。湿気を帯びた空気の中で無数にゆらめく魚体は、どれをとっても本業にしていなければ実現できない光景であり、水槽マニアにとっては垂涎の的である。

今日も通い詰めているいつもの店に来ているのだが、最近はとある魚を好奇心の対象にしている。コリドラスだ。

最初のきっかけは単純だった。ポリプテルスに与えているキャットの餌は、コリドラスも大好物だという些細な話だった。だが、それを知ったうえで改めてショップの水槽をのぞくと、その存在は胸をつかむような愛着へと変わっていた。

つぶらな瞳で底砂をほじくり、モフモフと餌を探す姿。
これほど可愛い生き物はいるのだろうか?


2026年4月8日水曜日

みんな大好きエーハイムメックは生物ろ過もできる物理ろ材なのか?

エーハイムメックは生物ろ過ができる物理ろ材

エーハイムメックは、水槽の中で静かに揺れる白いリングです。見た目は普通のセラミックろ材ですが、多孔質ではない、のっぺりとした見た目をしており、「これ、生物ろ過にも使えるの?」と思わせる、不思議で奥深い魅力を持ったろ材です。

今回は、そんなエーハイムメックについて紹介したいと思います。


**********************************


(これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語)

薄曇りの放課後、夏の暑さを避けるように影を選びながら向かうのは、いつものアクアショップ。気になる存在があるのだ。

エーハイムプロフェッショナル2222。

衝動買いではないといえば嘘になる。しかし、購入するには理由がある。45cm水槽のろ過能力強化が喫緊の課題であることと、そして圧倒的な値引きだ。
どういうわけか1万円以上値下げされた販売価格であり、これを逃すわけにはいかないとわたしの勘が訴えかけてくるのだのだ。


2025年11月28日金曜日

脱窒はともかく、シポラックスは生物・物理両方できる優秀ろ材

脱窒はともかく、そのオールマイティー性は抜群

「シポラックス」という名前を聞いたことはありますか?
一部では“脱窒ができる”とも言われている、ちょっと話題のろ材です。実際のところは議論もありますが、その多孔質な構造と大きめのリング形状のおかげで、生物ろ過にも物理ろ過にも使える万能タイプとして人気があります。

今回は、そんなセラ社のシポラックスについて、ストーリーでレビューをお届けします。


**********************************


これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

寝付けぬ夜、薄暗い部屋にはPCの青白い光だけが滲んでいた。
熱帯夜。冷却ファンの爆音が枕元を満たすなか、わたしはいつまでたっても眠れないでいた。仕方がないので、さっき落としたばかりの電源を入れ直し、ネットの情報を漁ることにしたのだ。

睡魔と物欲が交錯し、苛立ちながら次々とページを飛び回っていると、ふとした言葉にわたしは思わず眉をひそめる。

脱窒ができるかもしれないろ材」

――んなバカな!



夢のろ材の現実での使い心地


脱窒という夢

だが、マウスを動かす手は止められない。

事実を拡大解釈した虚構が入り混じるこの界隈、今まで幾度もキャッチコピーに心を奪われ、箱の中身で現実を思い知らされてきた。だが、それでもその言葉の響きがどうにも脳裏にちらつく。わたしのアクアリウム魂をくすぐってくるのだ。

検索を重ねるうち、“セラ”という会社の“シポラックス”というろ材に辿り着いた。なんでも、宇宙空間でのメダカの産卵実験にまで使われたらしい。
まるで都市伝説のような話だ。

……でも、ここまで調べてしまうと、ますますシポラックスが気になって仕方がない。
そうなると、答えをくれるのは、あの人しかいない。

そう、お師匠様ことロゼッタに相談だ。
ペンスタンドから一本取り出し、傍らに落ちていた講義のプリントに、殴るように名前を書き留める。

そのろ材との出会いは、むせかえるような湿度と爆音に満ちた夜の出来事だった。



守備範囲広し!

真夏の夕方。サークル棟の周囲は、ヒグラシの鳴き声に満たされていた。
大都会のベッドタウンに、これほど自然の音が響く場所があるとは思わなかった。

この大学は少し特別だ。園芸、環境保護、動物、微生物といったあらゆる生物系がそろっており、そのための実習用に大きな庭園が設けられている。
といっても、いわゆる整えられた庭ではない。木々は手つかずで生い茂り、草は野生のように伸び放題。そこにある植物はもちろん、鳥や昆虫、時には四足歩行の哺乳類まで住みついており、それらすべてが教育の題材になっている。

……そんなキャパスに集まる面々といえば、生物オタクばかり。
わたしも、お師匠もその一人だ。

その庭を駆け抜けた風が、バルコニーに吹き抜けると、緑の匂いがほんのりと漂う。4限終わりのベンチで一人、缶コーヒーを片手にぼんやりしていると、黒髪をなびかせてロゼッタが歩み寄ってきた。

