プラスチックろ材はセラミックろ材と一味違う
(2024/8/27 修正)
最近はやりプラスチックでできたリングろ材、バイオコム バフィーサポートのレビューをしていきたいと思います。
昨今、プラスチックろ材という単語を聞く機会がずいぶん増えてきました。
やはり、セラミックと比較して廉価であるという特筆すべき特徴があるからだと思います。
が……その差は値段ばかりではありません。正直に言って、初めてこの素材を利用してみたところ、あまりに違う特性に大いに困惑しているところです。
今回は、プラスチックろ材の特性にクローズアップしながら、バフィーサポートの話をしていきたいと思います。
※なお、当記事で紹介する物品はすべて自費で購入したものです。
バフィーサポート購入の経緯
これは、至って単純な話です。
流行と最新の技術に触れてみたかったからです。
いつものエーハイムやセラという有名メーカーのものではなく、話題になっている新製品を試してみたかった、ただそれだけなのです。
もちろん、廉価なことは大いにプラスですし、材質的に成型しやすいためか、極めて複雑な形が多いのも惹かれた点です。
新しい技術、新しい製品、新しい考え方が気になってしまい、思わず手に取ってしまったというわけです。
というわけで、さっそくバフィーサポートの良い点から紹介していきましょう。
バフィーサポートの良い点
良い点その1:とにかく軽いので取り扱いが楽
セラミックろ材と比較して、とーっても軽いんです!
それはプラスチックならではの特徴で、 逆に今までのものの重さに気が付いてしまいました。
もし、所々にこれを利用しておけば、フィルター清掃時の取り回しは楽になること間違いなし。そんなろ材です。
当方では、外部フィルターの下から1段目にバフィーサポート、2段目にエーハイムサブストラットを入れています。
メンテ時にろ材コンテナごと取り出して、そのままろ材清掃するわけなのですが、明らかにサブストラットより少ない力で持ち上げることができます。
そのため、力の弱い人や女性、さらにはプレフィルターなどで大量に使用している人におすすめしたいろ材です。
良い点その2:目詰まりしにくい
目詰まりのしにくさについての話は、当ブログのろ材レビューで毎回挙げていますが、ざっくりと言えば大きさや材質によって違いはあれど、通水性が良好であるのがリングろ材の大きな特徴です。
言い過ぎかもしれませんが、全てのリングろ材がそうであると即決即断しても構わないほどの特徴で、逆を言えばどれも同じだということも言えなくもないのです。
そうは言っても、セラミックの物理ろ材であるエーハイムメックや、多孔質で生物ろ過もできるが目の荒いシポラックス、さらにはガラスろ材のポーラスリングや、プラスチックろ材で今回紹介しているバフィーサポートなどなど……各社差別化に勤しんでおり、多種多様のろ材が登場しているのが現状です。
言い換えれば、それだけ、ろ材の通水性の確保は大切なことだともいえるのですが……。
それを念頭に置いた上で次の話となります。
ろ材は組み合わせが大切【補足】
しかし、それゆえリングは膨大な商品群があり、どれを使えばいいの!? となりがちです。やはり覚えておいてほしいのは、ろ材は単独の性能よりも組み合わせであるということです。
持論ですが、単体での目詰まりしやすさばかりではなく、フィルター全体での通水性を重視するべきだと考えています。
目詰まりしやすさと硝化細菌が定着しやすさは、同一のことだという話はよくこの界隈で聞くことです。だからこそ、通水性がよく多孔質なろ材がもてはやされるわけです。
しかし、それらばかりに目を取られ、物理ろ過がおろそかになってしまい、ウールマットを詰まらせてばかりいては元も子もありません。
「通水性の良いろ材」・「目詰まりしないろ材」とは、言い換えれば、小さなゴミを素通りさせるろ材だとも言え、それを多量に用いればウールに極端な負荷がかかるからです。
もちろん、交換を頻繁に行えば解決可能ですが、これを地で行くと手間と時間、さらには費用がかかるようになり、癒しのアクアリウムから苦痛を感じるようになることもあります。
そうさせないためには、やはりフィルター全体でろ過をさせるべきでしょう。
単一のろ材を押し込むのではなく、吸水部から順に大・中・小と並べる。つまり、組み合わせです。
説明書にも書いてあるような基本的な知識ですが、汚れの集中を防ぎ、メンテナンスの回数を抑えつつ継続的な通水を確保できるようになります。忘れがちですが、本当に大切なことです。
もちろん、アクアリウムは趣味の世界ですから、極上の生物ろ過を求め、生物ろ材のみで構成したり、メンテナンスフリーを求め物理ろ材のみ詰め込むということもあるでしょう。
が、わたしがそうだったように、極端な思考に基づくろ材構成で10年、20年と続けると、どこかで失敗が起きます。
大きくつまずいたときの状況打破のヒントに必ずなるはずなのですから、「ろ材は組み合わせ」と頭の片隅に覚えておくと良いかもしれません。
※なお、バフィーサポートはやはり物理ろ材ですから、別途生物ろ材を用意して後方に配置すると良いでしょう。
(2021/4/15 追記)
良い点その3:耐久性もあり
さて、バフィーサポートの耐久性ですが、バッチリだと言えるでしょう。
