外部フィルターのウールマットについて考える
(2024/7/30 修正)
さて、今回は少し煽り気味のタイトルとしてみました。
アクアリウムを初めて間もない人ならいざ知らず、多くのアクアリストにとって、ウールマットの必要性なんて、いまさら説明を要することではないと思います。
そのため、どちらかというと初心者さん向けの記事となっております。
なぜ外部フィルターにウールマットを使うのか?
なぜパワーヘッド(モーター)の直前にウールマットなのか?
※
それは、大切なインペラを保護するためです。
また、ろ過した水を仕上げる効果もあります。
そのような話をしていきたいと思います。
なお、タイトルの疑問の回答ですが、わざわざ説明書などにメーカーから取り付けが明記されていたり、例として掲載されている場合、ウールマットを利用するべきです。
不使用では何かしらのデメリットがあると察するべきでしょう。
ウールマットは金と手間がかかる。
時に逃げたくなることも
みなさんは、外部フィルターのウールマットを使っていますか?
交換前提のろ材です。
頻繁なメンテナンスを要し、定期的に新しい物に変えないとすぐに通水性が低下してフィルター全体の流量が落ちてしまいす。
こうなると、これでは溶存酸素量に悪影響があり、高水温時には気がかりです。
だから、なるべく頻繁に取り替えるべきです。
そうは言っても、純正のウールマットってちょっとお高い。
なるべく、ランニングコストを下げるために、お値打ち感のある互換製品利用することになるのですが……
それでも結局はお金がかかるわけで、
えぇぃ! ここは男らしく、ウールマット無しの構成だ!!
荒ぶる気持ち、大変よくわかります。
が、ウール抜きはお勧めできたものではありません。
互換品のウールマットを利用するリスク
現状、純正品以外の実に多くの物が市場に流れています。
エーハイムの互換品で言えば、同一形状でウールが高密度の物もあれば、ゲル状の濾材になっていたり、さらには薄いメッシュ状まであります。
様々な特徴を持たせたものが販売されています。
性能の違いばかりではありません。
とても古い外部フィルター(エーハイム2222)の愛用者なのですが、マイナーすぎるため純正品がなかなか手に入りません。
もし、売り場で見つけたとしても、目が飛び出るほどの価格のためレジまで持っていくことはまずないでしょう。
互換品は生命線なのです。
しかし、いいことばかりではありません。
最悪、フィルター故障時に保証が効かないこともあります。
エーハイムのサイトにもデカデカと注意書きが書いてあります。
一度はご覧いただいてから、それらを利用するべきです。
互換品で”さえ”保証が効かないということがある以上、
ウール抜き構成は……お勧めできたものではありません。
そんなウールマット、そもそもの役割とは何なのでしょうか?
次パートから、実際の失敗例を交えながら紹介してみたいと思います。
(この互換品がなければわたしはアクアを続けられない) |
その役割と交換しなかった時の話
ウールマットの役割とは?
外部ろ過におけるその役割とはなんでしょうか?
もちろん、生物ろ過の一翼を担いますが、消耗しやすく網目が入り組み目の細かいろ材です。
長期的な維持が求められる生物ろ材としては不向きっだと言えるでしょう。
ならば、物理ろ過?
当たらずとも遠からず。専用品は目が荒く通水性が確保されている物ばかりです。
すぐに交換できる上部フィルターならいざ知らず、ろ過の先陣を切る物ではありません。
……が、あえて言うならばやはり物理ろ過(かなぁ)。
分かりづらいですが、総仕上げとして水を濾す役割があるのです。
実際、様々な考察があるのでしょうが、とある失敗を経てわたしは、そう考えるようになりました。
再利用して半年!それが原因で……
実際に経験した話です。
大昔、ウールマットがもったいないからとすぐに交換せず、何回もモミ洗いしては再利用を繰り返していた時期がありました。
最も長い期間だとおおよそ半年の間、無交換で済ませていました。
長期間経過すると損耗して独特のフワッとした感がほぼなく、いわゆるペタッとした「へたった」状態。
こうなると物理ろ過、それも仕上げフィルターとして機能は皆無となります。結果、何が起きるのでしょうか?
