流木ではなく溶岩石に活着させるメリットとは?
(2024/8/17修正)
今回は、ミクロソリウムを溶岩石に活着させるお話です。
その方法と、メリット・デメリットについて述べていきたいと思います。
短時間かつ簡単な手法ですので、頭の片隅で覚えておけば役に立つときもあるかもしれません。
メリット・デメリット
今も昔も、活着する水草には流木が定番です。が、最近わたしは、好んで小さな溶岩石を用いています。これは、以下のような理由があるからです。
① 足元にはゴミが溜まりやすいから
② 水槽の高さが足りなくなるから(後述)
プレコマニアを自負していますので、流木に並々ならぬ思いがあります。しかし、これがどうしても気になるので、現在では最低限の利用に留め、溶岩石を使っています。
では、その利点・欠点は?
次から述べていきたいと思います。
(ミクロソリウムを溶岩石に。綺麗でしょ?) |
メリットその1:取り出し&設置が楽々
溶岩石は同じ活着させる素材の流木と比べ、コンパクトサイズとなっています。そのサイズ感から生まれるメリットは2つ。
1つは、小さいゆえに軽く、取り外しが簡単なことが挙げられます。清掃時の取り外しも楽々で、溜まったゴミを思う存分掃除できます。
また、倒れる心配もないため、底床深く固定する必要もありません。そのため、掃除をするたびに流木をどかし、底砂からレイアウトが崩壊することもありません。
もう1つは、すぐに取り出せるので、水草のメンテナンスや再配置も容易です。トリミングや黒ヒゲ苔の処理など、成長速度が遅く苔が付きやすい陰性植物は、想像以上に細やかなケアが大切です。流木に付けたときと比較して管理が簡単になります。
また、容易に取り出せるということは、
レイアウトの変更もお茶の子さいさいです。
「この水草、大きくなったからの移動したいんだけど、流木がでかいから場所が決まっているんだよなぁ。」
という不満からも解放されるわけです。
小さなサイズゆえに小回りが利きので、いままで痒かった所に手が届くようになるのです。
メリットその2:大型水草を余裕で入れられる
溶岩石は高さがないので、ミクロソリウム・プテロプスやアヌビアス・バルテリーなど大型水草導入のハードルが低くなります。
そもそも、これら大型の水草の活着系水草、実はそれほど草高がありません。ですが、流木に取り付けるとその高さは……
実際の高さ=流木の高さ + 水草の高さ
となり、想像以上にかさ増しされることになります。なら、流木の低い位置に取り付ければいいじゃない! となるのですが、そうはならないのが難しいところ。
「活着できる部位」というのは、なんとなく決まってます。これは、一時でも造園を学んだことのあるわたしの持論ですが、流木にも石と同じように顔(正面)があります。それに合わせて、水草を乗せるべき場所もぼんやりと決まっています。
そして誰しもが、収まりの良い向きで流木を置き、アクセントとなるよう水草を活着させいところ。結果、意図せず草高が大きくなり、水槽に収まりきらないことが実に良く起きるのです。
こうなってしまうと、流木がカッコよく見える向きをとるのか? 水草が映える位置を取るのか?
彼方立てれば此方が立たぬという状態になります。
もし溶岩石なら、水草の根はほぼ底床と同じ高さになりますので、大型の活着系水草でもゆうゆうと水槽の高さ納まるワケです。
たしかに流木の麗美さは失われますが、実用面ではこちらの方が上だと言えるでしょう。
メリットその3:流木のアク抜き不要!
さて、流木のアク抜きは想像以上に時間が掛かるものです。
煮沸に真水に放置と手間暇かけて処理をしてみたものの、結局飼育水がブラックウォーターに、ということを1度は経験したことがあるのではないでしょうか?
……若い流木はアクを出し、年老いたものは朽ちていく。これを楽しむのもアクアリウムの嗜みではありますが、タイパ重視の昨今では否定されがちです。
では、溶岩石の場合は?
石ですからアクは出ず、当然それらの対策は不要です。
利用方法も、しっかりとブラシなどで洗浄してから導入するだけ。流木と比べればすぐに利用できるのです。
以上のような3つのメリットがある溶岩石と活着系水草の組み合わせですが、やはりデメリットもあります。
デメリット:硬度が上がる
最大のデメリットはなんでしょう?
