プレコを水草水槽で飼育する
(2024/7/26 修正)
今回は「私の水槽紹介」的な話を兼ね、水草とプレコ同居について勝手気ままに書いていきます。
少し風変わりなこの水槽ですが、不思議に思われる人もいるはずですので、経緯や管理などを小ネタにざっくりと紹介していきます。
ブルーフィンペコルティアはペコルティアではない?
※(以下2017年現在の話です)
さて、突然話が変わりまして、つい最近わたしも知ったのですが、ブルーフィンペコルティアは「ペコルティア」の仲間ではないということが、実は判明したようです。
曰く、オレンジフィンカイザーなどいわゆる「カイザー系」 のプレコの仲間に分類されるそうで、当然ペコルティアではないので、ブルーフィン【プレコ】という名前で販売されるようになるそうです。
しかし、これではブルーフィンパナクエのことも指しているような気も無きにしも非ず。
――、とにかく、「プレコ」という魚はかなりマニア性の高い魚ですから、パナクエの仲間とペコルティアの仲間を見間違えるような人はいないと思います。それほど大きな問題にはならないのかもしれません。
まだまだ謎が多いと言われているプレコたちですが、少しずついろいろなことが判明していくことを切に願うばかりです。
さて、なぜこんなことを唐突に書いたかと言いますと、我が家で飼っているうちの1匹はブルーフィンペコルティア、もう1匹はクィーンアラベスクタイガーだからで、その水槽を紹介したいと思ったからです。
プレコの好む飼育環境と人の好み
プレコ飼育の理想的
プレコに理想的な環境とは何か?
これを探求することがマニアにとって命題です。
糞尿や残した餌といった汚れがなく、硝酸塩の濃度が低く、さらに溶存酸素濃度に富みんだ、強い流れのあるところだと考えられています。
簡単に言えばプレコが生息している大河、アマゾン川のことをさしています。
これを達成するために、どのような設備にすればいいのでしょうか?。
プレコは大食漢。水質の悪化はほかの魚よりも早く、他の熱帯魚のように汚さないように飼育するのは至難の業。
いくら強力なフィルターを利用していても、確実に硝酸塩は溜まり続けます。
ならば、発想の転換が必要。
溜まった汚れを簡単に取り除ければいいのです!
と、考え先人が編み出した物こそ、上部フィルターベアタンクという組み合わせです。
このフィルターと底床でしたらろ過や掃除が楽々にでき、ゴミがたまりづらいというわけです。
先人は偉大なり。
「水替えに勝るろ過は無し」という話
もちろん、上の条件を満たせれば、多種多様な器具構成でも問題はありません。
器具やシステムの構成にこだわるよりも、プレコの好む環境になるように現実の水槽目線でメンテナンスしてあげることの方がはるかに重要だからです。
すぐに「あの道具はこうだから~」 という話をアクアリウムの世界では良く耳にするのですが、それはあくまで理論の部分。
アクアは実践してみてなんぼなのです。
机の上で崇高なシステムを考えるのも大切ですが、 水槽で手を動かしてメンテナンスすることが実際の飼育ではもっと重要なことです。
昔から、「水替えに勝るろ過は無し」と言うぐらいです。
いくらアイテムをそろえても、水を替えなければ何の意味もありません。
たしかに、器具やフィルターをプレコ飼育のテンプレートに当てはめるも1つの方法ではあります。
しかし、ネット上に幾多の情報が転がっている現在、
どのような環境がプレコにとって最適か?
ということは容易に窺い知ることができますから、それを知ったうえで、現実で行動するべきでしょう。
……そして、答えは1つではありません。
上部フィルターベタアタンクは掃除しやすいが殺風景
簡単に残飯&糞掃除ができる水槽は、毎日掃除しても苦にならず、水質が悪化しづらくなります。これは、プレコ飼育の大前提です。
さて、実は大昔、ポリプテルスの飼育で外部フィルターのベアタンク水槽を置いたことがあります。
実際に体験してみるとわかりますが、その糞の掃除しやすさは別格でした。
また、過去に友人が倒れた際、少し大きい上部フィルターの清掃を代わりにしたことがあります。
これも、ウールマットのアクセス性がすこぶるよく、気軽に清掃できる点が大変にGOODなものですね。
さらに、フィッシュレットなんて使って糞集めをしたら、うーんもう! 日々のメンテナンスは言うことありません。
あぁ、そうだゴミを集められやすいよう、水中ポンプで水流も調節しておきましょう!
そうそう、ついでに非常食兼縄張りとなる流木もいれておきますね。
ほら、最後に気になるあの子を入れれば……
はい、プレコ水槽の出来上がりです!
と、まぁ、以上は誰しもが通る道。
でも、プレコ狂いのわたしが言うのもなんですが、
すごく殺風景だと思いませんか?
もちろん趣味の世界のことであり、「水作エイトを飼育する」という冗談もあるくらいです。殺風景でも自分が満足していればそれでよいのです。
ただ、他人の目を気にするとなると、少し話は違ってくるのではないでしょうか?
水景がもたらす、よろしくない影響を緩和したい
こんなことを書くのは大変心苦しいですが、
無機質な水景がもたらす影響は計り知れません。
これは、ひとり暮らし、もしくは自分しか入らない部屋でプレコを飼育している人には当てはまらないでしょう。
しかし、家族がいる。その中でもとりわけ女性にとって、水槽の中が可憐な世界であることは、男性が思っている以上に重要なことのようです。
プレコは美しさのなかに愛嬌があると、わたしは常々感じています。出会ってから相当の月日が経とうとも、この情熱は変わりません。
しかし、世の中の人はそのように思わない人が大勢います。はっきりといえば、
グロテスクに見えるようなのです。
わたしも考えました。
そして生まれたのが……
せめて水槽に興味を持ってもらえる水景にして、
少しずつプレコに慣れてもらおう!
