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2017年11月1日水曜日

安E26口金LED電球でマツモは育つのか?~室内照明用LEDを水草に利用してみて~

ひとくくりにLEDといっても波長はそれぞれ

(2024/9/5修正)

今回は、安価なインテリア用E26口金LED電球でマツモを育てようとした昔話をしていきたいと思います。

結論を言えば、同じ安価な商品でも家庭用蛍光灯と違い、室内照明用LED電球では水草は育ちません。そのいきさつを述べていきたいと思います。

なお、当記事で紹介されている物品は、説明がない限り全て自費で購入したものです。



安いLED電球でマツモを育ててみた!


水草用LEDは高い! そう思ったこともある

蛍光灯とLEDでは波長(=光合成のしやすさ)が根本的に違います。

実は、わたしには諸事情で水槽をたたんでいた時期があります。中断時はまだまだ直管蛍光灯の全盛期でしたが、いざ復帰となるとLEDライトが市場へと送り出され始めたタイミングでした。当然、新型ライトの器具事情など知らず、知識も古いまま。

「昔の蛍光灯は安くても数で勝負ができた。なら、1000円台のLED電球でも同様のことができるではないか?」

と、思いつくのは必然だったと言えます。

しかし、これは三原色の波長が出てた蛍光灯に限ったお話。
ショップのラインナップも薄くなりはじめ、直管が過去のものになりつつある肌身に感じたあの当時、次代の主役となるLEDライトには、値段次第で「波長」に偏りがあることはそれほど広くは知られていませんでした。
特に、安いインテリア用が放つ光では、植物の生長が著しく低下することもあるのですが……

「水草用LEDライト高っ!」
→光合成で利用できるも波長の光が出ています。

「こんなに高くて電球の交換もできないの!?」
→LEDは、ほとんど壊れることがありません。

そう思い違いをして、その時に導き出した誤った答えがこれ。

「家電量販店などで売っている格安インテリア用LED電球でもいいじゃない!」

しかし、残念ながら無駄な支出を生む結果となりました。



「水影ができるから育つ」は、もはや通じない

マツモぐらいなら、安いLED電球でも育つだろうと安易に考え、たどり着いた先は家電量販店のY社。

手にしたものは1つ1,500円前後のインテリア用だったと記憶しています。これを家にあるクリップ式のシェードと組み合わせて45cm規格水槽で栽培の要とすることにしたのです。ホクホク顔で帰宅して、さっそく水道用塩ビ管で作った自作ライトスタンドに引っかけてライトをオン。

なんという明るさでしょう!
天井には水影があるではありませんか!?
まるで、メタルハライドランプです。

しかし、これこそ新型ライトの紛らわしい特徴の1つだったのです。
水草用ライトは十分に波長を補い植物が育つ光を出していますが、専用品でないものにはそのような配慮はされていません。ましてや、わたしが当時用意した安物では、いくら光量があっても、光合成で利用できる波長がほとんどなかったのです。

人間の目にはまばゆく感じても、植物にとっては真っ暗闇。

これでは光合成の化学反応が盛んに回ってくれるはずがありませんでした。

(マツモ:イメージ)


そして、どうなったのか?

見た目上の明るさだけなので、マツモは痛み始めます。
まずは下葉が痛みます。コケこそ生えませんでしたが、鮮やかな黄緑色は徐々にくすんだ黄色になり始めます。そればかりではありません。

マツモの成長速度が光量に見合わず、極めて緩慢なものとなったのです。
遅々として上へ伸びぬ茎、生長を停止した茎頂部。これでは新陳代謝が進まず、トリミングできません。結果、調子が悪い葉がますます目立つばかり。しかし、その時わたしは、まだ原因に気づいていません。

ライトは明るく問題ない。だが、水草は育たない。
こんなとき、皆さんなら、どうしますか?
水草アクアリストなら、だいたいやることは決まっています。まずは、押入れから古いCO2装置を引っぱり出してみたり、新興メーカーの水草用K液肥を添加してみたり。しかし、まるでダメでした。

消去法により、残る問題点はライト。
やはり、安LED電球じゃダメなんですね。



インテリア用LEDは光合成向けの波長ではない。だからこそ


水草用とそうでない物の違い。

このような結果になったことを受けて、当時のわたしなりに色々と調べ、考察することにしました。2度も同じ失敗をするわけにはいかないからです。
以下、その昔考えたことを述べていきます。

嫌疑の対象は格安インテリア用LED。
本来なら、スペクトロメーターで全て解決となるのですが、当時出始めて高根の花だった水草育成用LEDライトよりも高価な機器だったため、それを購入するのは論外です。
となれば、机の上で理屈をこねるしかありません。
光はあれど育たないという失敗から、マツモが失敗した原因は植物が生長するための光合成に必要な波長が不足していた、と考えるのが順当のように思えます。

