ウールマットは高い!交換したくない! しかし……
(2024/9/19 修正)
さて、ここからは外部フィルターのウールマットについての話となります。
メーカーによりますが、上部フィルターと違い外部フィルターのものは妙に値段が高いため、交換するのをおよび腰になりがちです。
しかし、もったいないからと言って、モミ洗いして再利用し続けていると、そのうち大変なことになりますよ?
というわけで、今回はウールマットの失敗談を、読み物と解説の半々で述べていきたいと思います。
なお、当記事で紹介する物品は全て自費で購入したものです。
ウールマットの失敗談
モミ洗いすればまだ大丈夫?
時はさかのぼり、今は2000年代中頃。東京のスカイツリーが影も形もなかった頃のお話です。
今日は待ちに待った、極上のエアが出るエアストーンが届く日。
最近使い始めたネットを駆使し、アクアショップ巡りをせずとも意中のアイテムの手配に成功したのである。新しいアクアグッズがわが家にやってくるとなれば、アクアリストならすることはただ一つ。
「よし! 良いお迎えのために水槽を掃除するぞ!」
しかし、水換えはつい昨日済ませたばかりだ。だが、掲示板で話題になっていたニューカマーの来着を前に心が沸き立っている。これを無視するわけにはいかない。
視線を下にやると鎮座するエーハイム2213、「そうだ!」とばかりに1週間に一回の嗜みである外部フィルターの簡単なメンテナンスをここで済ませることにした。
さっそうとパワーヘッドを開け、ウールマットをモミモミ。
黒くとろろのようになっていた純正マットだが、純白とまではいかないまでも、なんとか使えそうな元の姿に戻ってくれる。かれこれ6ヵ月の付き合いとなっているが、こうやって頻繁にモミ洗いして使っていればまだまだ使えるのだ。これを使い捨てにするなんて、とんでもないことだ。
とにもかくにも、あとは到着を待つばかり。いつものワセリンをOリングに塗り直し、わたしは手早くフィルターを再起動させた。
突然の粉雪
ピンポーン♪
ちょうどエア噛みが収まったころの昼下がり、期待の新人はやってきた。
極小サイズのエアだという評判を確かめるため、梱包されていた段ボールを放り出し、しまい込んだエアポンプ一式を引っぱり出す。そして、水にしばらく浸したのち、エアチューブと接続してコンセントに差し込んだ。
ショッワァー♪
……納得の美しさだ。これなら溶存酸素濃度が上がるという話も、あながちウソではないだろう。
今は自動で電源のon/offをこなしてくれるタイマーがないため観賞はここまで。それまでは、しばしお預け、名残惜しいがスイッチオフ。
エアストーンを手取り商品紹介のサイトで能書きを読み悦に浸る。そして視線を再び水槽に戻すと、いつまでもきめ細やかなエアが漂っていた。
噂には聞いていたが、極小サイズの気泡は破裂せず、水流に乗りいつまでも残り続ける。粘性の高い海水では造作もないことだが、こと淡水に至っては実現が難しいことだ。それが今、このストーンを使えば……
「って、よくよく見ると、こりゃあエアじゃない!」
時計を見る。スイッチオフからは優に5分は経過している。調査開始。
ストーンから出ているわけでもなく、プレコが低床をかき混ぜたわけでもない。
「原因はなんだ? どこなんだ!?」
そして、ついに見つけてしまうのである。
「えっ? パイプから粉雪みたいなゴミが出てる!?」
しかし、先ほど軽いメンテナンスをしたばかり。それでも、目の前でこのような光景を見せられては疑う余地は一切なく、かくしてろ材をとっかえひっかえして原因究明が始まりました。
物理ろ材を抜いてみたり、生物ろ材を抜いてみたり、はたまたウールを抜いてみたり。それでも粉雪は収まりません。えーい、ままよ! と6ヵ月連れ添ったウールマットに見切りをつけ、新品に交換。
途端に粉雪はなくなり、これが犯人だと示唆する結論を得ることになりました。
「でもウールは真っ黒じゃないし、まだまだ使えそうだけど、なんで!?」
その時、何が起きていたのか?
若かりし頃、そんなストーリーがあったかは定かではありませんが、少なくとも、モミモミしてやれば「まだ使える」という思いで再利用を継続した結果、粉雪を出してしまったのは事実です。
たしかにウールマットは、生物ろ過もできるろ材ですが、そもそも取り除けなかった小さなゴミを最終的に集積する部分であるため、どちらかと言えば物理ろ過の働きを担っています。美しく輝く水を作り出すための仕上げパート。
そこで、
ふんわり柔らかな素材で優しく包み込むようにしてチリを絡めとる一種の篩(ふるい)が本来の姿です。
これを限界を超えて再利用を目的としたモミ洗いをしていては、いわゆるへたった状態になり、その特性が損なわれ役割を果たせなくなります。
結果、再利用でいろいろなトラブルに見舞われたことになります。
まずは、わたしが経験したのは、篩としての能力低下から粉雪のような浮遊物が排出され続けることがありました。
また、これは新品と交換した前後関係でわかったことですが、病気の原因だという示唆に富んだ知見を得ることとなりました。いくら洗っても、ウールに絡んだ全てのゴミが除去されるわけではないため、局所的なフィルター詰まりにより嫌気性域が生まれ、そこでエロモナスなどが繁殖したのだと考えられます。
とにもかくにも、この経験以降、ウールはディスポ感覚で1度きりでゴミ箱行きです。
謎の粉雪もなくなりました。病気も減りました。たしかにお財布には響きますが、魚の健康には変えられません。
高いと感じるのなら、まずは安い物にするべきだ
最後に、これはわたしの考えなのですが、ウールマット自体は丁寧にやさしく清掃するのであれば、2~3回程度の清掃に耐えうると思います。
しかし、もったいないのは分かりますが、何ヵ月にもわたって再利用し続けるのは、やはりリスクの高い行為だと言えるでしょう。
利用は自己責任でという前提条件が付きますが、純正品が高いのなら互換品を利用してみてはいかがでしょうか。
わたしが愛用しているのはダイカオプションフィルターです。機種にもよりますがおおよそ半額で利用でき、モーター部への侵襲性も低いようで、20年間大きなトラブルはありませんでした。
魚の命とお金、どちらを取りますか?
というわけで今回はここまで。
0 件のコメント:
コメントを投稿