分解してワセリンを塗るところ、無理に塗らない方がいいところ
(2024/9/23修正)
さて、ここ数回にわたりフィルターメンテナンスについてのノウハウを紹介してきました。
今回は、外部フィルターのワセリンの塗布するパーツについて述べていきたいと思います。
ワセリンを塗る場所、塗らないとどうなる?
ワセリンを塗る意味
さて、実際にワセリンを塗布するにあたり、まずはその意味や塗るべき箇所について述べていきたいと思います。
ワセリンを塗る意味は、大きく3つあります。まず水漏れを防ぐこと、そしてOリングの劣化を防ぐことです。さらに、フィルターケースとの摩擦を減らし、パワーヘッドのスムーズな着脱にも一役買っています。
なお、その止水性についてですが、たしかに1時間に数滴程度のポタポタ漏水なら止めることができますが、ダラダラと漏れ続けるものには効果はほとんどありません。そのため、私個人としては後者2つの意味合いが強いと考えています。
とにもかくにも、外部フィルターは高価ですから、正しく塗って破損や劣化、そして漏水もなく長く使いたいものです。
Oリングが劣化すると?
さて、エーハイム2213や2233などに採用されている赤のシリコン製のOリングは、かなりの耐久性があるように思えます。
ワセリンさえしっかり塗っていれば、「いつまで利用できるの?」と思ってしまうぐらい物持ちが良いです。現にわたしの2213のOリングは優に10年以上利用できているものもあります。
とはいえ、長い飼育経験の中で、劣化による漏水を起こしたこともあります。わたしのケースでは、フィルターケースとパワーヘッドの間から、水滴が滴り落ちるというものでした。
以下は原因究明の体験談です。
ある日、突然のポタポタ漏水。調査の結果、パワーヘッドとの接続部から漏れ出ていると判明しました。
「どうせ、しっかり締まっていないんだろう?」
当初、それぐらいの疑いしか持ちませんでした。しかし、その取り付け部やフィルターケースとの噛み合わせ、さらには異物の巻き込みなどを丁寧にチェックしても原因は分からずじまい。
消去法的に、Oリングの劣化を疑うことになりました。
ライトで照らしつつOリングを伸ばして丹念に観察すると、1ヵ所にスッと入った細長いライン。どうやら劣化によるヒビのようです。しかし、これだけで原因だと糾弾するのは早計なため、再現実験をしてみることにしました。
まずはOリングの傷ついていた場所にマジックで印をつけ、次いでパワーヘッドに取り付け直し、こちらにも合わせてマークしておきます。最後はフィルターの電源を入れて再稼働し、15分ほど観察をしてみることにしました。
すると、まるで針でつついた指から血が出るように、ジワリジワリと水が染み出てくるではありませんか!
すぐにOリングを交換し大ごとには至りませんでしたが、それ以来メンテナンス後には必ずワセリンを塗るようにしています。以後、同様のことは起きていませんので、劣化を防ぐためのメンテナンスは大切だと言えるでしょう。
ワセリンはOリングの滑りを良くする
その他、ワセリンの効果は漏水防止やOリング劣化防止以外にも、スムーズにパワーヘッドを着脱させるという役割もあります。
本来、ゴムは滑りづらい特徴を持っています。そんな素材でできたものをパワーヘッドとフィルターケースの間に挟み、ねじ込もうとするのなら、大きな抵抗を生み出します。
とりわけ、エコシリーズはレバーを用いてテコの原理でパワーヘッドを押し込むため、非常に強い力がかかるものと考えられます。結果、Oリングがねじれたり、ねじ切れて漏水したということは、よく耳にする話です。
塗ればスムーズに着脱でき、かつ破損も予防できますので、エコシリーズはヘッドを開けたらワセリンを塗りましょう。
ワセリンを塗っておきたい場所をまとめると
繰り返しますが、Oリングにワセリンを塗るのは、接続部からの軽度な水漏れの防止、劣化防止、さらにはスムーズな着脱という理由があるからです。
言い換えれば、
Oリングがある=パーツの接続面が水と接する
→ワセリンを塗るべき場所
とも言えるわけです。まずわかりやすいのが、パワーヘッドについているOリング。クラシックシリーズやエコシリーズなら赤いシリコンゴムのものがついています。もちろん、プロシリーズも適宜塗布しておくことをおすすめします。
次にぜひとも塗っておきたいのがダブルタップ接続部にあるOリングです。また同じく、エーハイムプロシリーズの象徴でもあるダブルタップユニットやトリプルタップユニットの根元にもOリングが仕込まれています。
それらも要のパーツでもあるので、塗っておきましょう。
無理して塗らなくてもよい場所もある
ワセリンはOリングの性能を維持するために大切なものです。しかし持論ですが、分解もしくは組み付け時に破損の危険性を伴う場所については、無理に塗布する必要はありません。
ダブルタップを分解してまでワセリンを塗る必要はなし
実は、ダブルタップの内部、コックの付け根にもOリングがあります。
(赤丸内に小さなOリングがある) |
パーツ同士の接続面かつ水流と接する部分のため、そのような構造となっているのだと思われます。理想を言えば、ここにもワセリンを塗布するべきです。
しかし、ダブルタップを分解すると破損する可能性が高いため、決しておすすめできません。壊してしまったら、それこそ水はだだ漏れです。
分解しないでワセリンを塗る方法もありますので、そのような情報を元に検討している人は控えるべきです。
詳しくは次回紹介したいと思います。
2213のケース下部にある吸水口にもOリングがあるが……
さて、数あるパーツの中でも意外と見落としがちなのが、2213のフィルターケース吸水口。その根元にもOリングが付いています。
こちらは吸水系統なので、隙間がふさがっていない場合は水漏れではなく、空気を吸い続けてエア噛みが治らないという症状が出ます。本来ならばワセリンを塗っておくべき場所だとも言えます。
しかし、組み立て時に破損しやすいパーツにもなっています。
トラブルが起きるまでは手を触れず、そっとそのままにしておくのも一つの手だと思います。
下のチラシはサブフィルター2213に入っていたものです。締めすぎないように強く注意喚起しているので、よほど破損が多い部位なのでしょう。
なぜ破損が起きるかと言えば、この吸水口はOリングを挟むようにして、それ自体の持つネジでフィルターケースに止まっています。これをぐりぐりと締めすぎると、クサビのごとくネジが食い込んでケースを割ってしまうというわけです。
わたしもワセリン塗布後に吸水口を締め付けすぎて、ヒビを入れた経験があります。交換パーツは結構なお値段になりますし、予備のフィルターがなければ大変な目に遭います。上のチラシは、その時破損したケースと交換する目的で購入したサブフィルターに付属してきたというわけです。
詳しい体験談はこちら。
このように吸水口やダブルタップなど、パーツ自体が高価なものは、無理に分解してメンテナンスしないのも一つの答えかと思います。
というわけで、長文読んでいただきありがとうございました。
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