それは硬度が上がることです。
いくら溶岩石が硬度を上昇させづらいと言えども、少なからず影響はあります。
軟水を要する栽培難易度の高い水草がある水槽では、利用をお勧めできたものではありません。
とは言え、販売されているほとんどの活着系水草は低硬度の要求性が低く、ことアヌビアスなど弱アルカリを好むような水草にとって硬度が上がることはむしろプラス。
ですから、溶岩石から溶出する硬度についてはそれほど問題視しなくてもいいかもしれません。
それでも、気になるならば、……しっかりとアク抜きした流木に活着させましょう。
【余談】溶岩石とソイル
さて、我が家の水槽では溶岩石に水草を活着させてから、古いもので利用を開始してから6年目に突入します。
現在の水槽は底床にソイルを利用し、溶岩石付きミクロソリウムを4つほど栽培していますが、ソイルの効果により相殺されているようで、常時GHが0~4°dH付近に保たれています。
正直な話をすれば、溶岩石のサイズにもよるのでしょうが、それほど目の敵にすることでもないようです。
水草水槽において、ソイルという強い軟水化作用をもつ底床を利用するわけですから、硬度0を保ち続けることが必須な難栽培種でもない限り、そこまで意識しなくてもよいのかもしれません。
(2021/3/29 追記)
溶岩石にミクロソリウムを付けてみる
道具
このパートでは、利用する道具を述べていきたいと思います。
【利用した道具】
・溶岩石
・ビニタイ(木綿糸)
・水草
溶岩石は実店舗あるいは、チャームなど通販でも購入できるでしょう。
ホームセンターには袋に入って売っていますが、やはり専門店で手にした方が心理的にもよさそうです。高い物ではありませんからね♪
次いでビニタイ。
活着するまでの補助として、水草を挟むように流木に巻き付ける物です。
100均の物でも錆びたことがないので好んで利用していますが、気になるならアクア専用品を用いましょう。
なお、木綿糸や釣り糸でも代用可能です。ご自身の好みに合わせて選びましょう。
最後は水草。繰り返しますが、上で述べた通り硬度の問題があるので、活着系水草はなるべく難易度の低い物を用意しましょう。
さぁ、それでは水草を取りつけていきましょう。
写真は溶岩石とビニタイ(100均) |
実際の方法
① 購入した水草を検疫
スネールが潜んでいるのは、実によくあることです。
観察して可能な限り手で駆除し、必要あれば「水草その前に」を利用しましょう。
② 溶岩石をよく洗う
いくらアクが出ずブラックウォーターにならないと言えども、買ってきたものをそのまま水槽に持ち込むのはNGです。信頼できるショップだとしても、ブラシでガシガシと洗いましょう。
③ 水草の形状から取り付ける探す
ビニタイで締め付けて固定しますので、硬くて太い部分を探しましょう。ミクロソリウムなら茎に掛けるのがベストです。
(例として今回はミクロソリウム・ウェンディロブを固定することに) |
④ 仮組してから固定する
まずは仮組してみて、石や水草の向きをチェックしましょう。
その後、写真のように固定します。この時きつく締めすぎると茎を痛めてしまい、腐ることもあります。力加減には注意しましょう。
(溶岩石に乗せて、ビニタイで固定。) |
⑤ 余ったビニタイを切り取る
余ったビニタイをカットします。
数日で緩んで外れることもありますが、それでもきつく締め付けるのはNG。
巻き直しは何度でもトライできますが、水草が枯れてしまってはそれすらできません。
(余分なビニタイをカットしてできあがり!) |
⑥ できあがり!
最後に水槽内のお好みの場所にレイアウトしてできあがり!
ね !簡単でしょ!!
あとは待つのみ
このまま2~3ヵ月待てば、ミクロソリウムの茶色の根が溶岩石を包み込むように活着するので、そのタイミングでビニタイを外しましょう。
※
ものぐさな人は外さなくてもOKです。わたしも外しません。
ただし、鉄分が溶出する可能性もあるので、敏感な生態を飼育している人はビニタイではなく木綿や釣り糸の方がいいのかもしれません。
なお、より詳しい活着方法については
【簡単!5STEP!】ビニタイでミクロソリウム・ウェンディロブを活着!
で、詳しく説明しているのでそちらをご覧ください。
というわけで、今回はここまで。
長文読んでいただき、ありがとうございました。
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