体験したのは、排水パイプから水流に乗ってパラパラと降り積もる粉雪でした。
最初は原因がわからずフィルターの故障でエアが出ていると勘違いしていたのですが、よく見ると固形物。「あれ? なんだろ」と凝視、ダニのように見えて思わず背筋が凍ってしまいました。
冷静になり、おそらく生物ろ過槽を通過した際、剥がれ落ちたコロニーや水垢だと分かったのは後のこと、フィルターからゴミが出てくるなんて聞いたことが無い話だったので、理解不能ゆえの恐怖体験となりました。
もちろん、そんな状況では病気が蔓延する危険性もあります。
とにもかくにも、仕上げのろ過は大切だと身をもって知った瞬間でした。
確かに生物ろ材は重要です。
これがなくては、魚は生きていけません。
そのためか、話題に上がるのは物理、化学よりも、圧倒的に生物ろ過です。情報を読み解く側として、ついつい極上のセラミックろ材さえ入っていればそれでいい! と、思いがちです。
しかし、ウールがなくては、水槽はゴミの粉雪だらけ。
美しいはずの水景を楽しめることは決してできないでしょう。
外部フィルターにウールマットが必要な理由
メンテナンス性の良さと溶存酸素量
ウールマットは、高い物理ろ過能力を有しています。
もし、そんなに高性能ならフィルターケースに入った水流が、最初に出会う層に設置しすれば、効率が上がりそうですよね?
しかし、多くはろ過槽の後方、パワーヘッド直下。なぜでしょうか?
ろ過の総仕上げするからだと述べてきましたが、これにはさらに別の理由があるとは考えています。
具体的には、メンテナンス性、溶存酸素量の問題。そしてインペラの保護です。
まず挙げたいのはメンテナンス性良好な位置取りであること。
これは最もわかりやすいことなのですが、交換頻度の高い物ゆえに手前に配置してあるようです。
開けてすぐ取り出せた方が、最下層(=最も給水側)にあるより、交換しやすいですよね?
また、ウールの詰まりやすい性質も一因です。
もし、フィルターの先頭に持ってきたら、あっという間に目詰まりするのは火を見るより明らかです。最悪、内部の通水性がゼロ。
これは非常事態です。なぜなら、硝化細菌が酸欠状態となり死滅・腐敗が始まり、水槽が一瞬でダメになります。
そんな危険性のあるものは、なるべく詰まりづらい後方へというわけです。
角度を変えて見れば、ウールマットは細かいゆえに硝化細菌が繁殖しやすいろ材です。
そのため生物ろ過能力も強力で、硝化作用で盛んに酸素を消費されます。
もし、ケース内前方にあるとしたら、どうでしょう? せっかくの用意した自慢のセラミックろ材が、理想的な環境で働けなくなることを意味します。
以上のような詰まりやすさ、通水性、そして溶存酸素量の問題から、ウールマットは濾過槽の最後方にあると、わたしは考えています。
インペラの保護
改めて考えてみると、ウールろ材は細かくゴミを良く濾し取るものの、柔らかく損耗が激しいため長期維持が不可欠な生物ろ過には不向きです。
対してセラミックろ材は多孔質で硬く、経年劣化が少ないため生物ろ過向きのろ材です。
後者はそんな優秀なろ材ですが、弱点もあります。
それは、欠けやすい・微粒子が出やすいことです。
実際、箱入りのセラミックろ材を取り出すと、輸送中に互いにぶつかり削れ合ってできた細かい粉が多量に出てきます。これらがフィルターケース底や水槽底に集まり、真っ白く堆積している姿を見たことはないでしょうか?
微粒子と言えども陶磁器にほぼ近く硬い物です。
そのような欠片がポンプ部吸い込まれると、高速で回転するインペラや支えるスピンドルを傷つける原因となります。
つまり、それらを保護するために、ウールマットはパワーヘッド直前にあると考えられるわけです。もし、インペラが破損してしまったら、フィルター停止。水槽は地獄となります。
さらに、その交換費用も高くつきます。
インペラ + スピンドル = 約\3,000 ← 2213の場合
なお、エーハイム2222に至っては約¥5,000也。
ウールマットをパワーヘッド直前に配置したほうが経済的ですし、安心して利用できるというわけです。
というわけ、ウールマットの話はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。
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