なぜ、不足しているのでしょうか?
ここからは専門分野ではないので確信が持てないのですが、どうやら安物では、白色の光を作るために青色の光を黄色蛍光体に通し、生まれる補色で白色光を出しているようなのです。これでは、葉緑体が吸収できる赤色の波長がまるで足りません。

旧来の蛍光灯なら光の三原色を混ぜて白色にしているので、赤色は多く含まれますし、水草用と謳っているLEDライトでも同様、もしくは白色チップに赤や紫のチップを追加で並べることで実現しています。当然、これらは光合成ができる、すなわち植物が育つ物となっています。

とにもかくにも、赤と紫の有無。

それこそ、水草を栽培できるライトとそうでないものの差だったのです。

(パワーIII450裏面。互い違いの青と赤のチップ)


光合成に利用されにくいの逆手に取れば……?

現に、その当時の水槽は煌々とライトに照らされている割には、コケ知らずでした。ならば、この特徴を逆に利用すればどうでしょう?
常に茶コケに悩まされるような大型魚や肉食魚、さらには金魚水槽では、安価なLEDランプの方がメンテナンスが楽になるはずです。
……とはいえ、水草とコケではそもそも好む波長が違うと昨今言われているので、その効果のほどは不明ではありますが。

と、書いた上で、修正現在の話ですが、実はそのような器具が存在しています。「観賞用」と記されたライトです。一部の商品はコケが出にくいと謳われている物がありますから、光合成ができない白色光を利用していると思われます。

価格が安いこともあり、水草を育てるつもりが一切ない人は、そちらを使用してみるのもいいのかもしれません。



結局水草用LEDが使いやすい


「LEDは育たない」は過去のものに

今までの話が、わたしが体験したアクアリウムのLEDライト黎明期の話です。
実際、この勘違いは、多くの人の間で起きたようで、「LED=水が育たない」という「刷り込み」とも言えるような、強烈な思い込みが生まれる結果となりました。

しかし、現在はどうでしょう?
どのショップには、直管蛍光灯どころかメタルハライドランプですら見当たらない時代となりました。それらが置いてあった場所には、いまや所狭しとさまざまなLEDライトで埋め尽くされています。今やADAなど水草が主戦場のメーカーですら、新商品として開発している時代です。

LEDだから水草が育たない! という話は、もはや昔のものなのです。



水草が育つLEDの選び方

その上で、どのような方法で選べば、わたしのような大外れを引くことはないでしょか?

今日では、ステマや商品提供レビューにより懸念点が増えていますが、それでも数多く報告が上がるのは大切なことです。なぜなら、水草が育か育たないかは生物学の範疇であるため、筋の通ったメカニズムよりも、うまくいった結果の量を重視するべきだからです。
そもそも生命には個体差が大きく、物を語るのにも統計とは切っては切り離せません。それこそ、生物学の面倒な側面でもあるのですが、ネットの情報だけでは正確な分析は不可能です。
そのため、①~③の基準を考えてみました。

① 水草が育った!という報告が多くあるもの
→みんなが使っている物は失敗がありません。広告は無視するべし。

② 有名なメーカー製でも古く、評判がいいもの
→新商品は未知の部分が多いため。なるべく安定したものが良い。

③ 定番
→尖ったものは常に出ますが、真に良い商品は長年市場で勝ち続けます。

④ 水草が育つと謳われている物
→①~③が弱い時に。④単体で選ぶのは危険です。

これら3つがそろっており選択肢に入るのは、GEXのパワーIII、コトブキのフラットLED、チャームのアクロトライアングルぐらいでしょうか。コトブキのフラットLEDは手にしていないから詳しくはわかりませんが、パワーIIIのライバルと目されているため実力は間違いなさそうです。

なお、999円で買える、ikeaの植物育成用電球ことVAXER LED電球 栽培用 PAR30 E26は終売のようです。

(安くて便利だったVAXER LED電球)

というわけで、安いLEDライトでマツモ栽培に失敗した話はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。



2 件のコメント:

  1. 随分昔の記事ですが、アタシが先週水草水槽をはじめまして検索したら出てきたので見させていただきました。

    先人の貴重な経験をこんなお手軽に拝見できて、今更ながらネットは便利ですね。

    ごん太先生、感謝!


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  2. コメントありがとうございます。
    さて、もうご存じかもしれませんが、IKEAの植物育成用LED電球はすでに終売となっているようです。
    ネットオークションなどではプレミアム価格で出品されているようです。
    「あのLEDライトは育つ?or育たない?」は水草アクアリストのコミュニティーにおける主たる話題ですから、そういったことを踏まえ、なるべく評判のいいものをと記した次第です。

    cracy_mash!さんの水草水槽がうまくいきますように。

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