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2017年9月5日火曜日

初心者のための「水槽立ち上げ」で空回しする理由としない理由

水槽設置後の空回しはするべきか?しないべきか?

(2024/7/18 修正)

今回のテーマは……

硝化細菌ってどこから来るの?という話を起点に、
水槽の空回しをするべきか?しないべきか?

そんな初心者アクアリストの悩みについて解説してみたいと思います。



硝化細菌はどこからやってくるか?


自然発生説の否定

さて、立ち上げ時にいくらアンモニアや亜硝酸といった餌が水槽内に存在したとしても……

動物、植物、微生物。
すべての生命は自然発生しません。

(自然発生=何もない「無」から生命が生まれること)

もし、魚を含め無菌的に閉鎖された水槽があるとすれば、そこでは硝化細菌が侵入できないため、絶対に硝化作用による「生物ろ過」は出来上がりません。
このような「自然発生」の否定は、歴史における生物学において1つのターニングポイントでもありました。

仮に無理にでも菌1匹も入ってこれな無菌水槽があるとするなら、未来永劫生物ろ過を担う硝化細菌が水槽に入って来られないワケです。結果、排泄物は無毒化されず、いつまでたっても魚にとって住みづらい水槽のままです。

そのため、アクアの立ち上げにおいて、硝化細菌たちがどこからともなく水槽に侵入してくるプロセスは、わたしたちが思っている以上に大切なことなのです。



やがて魚がすめるなら、必ずどこかで侵入している

では彼ら(硝化細菌)がどこからやってきたのでしょうか?
現実の立ち上げにおいて、バクテリア剤や種水など意識して投入しない限り、硝化細菌を人為的に水槽に入れることはまずありません。

しかし、その過程が進むにつれて、勝手に繁殖し生物ろ過を担うようになります。
冒頭で述べたと入り、生命は自然発生することは絶対にありえませんから、これは、何らかの方法で侵入したものと考えるのが妥当です。
では、どうやって入ってきたのか?

硝化細菌は目に見えないサイズです。

器具や手に付着していたものが水槽に持ち込まれたり、
時には空中から落下して侵入したもの思われます。

多種多様な経路から入り込み、そこに偶然にもアンモニアや亜硝酸などの餌があったので増え始めるたのです。

さて、この「勝手に入りこむ」という現象をどう捉え扱うか?
これで立ち上げ時の空回しする? しない? を決めるポイント:論点となります。

汚れたウールマット
※汚れたエーハイム2222のウールマット。
硝化細菌の塊だがその大本はどこからきた?


いずこからやってくる硝化細菌をどう扱うか?


前提として……

ここからは本題である、「空回しする?しない?」についての解説になります。

前述の通り、硝化細菌は微生物で、器具や容器に付着したり、ときには空中から落ちて来たり、はたまた「隣の水槽」をメンテナンスした飼育者の手に付着したりと様々な方法で水槽に侵入しきます。

もし、一度でもアクアリウムを立ち上げたことがある機材を使いまわす予定の人ならば、それらにべったりと付いくることが考えられます。
これは、2つめ以降のタンクがすんなりといく、1つの理由でもあります。

しかし、完全な初心者さんは、経験もなければ使い古した道具もない、さらには種水もありません。そのため、水を張った時点で0からスタートし、少しずつ菌の侵入が始まる考えたほうがよさそうです。

そういった「新規」な水槽において、空回しの期間が長いほどに侵入され蓄積することになります。そして、立ち上げスタート時には、硝化細菌が多い有利な状態となると考えられます。

こういった有益そうな効果のある「空回し」を肯定する人もいれば否定する人がいるのが、アクアリウムの現状です。



肯定派・否定派を分ける「とある」論点

双方の言い分をざっくりまとめると、その論点は……

これら硝酸菌と亜硝酸菌を前もって侵入させることで、
その期間が変わってしまうほど明らかな「差」があるのか?