夕日に照らされた白い肌が赤みを帯び、切れ長の瞳がわたしを見るなり、いつものように軽くウィンクをしてくる。だからといって、特別な意味はない。
今日も道楽の話をする、ただの合図である。

「さて、今日はシポラックスの話だね?」
「そうなんです。脱窒ができるって……」

まぁ、それが機能するかどうかは定かではないよ?
「……ですよね?」

いきなりだが、肩の力が抜けた。
深夜のあの高揚感はいったい何だったのだろう。思わず笑ってしまう。だが、アクアリウム界隈はいつだってこうだし、もう慣れっこだ。

そして、お師匠はにこやかに続けた。

「その話は、ボクが知る限り二十年前から言われているんだ」
「え!? じゃあ、けっこう信憑性のある話なんですね?」

彼女は首を振る。

「とても実感できるものではないけどね? 事実としてはそうなんじゃないかな?」
「実感? ということは、もしかしてお師匠様は使ったことがあるんですか?」

「もちろんだとも。脱窒ができるかどうかはいつも議論になるけど、それは別として、生物ろ過と物理ろ過の両方に使える便利なろ材なんだ♪

その言葉に、胸が少し高鳴った。

「つまりだね、ろ材そのものはガラス製の多孔質構造でできている。これは生物ろ過に向いているし、その形状は直径数センチのリング状だから……

「目が粗く、通水性がいいから物理ろ過にも向いている、というわけですね?」
「その通り!」

「なるほど。それに、生物ろ材と物理ろ材、両方の特徴をあわせ持つろ材って、ずいぶん珍しい気がします」

ロゼッタは嬉しそうに頷いた。

「でしょう? エーハイムのメックもセラミック製ではあるけど、多孔質じゃないからね。シポラックスみたいに両方こなせるのはちょっと珍しいかな」

「でも、気になるところもあります。さっき“ガラスろ材”って言ってましたよね? それって安っぽいイメージですけど?」

「あはは! でも値段はセラミック並みだよ」

「そんなに高いんですか?」
彼女は何も言わず、にんまりと笑った。
その笑みがすべてを語っていた。

「もっとも、値段と性能が比例していないのが、この趣味の世界だからね。値段で全てをはからないようにね?」



どこで何をさせるのか?

沈む夕日が、庭園の池に赤い筋を落としていた。
空気は湿り気を帯び、セミの声がいっそう近くに響く。

「それで、値段や脱窒、特徴とかはともかくとして──実際に使ってみた感想はどうだったんですか?」
「うーん、ものは悪くないんだけど、現実的に“どこで使うか”が難しいんだよね」

わたしは首を傾げた。

「どこでって……?」
生物ろ過に向いてるけど、物理ろ材のようにサイズが大きい。だから、フィルターのどの層に入れるか、いつも悩むんだ

「フィルターケースの吸水側か、排水側かってことですか?」
「そう、それ。排水側、つまりパワーヘッド付近に入れれば詰まりにくくなるけど、生物ろ過としては中途半端になる。明らかにね」
「……やっぱりリングろ材は、積み重ねた時の目がちょっと粗すぎますし、いくら多孔質で表面積を確保してあるといっても、中空ですもんね」

「そうそう。空間があるぶん、詰め込めないから、嫌う人もいると思うよ」

すっかり姿を見せた月に目をやりながら、お師匠はふうと息を吐き、噛みしめるように語り続けた。

「それに、生物ろ材って他にもいろんな種類があるでしょ? メーカーも多いし、群雄割拠なんだ」
「なるほどぉ」

「でもさ、生物ろ材って、実のところ効能があやふやじゃない? だから、“これだけが良い”って言い切れる特徴がないとね」

――それが、もしかしたら脱窒なのかもしれない。けれど、彼女が開口一番で否定したところを見ると、体感的にはそれを当てにできないらしい。

「であるなら、吸水側に置いて、物理ろ材として使うのはどうでしょう?」

そうだよね? ボクとしても、その方がお勧めかな。生物ろ過もできる“物理ろ過”としてね
「でも、もしプレコ水槽で使ったら、木くずでせっかくの多孔質が詰まっちゃいそうですね?」

わたしの疑問に、お師匠は小さく笑った。

「まぁ、そんなことが起こるのはプレコ飼育くらいだからさ。それを踏まえても、生物ろ過もできる物理ろ過としては、かなり優秀だと思うよ。だって、プラスチックろ材はもちろん、エーハイムメックだって多孔質じゃないんだから」

彼女の横顔に、夕日がわずかに差した。

「なんとなく分かってきました。オールマイティーだけど、だからこそ使いどころが難しいろ材なんですね」
「あはは、そういうこと。それで悩むのが、アクアリウムの楽しみ方でもあるんだけどね」

