撮影水槽の反射防止
(2024/8/30 修正)
今回は、ベアタンクの底面の反射を防止する道具を自作していきたいと思います。
作成方法は極めて簡単で、ただ塩ビ板をカットしてやすりがけをしてはめ込むだけ。
たったこれだけで十分に機能するものが作れるので、軍手をはめて楽しく作業しましょう♪
塩ビ板にした理由
安い!!
さて今回は黒色の「アクリル板」ではなく塩ビ板を選びました。
その理由は……
値段!!
塩ビは、アクリルと比べてビックリするぐらい安価なのです。
また、柔らかく加工がしやすいのも一因です。
極めて薄いものは、ハサミで切れてしまうほど。今回利用する0.5mm厚なら普通のカッターで対応でき、普段使いではほとんど出番のないPカッターを用意する必要はありません。
ただし、最近は100均でも置いているので、夏の水温対策として水槽のフタを自作する予定がある人は、専用カッターを購入しておいても損はないはずです。
どちらにせよ、切断仕損じて表面を傷つけても、どうせ反射防止のため紙やすりを擦るので、硬くてつるつるピカピカなアクリルより安い塩ビがおすすめです。
写真撮影用水槽が欲しい!
さて、なぜこのような自作をしたか、という話をしなくてはなりません。実はわが家には、ブログ用の写真撮影用の水槽がなかったからです。
魚たちが住んでいるタンクでは、レイアウトや水草、さらには器具の設置の関係でうまく撮れないことがよくあります。そのため撮影する際は、それらをどかすことになるのですが、意外と手間と時間がかかるのです。そこで、隔離用を撮影用に改造することにしたのです。
これなら、魚も器具も入っていないので、好きなアングルから撮り放題というワケ。
しかし、そもそもこの水槽は緊急時に設置するものであり、当然ながらベアタンク。わざわざ撮影用水槽に転用させても、底に光が反射して見栄えの悪い写真ができてしまい、困りものです。
そのような理由から、反射防止のためにベアタンクの底面に黒の塩ビ板を設置することにしました。
反射を防止させる利点
なお、今回の自作物ですが、光の反射を防止しますので、写真撮影以外でも多くのメリットがあります。
まず、ガラスの上にそのまま平面の塩ビ板を敷くわけですから、同目的での底砂を必要としません。結果、ガサゴソとプロホースをかけることはなくなり、すこぶる掃除がしやすくなります。残飯や糞の掃除が面倒な大型魚や肉食魚水槽で設置すると、メンテナンスの時間と体力を大幅に軽減してくれます。
また、黒色であるのも大きな利点です。ガラスむき出しのベアタンクのときより光の乱反射が抑えられ、明るさを低減させてくれます。これは、観賞者の目に優しいのはもちろんのこと、 魚の黒系の色が飛びにくくなる効果もあります!
「ソコモノ」と呼ばれるプレコやポリプテルスはこのような色合いが多いため、それらを実際に飼育している熱心なファンの人にはぜひともおすすめしたい方法です。
そう断言するのには理由があります。わたしも過去に利用したことがあるからです。当時、デルヘジィとローウェイのベアタンクに取り付けましたが、その掃除しやすさと色飛び防止効果はてきめんです。愛魚がよりかっこよくよくなります。
かっこよく?
いえ、むしろ、かわいくでしょうか?
あぁ……、ポリプの餌くれダンス……最高です。
当時を思い出しただけで、なんだか幸せな気持ちになってきました。
塩ビ板で反射防止板を作る!(道具編)
さて、このパートでは、道具と方法について述べていきたいと思います。
【道具一覧】
・塩ビ板またはアクリル板(黒)
・Pカッター(アクリルカッター)
・水槽
・紙やすり
→#400、#600、#800、#1000、#1500、#2000
タミヤのフィニッシングペーパー(細目セット・仕上げセット)が各番手そろっていて、おすすめです。
紙やすりは持っておくと便利
この記事では、#400から削り始める方法を紹介しています。
しかし、先にも述べた通り、塩ビ板は柔らかい素材です。そのため、低い番手から始めると明らかに削り過ぎになります。表面を均一なつや消し状態にするには手間と時間がかかるようになります。
そこでおすすめしたいのが、柔らかい素材では#1000からスタートすることです。#1500、#2000と順に目を細かくしていきましょう。こうすれば、時間を短縮でき、省エネルギーで自作できます。
なお、アクリルのような硬い素材の場合、#400から削り始めると良いと思います。
話が変わりまして、紙やすりは大した値段ではありません。各番手をそれぞれ持っていると便利なのですが、木工でなければ使い切れず、保管場所を取るようになります。プラモデル用のセットものなら、3種類ずつ異なる番手が入っており、程よく使い切れるサイズのため、使い勝手が良好です。工作中のつや消しやバリ取りはもちろんのこと、水槽についた炭酸カルシウム落とし(ガラスの白い結晶)にも利用できたりします。
何かと便利なものですから、持っておいて損はない道具だと言えるでしょう。
利用した塩ビ板について
今回使用する塩ビ板です。
厚さ0.5mmを使用しました。
自作で利用する塩ビ板は、極端に薄いものやジャストフィットサイズは避けましょう。というのは……
水槽に設置後、底面と塩ビ板の間で表面張力が働いて貼りつき、柔らかいためにピッタリとフィットして外れなくなってしまうからです。
これを防ぐ方法は……
・なるべく厚い塩ビ板で作ること
・底面ピッタリなサイズにしないこと
・分割して取れるように2枚にする
・できれば余白ができるサイズにする
では、もし貼り付いて取れなくなってしまったら……?