ということです。
双方の行動と根拠をまとめると以下のようになります。

①、空回し肯定派
=侵入してきた菌があるから立ち上げがスムーズ!
→器具を設置し、一定期間水を張り空回しをしてから生体を入れる

②、空回し否定派
=菌は餌がなければ増えない!
→空回しをせず、すぐに生体を入れ硝化細菌の餌を供給する

非常にざっくりとした説明ですが、アクアリウムという趣味においては飼育者各々が判断し実行に移しているというわけです。

え? わたし?
わたしは、

絶対に空回しをすることをお勧めします。

その理由は後述しますが……
まずは空回しする派、しない派をより詳しく紹介してみたいと思います。



それぞれの理由


空回しする派

まずこ肯定派の場合です。
これは1週間程度水槽を空回し、その後魚を導入時するという方法です。

理由は……
空回しにより立ち上げ直前のタンクには、生物ろ過の「タネ」=硝化細菌が既にたくさん蓄積されている状態を作り出せると考えるからです。
魚を導入後、彼らの「排泄物」=餌が供給された途端、眠っていた菌たちが一斉に目を覚まし、成長・増殖が始まるので、立ち上げも素早く終わると考えらます。

しかし、現在はあまり支持されないようです。
それの不支持な理由は…、空回は不要だとする考え方の根拠でもあるので、次の項で紹介します。

ただ、わたしは、空回しすることをお勧めします。
(その理屈については後述します。)



空回ししない派

次に否定派。

理由は……
いくら硝化細菌がスタート時にいたとしても、餌がなければ増殖できないと考えられるからです。
仮に蓄積できたとして、その程度の微々たる差では最終的なコロニーの生長具合に差がないととも考えられます。
細菌は2字曲線を描くように増殖しますが、やがて環境要因で頭打ちになり急激に思われた成長にストップがかかるからです。

そのため、空回しで1週間も待つことなく器具稼働確認後すぐに魚を導入します。
当然、すぐに導入できるので、魚の手配が行いやすいとうのメリットもあります。

ただし、わたしとしては、とてもではありませんが勧めできる方法ではありません。



結局どっちなの?


今セットしたばかりの水槽、本当に大丈夫ですか?

さて、随分話が長くなってきました。
ここからが話の核心です。

いままでは立ち上げのメカニズムである「生物ろ過」 の観点から空回しする?しないを論じてきました。
しかし、再三述べていますがごん太としては空回しすることをお勧めします。

アクアリウムには実に多くの電気器具を利用します。
それらが正常に稼働しているか?正しく設置されているか?
空回しをして、確認すべきなのです。

具体的には……

ヒーターがひとりでに外れないか?
コンセントが濡れないか? 水しぶきを受けないか?
ホースやフィルターから水が溢れていないか?

これらの不備は火事や漏水・漏電などの重大事故と原因となります。

また、

さらには、冷却ファンの稼働具合や、エアレーションの水はね、さらにはライトとタイマーの動作確認も大切なことです。
重大事故に繋がらなくても、生体や家屋に損害を与えることがあります。
ご自身の人生、財産を、そして魚たちの命を守るため、

導入する前に必ず、時間をかけてチェックすべるべきです。

ただし、1週間では少々長い気がします。
さすがに1日程度ではタイマーが一巡しませんので不十分に感じます。

ですから、最低2,3日は稼働させチェックをしましょう!



水槽は逃げない

アクアリウムは逃げません。
アクアリウムは永遠と続きます。
また、アクアリウムはタイムを競うものではありません。
1日、2日、急いだからと言って綺麗な水景ができるとは限りません。

少なくとも、アクア歴20年のわたしはそのように考えます。

今から始まる水槽の変化・時間の進み方は、他の趣味と比べて極めてゆっくりとしたものです。

もし貴方が若者であるならば、普段感じる時の流れ、勉強、部活、仕事、研究、ゲーム、スポーツより、遥かに遅く進んでいくはずです。
学校では決して習うことのないほどに進展が遅く、驚くこと間違いないでしょう。
水槽の中では、全ての出来事は基本的に1週間単位、場合によっては1ヶ月単位で展開していく気の長い趣味です。

しかし、急いてはことを仕損じる。
アクアリウムの独特のペースは、「育てる」系趣味に多くみられるもので、若者、特に男性諸君は時に大いに戸惑い、時に「成果」の無さにイライラすることもあるかもしれません。

ですから、ここは1つ最初期のこの立ち上げのタイミングで1週間「待つ」練習をしましょう。水槽のペースに身を沁み込ませておきましょう。

心配はいりません。
わたしのように水槽とともに歳を取れば、やがて悶々とすることもなくなるでしょう。

というわけで、今回の話はここまでです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
素敵なアクアリウムライフが訪れますように。



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