という戦略です。
最終的にみんなのアイドルとまでは言いませんが、理解者が増えるというのは愛好家としてもとてもうれしいことです。
ですので、いわゆる「プレコ水槽」 のようなハードコアなものではなく、多くの人に親しみを持ってもらえるような物にしたいと思ったのです。
少なくとも「かわいい!」と言ってもらえるようにと。
そしてそれを目指したのが、水草とプレコの同居水槽です。
水草とプレコの同居
プレコ隠すなら水草の中
このプレコ=グロテスク問題の解決策として、考えた結論が、水草が生い茂っている美しい水景を作り、
水草水槽のヌシとしてプレコを家族に受け入れてもらおう! 戦術です。
木を隠すらな森の中”ならぬ
熱帯魚を隠すなら水草の中。
理想はこうです。
↓
リビングのドアを開けソファーに座ると、パチッとライトがつき、天井に広がる水影。
放り出されたランドセルの上に広がる青々とした植物の森と、ひょっこり土管から顔だけ出す水槽のヌシ。
それに目をやる若い瞳。
「……あぁ。」
と声を漏らしゆっくりと目をつむる。
そんな「癒し」な光景を提供して、プレコに好意を持ってもらおう!というワケです。
しかし、現実はこうです。
↓
夜中にトイレ。
リビングのライトONをつけると、白い物体があらわになった。
張り付くプレコの腹、ぷっくり膨れたそれは、鰓と連動してバクバクと動いている。
相手は魚。水槽から飛び出すなんてありえない。
そう飼育者からは聞いている。
しかし、見れば見るほどに魚らしくない。
とがったヒレに、ごつごつした頭。
吸盤には無数のイボイボがあり、鰓からは針地獄のようなヒゲ。
おぞましい形をしている。
そのさらに下に目をやると、穴からダランと緑の細長いナニカが……。
これは糞なのか? それとも……?
(ぞぞぞっ)
と、誰だって感じ後ずさりしてしまうわけです。
これでは親しみがもてません。
それを和らげるための水草にプレコを隠す作戦です。
水草とプレコ:飼育の一例(2017年当時)
そんなわけで、水草とプレコ。
5年間飼育してきた一例を箇条書きでまとめてみました。
【プレコと水草の同居の一例】
・水槽上部にライト2台設置
・外部フィルター2台使用。片方を1か月に1回清掃。
・底砂は厚すぎる底砂は汚れが蓄積しやすいので、厚さ1cm。
・水草のことを考慮し底床はソイル
・水草はなるべく強靭かつ栄養分をよく吸収するもの栽培
・水草は鉢植えもしくは活着するもの。
・水草はメンテ時には取り出す。
・二酸化炭素添加(弱目)、K液肥添加(少な目)
・エアレーションはライト消灯時(18時間)
・水替えは1週間に2回
本来なら詳しく書きたいところですが、必要以上に長くなってしまうので、ここでは簡単に。
栽培するうえで気になるのは、プレコがもたらす富栄養化。
コケが大敵となる繊細な種は腐海を生み出す原因となり、かえって印象が悪くなるものと考えられます。
そのため、ハイグロフィラやマツモなど、成長速度が高く栄養(汚れ)をよく吸収する頑強な水草を栽培し、彼らによる水景と水質浄化の向上に期待しようというわけです。
それを促進する意味合いで、CO2添加やライトなど水草が育つ環境には抜かりなく器具を投入。
それでも、汚れは必ずたまるものですから、水換えの回数は増や、毎回の施肥は欠かせません。
書いてみると机上の空論ですが、実際にやってみると何とかなったりします。
プレコと水草を4年間続けた結果
というわけで、下の写真がプレコを水槽の主として祀り上げた(?)水草水槽です。
(ブルーフィンペコルティアとクィーンアラベスクタイガーさんが住んでます。) |
(2018/3/16現在の水槽。) |
上記の環境で飼育していてこれで3年目になります。連れてきた当初、アカヒレと同じサイズだったブルーフィンプレコがずいぶん成長しました。
アヌビアスが食害を受けているぐらいで、ほとんどの水草は元気に生長しています。
プレコによる水草の食害を懸念している人もいるでしょうが、実際にはほとんど気にしなくていいレベルです。
多くの陽性植物は茎や葉が非常に薄くやわらかく、食害しようと張り付くとすぐ折れ曲がってしまうからです。
肝心の家族はというと、プレコのことを気持ち悪がっていた妻も段々と慣れてきたようです。いまでは15cm程度の子なら大丈夫のようです。
そうはいっても、ショップのアロワナと混泳している怪物サイズのセルフィンプレコには腰を抜かしていましたが。
結局、家族でプレコを含め熱帯魚のことで話が弾む、これが一番うれしいですね。
実際にやってみるということの大切さ
あれがいい、これがいいという情報も大切ですが、情報過多な現在では全て鵜呑みにすると、かえって何もできなくなりがちです。
まずはチャレンジしてみるというのも大切だと思います。
ダメだったら引き返せばいいだけなんですから。
すぐに引き返す判断をするためにも、日ごろから観察はよく行いたいものです。
失敗が怖くてあれこれキーボードをたたいて調べるよりも、実際に手を動かして実行したほうが成功したり、短時間で結果が出たりといろいろ有益な場合も多いです。
……と最近思うところです。
わたし自身も上の例に良く当てはまるので、自戒の意味を込めて記しておきたいと思ったのです。
というわけで、今回はここまで。
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