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2017年11月28日火曜日

溶存酸素量と水温の関係~どうして夏の水槽は酸素不足になりやすいのか?~

夏に水槽の酸素が不足する理由

(2024/10/3 修正)

今回は、水温が上がるとなぜ酸素不足になるのか、ということについて説明したいと思います。そのため、初心者向けの内容となっております。



水温と熱帯魚


温度が上がれば、溶存酸素量は下がる

なぜ、夏のように水温が高いと熱帯魚にとって負担となるのでしょうか?

まず、要因として挙げられるのが、溶存酸素量が減少することです。
これは、簡単に言えば水に溶けている酸素が、空気に抜けてしまうことを意味しています。
魚はエラ呼吸ですから、それが減ると酸欠になり、やがて窒息してしまいます。

では、溶存酸素量はどれだけの割合で水温上昇とともに減少するのでしょうか? 下に温度とその関係について、「よく使う温度」の一例を記しておきます。

0℃  14.16 (mg/L)
19℃  9.01 (mg/L)
26℃  7.99 (mg/L)
33℃  7.22 (mg/L)
35℃  7.04 (mg/L)

仮に26℃→35℃に水温が変化すると、酸素の量が7/8(87.5%)に減少してしまうわけです。以下、あくまで人間の話ですが、正常に生命活動を行うには酸素量20%の空気が必要ですが、もしそれが7/8(酸素量17.5%)になれば、酸欠防止のため連続換気や呼吸用保護具を要するようになります。
魚においても同様だと仮定すれば、ギリギリの酸素量だと考えられます。



水槽の酸素は減りやすい

「なーに、たったの7/8程度でしょ?大丈夫、大丈夫ー♪」

が、これでうまくいかないことは、多くのアクアリストの経験からすでに示されていることです。

もし、過密飼育の場合、酸素はあっという間に不足することになるからです。また、飼育数だけでなく、温度が上がることで個々の代謝も活発になり、普段よりも酸素を消費することも問題です。

結果、水温上昇は水槽全体で溶存酸素量が減少し、酸素消費量が増加するという悪夢のような状況を生み出します。そのためのエアレーションです。水面を揺らし、対流を起こし、空気中から水へと酸素が拡散するのを促そうというわけです。

さて、酸素の量が減少して困るのは魚ばかりではありません。次のパートではそれについて述べていきたいと思います。



硝化細菌だって水草だって酸素が欲しい!


硝化細菌は酸素でろ過している

硝化細菌といわれる亜硝酸菌や硝酸菌も、ろ過の過程で酸素を利用します。

亜硝酸菌ならば、アンモニウムを亜硝酸にするときに、
硝酸菌ならば亜硝酸から硝酸にするときに酸素を消費します。

これらの硝化作用で生まれたエネルギーは、炭酸同化でブドウ糖などの炭水化物を作り出す際に利用されるため、彼らにとっても酸素は生命線だと言えるでしょう。

そのため、生物ろ過を進めるためにも、維持するためにも必要なものだと言い換えることができます。夏の高温により起こるろ過の不安定には、このような背景があるのです。



植物だって酸素を消費している

植物も温度が上がると 酸素の消費量が上がります。

え? 水草って酸素を出してくれるんじゃないの?
そう思ったあなたは半分正解です。

ですが、光が当たっていない夜は光合成ができないのです。

たしかに、植物は光が当たっているときにはブドウ糖を作り出し、副産物として酸素を放出します。しかし、これは光合成で作り出される酸素の方が多いため、見かけ上、酸素は放出されているように見えるだけです。

実際には、並行して人間や細菌と同じように、細胞内での呼吸においてブドウ糖を分解してエネルギーを作り、その際に酸素を消費し続けています。なぜなら、植物にとっての光合成の目的は「酸素を作ること」ではなく、「エネルギー源を作り、それを自分で食べること」だからです。植物だって生き物です。仕方ありません。

さて、水槽においては、夜間やライト点灯直前の時間帯に不足気味になると言われています。光合成が止まった水草たちが、酸素を消費し始めるからです。これに対して、多くの水草水槽ではライトオフに合わせてエアレーションを開始することで水槽内の酸素不足を補おうとします。

水草がたくさん植えたからといって、酸素が豊富になるとは限らないのです。



温度が上がると代謝が上がる理由

温度が適温と感じられると、私たち人間は活動が活発になりますが、細菌や植物も全く同じです。

私たち人間の細胞にも、植物の細胞にも、細菌の細胞にも、酵素という生体触媒があり、これがうまく活動できる温度が36~37℃付近となっています。例えば、私たちの体は常に体温がその付近になるように作られていますし、ほとんどの細菌の培養も同様に37℃付近で行います。また試験管の中での話ですが、光合成も30℃付近でよく進むようにできています。
とにもかくにも、生体内での反応は、30℃付近で活発になるようにできているのです。

「人間が水草や細菌と同じ!?」

なんて驚くかもしれませんが、動物や植物、そして細菌へと進化の過程で分かれる以前から、酵素が存在していたと考えられていますから、同じようなものを持っていて当然だと言えるでしょう。

というわけで、水温が上がるだけで、魚、硝化細菌、水草など全ての生き物の酵素が良く働くようになって代謝速度が上がり、酸素不足になるというわけです。



温度の乱高下は水槽全体にとって悪影響

最後に、いままで温度上昇によるさまざまな問題点を記してきましたが、ここからは全く別の話となります。

夏場の管理が難しい理由の1つとして、水温の乱高下が挙げられます。例えば、14時付近には32℃まで上がり、朝の4時頃には26℃まで戻る。こんな状況では熱帯魚や硝化細菌も人間と同じように体調不良になってしまいます。

これはつまり、熱帯魚とろ過の夏バテ。結果、水質は不安定になりやすく、魚も体調を大きく崩しやすい状態になります。ですから、なるべく26℃をキープすることが夏の飼育では大切です。

というわけで、溶存酸素の話はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。



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