わが家に来て4年間、ひたすら外部フィルターのろ材コンテナの中で働いてもらっていますが、いまだ割れたり、欠けたりしたものはありません。
これは、ガンプラのようなカチカチな硬質のプラスチックではなく、多少弾力を持たせてある材質がうまく作用しているようで、良い塩梅に衝撃を吸収しているため、損傷が起きづらいのかもしれません。
もちろん、他の重いろ材をうず高く乗せたり、両手でぐいぐいと潰すように力をかければ、破損は十分にあり得るでしょう。
言い換えれば、正しく利用すれば、耐久性になんら問題ないということです。
また、プラスチックでできているため、セラミックろ材の使い始めでよくある、粒子が水槽内を舞い黒い底床にまだら模様が残る……
そんな、景観台無しの面倒事とも一切無縁です。
当然、利用前の洗浄で粒子が出なくなるまで延々とすすぎ続けるような作業からも解放されます。
実はこれがプラスチックろ材の分かりやすい一番の利点なのではないかとごん太は思っています。
とにもかくにも、材質が違いは大きいのです。
バフィーサポートの残念な点
残念な点その1:新素材なのでよくわからないこともある
水槽を維持するという点においては十分に実用に耐えると思います。
となれば生物ろ過を任せたいところですが、ちょっと待ってください。
形状、材質的に、このバフィーサポートは圧倒的に物理ろ過のほうが得意ですから、任せるのならそちらにするべきでしょう。
もちろん、乳酸菌飲料のプラ瓶が生物ろ過に寄与することもあるわけですから、全くできないというわけではありません。
とは言え、この目新しい素材がどれだけの能力を持っている、詳しくわかっていないことがあまりにも多すぎます。
となれば、ろ材と愛魚の命、どちらを取るか言うに及びません。
しかし、これはプラスチックろ材全体の問題。
バフィーサポートが責められるべきことではないのです。
現実のろ過能力に限って言えば、フィーリング的には物理ろ材であるエーハイムメック、いやむしろミューロAなどよく似た感じです。
もし、これらに生物ろ過全てを担わせるのは、よほど大きなろ過層を準備しないと無理があるかもしれません。
残念な点その2:ろ材の清掃加減が付けにくい
このろ材が物理ろ過向けな理由、それは同じリング状でもシポラックスなどと違い、セラミックでもなければ多孔質でもないからです。
たしかに、表面は凸凹していますが、セラミックのようにバクテリアの好むようなきめ細かな穴はありません。どちらかと言えば、ゴミを絡めとるのに向いている有機的な形状を持つ溝が無数に掘られています。
そのため、物理ろ材もしくは生物物理ろ材として扱うのが正解のように思えます。
また、プラスチックという材質もその性質をあと押ししています。
バクテリアの付きが悪く、少しコンテナをゆすっただけで、結構な量のチリが剥がれて落ちます。このように特徴は、コロニーを定着させる生物ろ材として利用していれば欠点ですが、ゴミを絡め取る物理ろ材として使えば、簡単にかつごっそり取れるわけですから利点だと言えます。
そのような特性をバフィーサポートは有していますから、どちらかといえば、物理ろ材として力が発揮できる運用を心がけてあげたいところです。
毎回十分に汚れを落とす必要がある、いわゆる先頭の物理ろ材として、もしくはプレフィルターに利用するなどすれば、ろ材清掃に取られる手間と時間を抑えることができるでしょう。
何事にも適材適所です。
そして、ろ材は組み合わせ。
長所を最大限に生かし利用しましょう。
汚い凹凸があるのですが、バクテリアの食いつきはそれほどでもないようです。 |
残念な点その3:水に浮く
プラスチック素材ならではの特徴ですが、とにかく軽いのでろ材が浮いてしまうことがあります。
プカプカとバケツやろ材ケース内を漂うので、初回セット時は扱いづらいことこの上ないです。何もしないと浮いてバラバラになるので、なるべくろ材ネットやろ材コンテナに入れて使用することをお勧めします。
なお、ミカンの袋状のものが付属してきますので、別途用意する必要はありません。
とはいえ、この症状は使用開始から数ヵ月経過するとそれ自体が水を含むのか、次第に見られなくなります。
当然、水に浮くというデメリットは時間とともに解消されることになります。
現に、わたしのバフィーサポートは水に沈んでいます。
ですので、そこまで気にしなくてもいい欠点だということができそうです。
ただし、オーバーフローなどでろ材をひとまとめにせず積みっぱなしの人は、激しく難儀するかもしれませんので要注意です。
総評:プラスチックろ材との付き合いは始まったばかり
総評としては……、
たしかに、プラスチック素材のため、生物ろ過には不向きかもしれませんが、物理ろ材としてなら特性や形状も相まって大変便利なものです。
また、軽いために水に浮いてしまうこともありますが、その分力のない人でも楽に持てるので、セラミック製の似たようなサイズのものと比較すると、取り回しは良好だと言えます。
この先、どんどん革新的なものが登場する、そんな予感させられるろ材です。
というわけで、今回はここまで。
長文読んでいただき、ありがとうございました。
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