実際に遭遇しましたので、その方法は手順編に記しておきました。
こうまでして、板を外すのには理由があります。水槽の底面はライトが当たる面積が広く、汚れやすい肉食魚のベアタンクでは黒色の板が茶色くコケるからです。
もし、簡単に取り外しができれば清掃時にすこぶる便利で、すなわち清潔感に繋がり、大型魚がよ映えるようになります。
ベアタンクでは魚の背景となるものが、バックスクリーンか底床しかありませんから、常に美しく保ちたいものです。
なお、塩ビ板自体はこんな感じ。まるで鏡ですね?
(黒い塩ビ板に水槽台が映り込んでいます。) |
そのため、サンドペーパーで艶消し加工するというわけです。
塩ビ板で反防止板を作る!(手順編)
水槽の底面を測る
作る前には、必ず底面のサイズを測定しておきましょう!
今回は19×15cmでした。
外しやすさを考慮した結果、今回は18.5×14.5cmに塩ビ板カットし、取り付けることにしました。
しかし、実際にそのサイズに切断し、仮置きしてみると大失敗。
(隙間がどこにもない。これでは外せない。) |
底面とピッタリな大きさであったため、早速外せなくなりました。
(考慮とは一体……!?)
これでは、作業ができません。底面とほぼ同じサイズのものを設置するのはやめましょう。
なるべく、複数枚に分割でき、ガラス面に余白ができるものをお勧めしたいと思います。
で、どのようにして取り外したかと言いますと……
(次パートへ続く)
【補足】貼りついた塩ビ板を外す
こうなると大いに慌てる事態となります。
もし、外れなくなったときは塩ビ板と底面の間に何か物を差し込めば、表面張力が抜けて簡単に取り外しができます。しかし、隙間がないとそれすらできません。
仮に、ドライバーなど硬いもので無理やり外そうとすれば、底面を傷つけ、致命傷になるのは明らか。鋭利なものを握った手で水槽内を右往左往するのはやめておいた方がよさそうです。
では、どうすればいいのかというと……
キスゴムです。
今回はエーハイムのものを塩ビ板に貼り付け、取っ手代わりにすることで難を逃れました。もちろん、一発で取れることは毛頭なく、何回もチャレンジしての結果です。無駄に時間を使いました。
そうならないためにも、なるべく厚い板で、底面との隙間ができるよう作成しましょう!!
話は、作業へと戻ります。
(やすりをかける前塩ビ板) |
切断面のバリを落とす
「バリ」は大変危険です。
切断面には尖った削りカスが付着しており、さながらノコギリのようになっています。これはバリと呼ばれるもので、手で触れると皮膚がざっくりと切れ、出血に至ります。
とりわけ、水替えをする際には痛みを伴い、かつ大変不衛生です。
アクアリストの手は、水槽の中で生きるみんなのものです。
負傷などでメンテナンスが億劫になれば、直接被害を受けるのは魚たちです。指を切らないためにも、断面を丁寧にやすりがけして、バリを取り除きましょう。
もちろん、作業中には軍手を着用しましょう。
なお、今回は#600でバリを取りました。
#400で表面をやすりがけをする
※
塩ビ板で自作するときは以下のような作業を、#1000、#1500、#2000と順に行ってください。
ここからは、ちょっとした失敗小話。
まず、#400の紙やすりを塩ビ板に軽く当てて擦ります。
下の写真は#400で削ったあとの塩ビ板です。
かなり表面がザラザラに、というより……
どうするの、これっ!?
紙やすりで平らにするの!?
というぐらい、見るも無残な状態になったのがお分かりいただけるかと思います。
そのため、柔らかい塩ビ板は、#1000から削り始めたほうが無難です。
アクリル板など硬い素材なら、#400からスタートしても良いと思いますが……。
#600も同様にやすりがけをする
あまりに凸凹で白いムラができていたため、泣く泣く#600でやすりがけした後の写真です。
水で洗うと、なんとか均一になったように見えますが……
(これで完成! といきたいが) |
しかし、水中に入れてライトに照らされると、やはりまだ表面が荒すぎるためか、白色のムラが出てしまいました。
結局、#1000、#1500、#2000でさらに削り直すことになりました。
最後は、よく水で洗って出来上がりです。
それでは、早速塩ビ板を撮影用水槽に取り付け、水を張ってみましょう。
綺麗にできたようです。
塩ビ板は柔らかいので、#1000からスタートすれば労力も少なくて済むでしょう。とほほ。
実際に撮影してみた
最後に、水草を入れてパシャリ。
上の写真のような感じに、反射を抑えられているのが分かります。
というわけで、今回はここまで。
長文を読んでいただきありがとうございました。
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