9年目のセラ・シポラックスのレビュー
今回レビューするのはセラ・シポラックス(以下シポラックス)です。
最近では見かけなくなりましたが、アクアリウムを始めた頃にはシポラックスを熱愛しているというがあまたにいました。
もしかしたら嫌気性ろ過で脱窒できるかも? という淡い期待がその理由です。
そんな噂話はさておき、生物ろ過と物理ろ過の両方がこなせる、優秀な多孔質リング状ろ材の話をしていきたいと思います。
(スピルリナが多い餌のため、ろ材がやや濃緑色に・・・) |
シポラックスレビュー(ここが良い!編)
ここが良い!その1:生物ろ過、物理ろ過のどちらもOK
持ち前のサイズと多孔質素材により、どこでも使えるオールマイティーなろ材となっています。その特徴は大きく2つ。
リングろ材のため、目詰まりを起こりづらい特性を持っています。サイズも大きく目も荒いためです。メンテナンスに手間がかかるのが外部フィルターですから、地味ながらも実用性に貢献しています。
また、生物ろ過、物理ろ過のどちらの役割もこなせます。
例えば、フィルターケース内前方に配置すれば、大きなサイズのリング形状ゆえにゴミを絡め取る物理ろ過として機能します。逆に後方に配置すれば、持ち前の多孔質で生物ろ過として機能するでしょう。
使い場所で困らない逸品だと言えるでしょう。
なお、目が荒いため、チリ状のゴミはそのまま通過します。後方には目の細かい生物ろ材やウールマットを利用しましょう。
ここが良い!その2:ろ過能力は十分
これはアクアリウム用のろ材として販売されている、全てのろ材に言えることですが、適切に硝化細菌が繁殖し、水槽内の排泄物を無毒化してくれます。
当たり前ではありますが、大切なことです。
以下は持論です。
各社から多種多様な物が販売されていますが、生物ろ過の「差」について理解が進んでいないのが現状です。
もしかすると、立ち上げる期間が若干早くなるのかもしれませんが、その時期の細菌群の分布はおそらく大きく異なっており、データが取れたにしても「立ち上げ中」という条件がついて回ります。平時と比較するのは難しいでしょう。
生物ろ過という一極集中よりも、それに耐久性やメンテナンス性といった維持管理の視点を加味したうえで評価すべきだと考えます。
上の点でシポラックスをまとめると、前述の通り目詰まりしづらく、後述するように容易に壊れず、サイズと材質から生物ろ過も物理ろ過もこなせる。
優秀なろ材であると言えるでしょう。
ここが良い!その3:耐久性は普通のろ材と同じ!
実はこのシポラックス、セラミックろではなくガラスでできています。
昔は今あるような廉価で優秀なガラスろ材というカテゴリーそのものが存在しませんでした。そのため、単語そのものがアクアリウムの世界に広まっていなかったと記憶しています。
わたし自身、”セラミックろ材”として当時購入していますし、知人・友人ともこれがガラス製だと話題に上がったことはありませんでした。
さて、ガラスと聞いて気になるのが耐久性。
わたしの体験では、ろ材に無理力を加えず利用すれば、10年間は楽々利用できます。
もちろん。真偽は定かではありませんが、”触っただけで崩れた!”という話もよく聞きます。
しかし、わたしは9年間(2024/8/15現在ではでは16年)利用し、掃除の度にチェックしていますが、未だに出会ったことがありません。
シポラックスが崩れたらブログのネタにしようと思ってるのですが……。
シポラックスレビュー(ここが残念!編)
ここが残念!その1:レアアイテムだった
そもそもセラ製の商品はなかなか手に入れづらい傾向があります。
購入した当時はまだチャームなど通販を代表とする企業が有名でなく、県内で1・2を争うぐらいの大きな店舗でしかシポラックスが置いていませんでした。
そんな希少性がゆえに、夢が膨らみ気が付けば憧れになっていきました。
当時これを手にするために、わざわざ1日かけて県内の大型店に行き、震えながら手に取ったのを昨日のことのように覚えています。
しかし、ろ材1つで店舗巡りというは、なんだかいただけませんね。
交通費だけでもいい金額になりますし、出先でジュースにご飯にと口に入れていたら、あれよあれよという間にろ材が買える金額を出費していることも。
これでは、アクアリウムが趣味なのか、店舗巡りが趣味なのか分かりません。
ここが残念!その2:寸法が大きすぎる
まずその大きさですが、エーハイムメックと比べる二回り、いやそれ以上サイズが大きくなっています。そのため円筒の頂点を貫通する穴もビッグサイズです。
上の写真を見るとお分かりいただけると思いますが、シポラックスの内側の穴にエーハイムメックがはまりそうな気配ですね。
その大きさは、まずドーナッツ型をしている面の外周の直径は13mm。
円筒の長さにあたる部分は14mm。意外にスクエアな形状となっています。
以上のような特徴を有するため、フィルターケースもしくはろ材コンテナ内に入れた時に無駄なスペースが生まれやすく、限界まで詰め込みたい人は損した気分になるかもしれません。
なお、サイズのあるろ材ですので、広いろ材スペースを要します。
多くのは投げ込み式や外掛けフィルターでは、おそらく入らないのでご注意ください。
ここが残念!その3:脱窒できるろ材と考えられていたが?
以下の話が、今も昔も科学的に正しいものかどうかもわかりません。
多孔質ろ材の表面にある微細な穴は、裏側まで貫通していません。
それゆえ、好気性菌で覆われてしまうと、嫌気性菌がコロニーを作れるスペースが無く、脱窒には向いていないというのが通説でした。
(今もかもしれませんが。)
このシポラックスは違います。微細な穴は全て貫通しています。
そのため、嫌気性域になりやすい穴の奥側にも十分な空間があるので、これなら、脱窒ができそうだ!(?) と考えられていたのです。
しかし、
シポラックスで脱窒できた!
硝酸値がグングン減った!!
あーこれで水替えしなくてすむわぁー!!!
という体験は一度たりともありませんし、試験紙で出るような具体的な効果が上がった話を聞いたこともありません。
夢を砕いてしまうような話ですが、これが現実のようです。
あぁ、早くできないかなぁ、淡水で脱窒できる装置。(ため息)
まとめ
レビューの総評としては、嫌気性ろ過ができるできないの話はともかくとして、
耐久性があり、多孔質リングろ材としてオールマイティに使える優秀なろ材です。
ただし、サイズが大きいため、外部フィルターや上部フィルターなど大きなスペースがあるろ過器で利用するのが前提です。
その際は、取り切れなかったチリ状のゴミを濾し取るため、ウールや目の細かいろ材と併用しましょう
というわけで、今回はここまで。
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