ミナミヌマエビ導入失敗談
(2024/9/6修正)
今回は、ミナミヌマエビにおける飼育の注意点について紹介していきたいと思います。
結論を先に書くと、難しいのが導入とその換水です。エビは水質の変化にデリケートなんてよく言いますが、正しく理解できていますか?
わたしは、お迎えするまでまったくの誤解をしていました。
ミナミヌマエビエビだって難しい
淡水エビにおいて、飼育が簡単と言われているミナミヌマエビ。確かに、魚より簡単な側面もあります。しかし、それはエビの仲間の中では簡単なだけであって、魚と直接比較はできません。エビはエビなりの難しさも併せ持っているのです。
水辺の生体が好きなのはきれいな水という「思い込み」
わたしはプレコを飼育しています。アマゾンの清流に住んでいる魚であり、また大食漢なので水槽をよく汚す魚でもあります。
そのため、管理のポイントは、換水を頻繁に行い、なるべく新鮮な水ときれいな水質を提供することです。
しかし、それを無条件で好む生体ばかりではありません。
身をもって教えてくれたのが、ミナミヌマエビです。
当時の私は、蛇口から出してカルキ抜きしたばかりの、汚れのない新鮮な水こそ魚には一番だと思い込んでいました。もちろん、1週間に2回換水。
プレコはこれで食欲も色合いも上がるので、バケツでザパーと注いでいたのですが、どうやらいけなかったようです。
(そもそも魚だって、水質の変化に適応するから体力を使い、おなかが空いて餌をがっついていただけとも言えるのですが、それはまた別の機会に。)
水合わせ失敗? ではなくて……
そのような大胆な水換えはあくまでも導入後の話。導入時にはネットや本で情報を収集し、そこで言われている通りに十分に数時間かけて水合わせをしました。
水合わせは正しくしたはず、水質は試験紙で何度測ってもきれい。だけれども、脱皮の抜け殻がどんどん増えていく!?
そして、数週間後にはみんな死んでしまいました。
どうして!? となるわけです。
最初は農薬か!? なんて疑いました。
何のことはない、飼育者の知識・経験不足でした。多くの熱帯魚飼育者にとって、先にも述べた通り、生体が好む水は新鮮な水だということはもはや共通認識の域に達するほどの話となっています。
しかし、これは水質適応能力が高い魚だからこそ通用する話であり、それが低いエビでは全く当てはまらないことなのです。ときには新しい水より汚い水の方が良いこともあるのです。
とにもかくにも、次のパートでは、エビと水質変化について記していきます。
水質の変化に敏感の意味
エビはエビなりに難しい理由
だからと言って、汚い水が好みだということではありません。
実は、ミナミヌマエビに限らず淡水エビというのは、すごく水質の「変化」に敏感に反応する生き物となっています。これが少しばかり理解しづらい表現で、大げさに言えば……
水質が急激に汚れてしまうのもダメ。
水質が急激にきれいにするのもダメ。
とりわけ後者を重視するメンテナンス手法は、ほとんどの熱帯魚では飼育上経験できず、淡水エビを飼育して初めて目の当たりにする人も多いのではないかと思います。わたしの場合は、水合わせではなく、
良かれと思って行った、換水が仇となってしまったようです。
経験上、導入した第一世代は、それに対して極めて弱い傾向があるようです。実は、エビたちは代を重ねて水に順応していく生き物なのです。
とはいえ、水替えは魚やエビを飼育する上で必ず行わなわなければならないこと。では、どのようにすれば、急な水質変化を起こさず、ダメージを与えずに済むのでしょうか?
これについては、話の最終盤に述べていきたいと思います。
一斉脱皮は惨事の予兆
話が変わりまして、ミナミヌマエビはどのように急な水質変化に対処するのでしょうか。このときこそ、脱皮をして水質に適応しようとします。それでも適応できないほどの変化が起きると……? 残念ながら、あっさりと死んでしまいます。言い換えれば、換水時に一斉に起きる脱皮は、これから起きる悪夢の予兆であり、長年飼育した者にとって忌み嫌われる現象です。
はっきりと言い切ったのは、事後のフォローが一切判明していないからです。そのため、換水時を含め急激な変化は徹底的に回避するというのが、飼育上の大切な行動指針となります。
しかし、あえて、ここで思い出してほしいのは、本来の強さです。
硝酸塩、亜硝酸塩、アンモニアなどの汚染物質が少なく、ほどよく硬度がある水と言われているようです。また一部では、硝酸塩が徐々に蓄積するような環境にも極めて強いと言われています。
となれば、いかに水質の変化に弱いか、もうお分かりですよね?
ことミナミヌマエビに限っては、そこさえ注意を払えば大丈夫だとも言えます。
ミナミヌマエビを水質の急変から守る
点滴換水
ここからは、水質の急変を防ぐ方法を紹介していきます。
多くの安定した水槽において、夏場や生餌などを用いない限り、それはメンテナンス時に起こります。となれば、変化を起こさない換水を知っておくことが大切です。
点滴換水をおすすめします。
サイフォンの原理を用いて、1~2時間ぐらいかけて水合わせのごとく注入した方がいいでしょう。ネックになりやすいのは、水槽付近にバケツを乗せられる物が存在しないこと。高低差さえあればサイフォンは利きますから、多少遠くて水槽より高い本棚の天辺やスチールラックにバケツを乗せて、水を通すエアホースを伸ばしてもいいでしょう。
なお、排水は水質に影響しないので普通にプロホースなどでガシガシ掃除しても構いません。その際はエビを吸い込まないように注意しましょう。
次世代の保護
もう1つは、
水質に合った新しい世代を増やすこと。
ミナミヌマエビは個体自体の水質適応力は低いものの、世代が変わると水質に強烈に適応していきます。やがて幾代も重ねれば、ザバーと換水しても耐えられるようになります。
つまり、1世代目はショップの水槽に適応しているため、大変デリケートな性質となっているのです。彼らが交配して2世、3世と代を重ねるまでが勝負だと言えそうです。
となれば、稚エビを保護すべき対象となります。ここで次世代の種を大切にすることこそ、水質適応を促進させることになるのです。
が、赤ちゃんエビはルーペで見ても気が付かないほどの極小サイズで生まれてくるので、その保護は非現実的です。おすすめは、抱卵した母エビを捕獲し、水槽内設置型の産卵ボックスもしくはサテライトで保護することです。気を付けたいのは、やはり水質の変化。卵ごと脱皮をされてしまっては、孵化率が低くなります。これらの手法ならその危険性を最小限にできるのです。
(別記事よりサテライトに保護した母エビ) |
まとめ
以上をまとめると、
・導入時は点滴で水合わせすべし
・交配して次の世代が生まれまでは点滴換水をすべし
・稚エビ、抱卵した母エビは保護すべし
というわけで、今回はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。
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