風が一度、二人のあいだを通り抜けた。
ヒグラシの声が遠くで続く中、ロゼッタの瞳が夕日に照らされ、金色に光っていた。



オールマイティーだからこそ

結局、なんでもできるろ材なんだから、好きなように使うのが正解かもしれませんね?
「そうだとも。“専用”という言葉に慣れすぎた現代人には、自由すぎる道具は扱いづらいのかもしれない」

その言葉に、わたしは小さく頷いた。
なるほど――なんでもできることが、かえって迷いを生むのだ。

しばらく考えた末、わたしは決めた。
2213の一番下に、シポラックスを入れてみよう。
木くずが多少詰まるかもしれない。
けれど、上段のサブストラットが詰まりにくくなるのなら、それでいい。
こうして、プレコ水槽のメインフィルターのろ過槽に、新しい試みが一つ加わることになった。

これにより、わが家のプレコ水槽のフィルターはより盤石なものとなり、詰まり知らずの安定した循環を生むことになる――。
その結果については、また別の機会に詳しく書きたいと思う。



まとめ

ろ材と聞くと、「どれが一番いいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。そんな中で、ちょっと気になる存在が「シポラックス」という名前のろ材です。見た目はただの白いリング状の塊。でも、実はこの小さなリングの中に、さまざまな秘密が詰まっているんです。

まず、シポラックスの特徴は“多孔質”という構造。つまり、目に見えないほどの小さな穴が無数に空いていて、水の流れの中でバクテリアが棲みつくための理想的な環境を作ります。生物ろ過としてとても優秀で、水をきれいに保ってくれる頼もしい存在です。

さらに、このリングはガラス製。ガラスと聞くと安っぽい印象を持つかもしれませんが、実はその素材のおかげで通水性がよく、詰まりにくいという利点もあります。つまり、「生物ろ過」と「物理ろ過」のどちらにも使える万能タイプなんです。

ただし、“なんでもできる”というのは、裏を返せば“どこに使うか悩む”ということ。外部フィルターのどの層に入れるのが正解か――排水側か、吸水側か。それは使う人の目的や飼育環境によって変わります。だからこそ、使い方を試行錯誤するのも、このろ材の楽しさのひとつと言えるでしょう。

高価なセラミック製ろ材にも負けない性能を持ちながら、自由度が高く、アクアリストの工夫次第でさまざまな使い方ができる。それこそがシポラックスの魅力です。



2025年11月25日火曜日

プレコ・ポリプテルス水槽をメンテしやすく!ベアタンクのいざない

"ベアタンク"というのも一つの手

いつも底砂の汚れが気になってしまう――そんなこと、ありませんか?

「もっと掃除を楽にしたい」。そう思ったときに耳にするのが、“ベアタンク”という言葉です。けれど、底砂を敷かないなんて本当に大丈夫?と思う方も多いはず。
今回は、その不思議な魅力と気をつけたいポイントを、やさしくストーリーでお話ししてみたいと思います。


**********************************


これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

3つの水槽が、朝の光を反射してきらめいていた。

60cm水槽には3匹のプレコが身を寄せ、30cmキューブにはマツモとアヌビアス・コーヒーフォリアが静かに揺れている。20Lの変形水槽では、暴君ブルーテトラが今日もバトルロワイアルを繰り広げていた。

気がつけば、水槽が三つ。
アクアリウムを始めてまだ一年ほどなのに、ここまで増えてしまった。そろそろ手を止めよう――そう思うのに、なぜか心は止まらない。余った道具を見つめると、ほんの少しの追加でまた新しい命を迎えられることに気がついてしまうのだ。

今、手元には空になったフチありの45cm規格水槽がある。
もともとプレコたちの住処だったこの水槽には、退役した2231フィルターと専用のディフューザーもある。

――なら、何かを飼いたいと思うのは必然だ。


2025年11月22日土曜日

思わぬ水飛沫でガラス蓋にべっとり緑苔が!バブルストッパーで解決

水飛沫に困ったときに!!

あれ? うちのライトって、こんなに緑色だったかな?

ふと気づくと、ガラス蓋の裏に緑苔がべっとりと広がっていること、ありませんか? ほんのわずかな水しぶきが、知らないうちに苔や汚れを生んでしまうこともあります。エアレーションが原因なのはすぐに分かるけれど、それをどう解決するかとなると少し悩みどころです。

今回は、そんな困った現象をすっきり解消してくれる、ちょっとニッチなアイテムをご紹介します。


**********************************


これは2000年代とフィクションが織りなす不思議な世界の物語。

水槽の中が、なんだかおかしい。
いつもならガラス越しに見える景色は黄金色に輝いているはずなのだが……今日は妙に色が沈んでいる。わたしは顔を近づけ、原因と思われるガラス蓋を指でそっとなぞった。

ぬるんとした感触。

「まるで海苔、だ……」

絵の具を叩きつけたパレットのように、べっとりとエメラルドグリーンが広がっている。光がその色に染まると、流木の黄色と混じり、全体が沈んでしまっているのだ。