水質悪化に弱い水草は炭酸水にも要注意!?
(2024/10/25 編纂・修正)
今回は、炭酸水でスネール駆除する方法について紹介したいと思います。
途中、溶かしてしまったセキショウモに触れつつ、最終部にて、なぜそのような結果になったのかを述べたいと思います。
なお、当記事では水草を炭酸水でスネール駆除する方法を紹介しますが、実際に行う際には必ず自己責任でお願いします!
スネールが出た!どうする!?~様々な駆除方法と特徴~
スネールというのは、いつの時代も嫌われ者です。一度入り込んだらリセットしても居座り続ける厄介な存在だからです。
そんな彼らを駆除する方法は、アクアリストの苦悩を表したかのようにさまざまな手法が考案されていますが、これは裏を返せば現代の科学力をもってしても未発達の領域だと言えるのかもしれません。以下はその一覧となります。
・導入時に検疫
・テデトール
・薬品(炭酸水はここに含まれる)
・生物兵器
さて、今回炭酸水を選んだ理由についてですが、定期的にスネール対策をしたいと思ったのがそのきっかけです。となれば、入手性がよく安価なものをと探していたところ、たどり着いたのがペットボトル入りの炭酸水となりました。多くの水草は弱酸性を好むため、これなら水草に害はなく、スネールのみをCO2で狙い撃ちできる! と考えていたのですが、冒頭の通り見事に失敗することになります。
というわけで、次のパートは駆除できる理由について述べていきたいと思います。
炭酸水でスネールが駆除できる理由
ここからはそのメカニズムを説明してみたいと思います。炭酸水は以下の2通りの作用でスネールを駆除すると言われています。
① 貝殻を溶かす
② CO2で窒息死させる
さて、貝殻は炭酸カルシウムでできています。これ自体は水に溶けづらい物質となっていますが、そこにCO2が加わると炭酸水素カルシウムとなり、よく水に溶けるようになります。
しかし、この化学的変化は、吐息で濁らせた石灰水に延々と息を吹き込み、透明にするという中学校で習ったそのもので、瞬時に作用する反応ではないと思われます。となれば、主犯格は二酸化炭素であると思われます。
二酸化炭素でなぜ生き物が死亡するかと言えば、これ自体にもともと麻酔のような作用があるからです。つまり高濃度のCO2ガスにさらされれば、呼吸抑制や意識障害を起こし、やがて死に至ります。ざっくり言えば窒息するわけですが、秒単位の短い作用時間では、気絶程度の効果にとどまるのが十分に予想されます。
そのため、どちらの効能があるとしても、炭酸水で処理した後はそのまま水槽に戻さず、目視で確認し、しっかり手で取ってスネールの有無をチェックしましょう。
(当時配送されて植栽を待つばかりのセキショウモ) |
炭酸水を使ってスネールを駆除する方法!
注意事項
さて、今回のスネール駆除方法は、一定時間炭酸水に水草を浸すだけのものです。とはいえ、この作用時間は人によってまちまちで、10秒、30秒、3分、5分、10分とネット上でも情報が交錯している状態です。おそらく、分単位の漬け込みはスネールの殻を溶かすことを目的に、秒単位の漬け込みは気絶もしくは窒息死させることを目的にしているのでしょう。
この記事では、間を取って3分間炭酸水に浸しましたが、それでもセキショウモはすっかり溶けてしまいました。作業に当たっては、水草の調子や状態を見ながら、より短時間から処理を始めることをおすすめします。できれば、水草の目立たない部分などで試してから利用しましょう。当然、リスキーな方法であるため、何が起きても必ず自己責任でお願いします。
道具
まずは、今回利用した道具となります。
・炭酸水
・水草
・ストップウォッチ
・バケツ
炭酸水は、砂糖や果汁が入っていない、お酒を割るためのものを利用します。ウイスキーなどの強めのアルコールと一緒に売り場に置かれていることが多いでしょう。
水草については上でも記しましたが、植栽前やトリミング後に差し戻す直前など、水槽の外に出ているタイミングで行うとよいかもしれません。
また、葉を溶かすトラブルも起きるため、必ずストップウォッチを使って秒単位で作用時間を決めましょう。
方法
次いで、駆除方法です。
① バケツに炭酸水を入れる
② バケツに水草を浸ける
③ 3分待つ(より短時間をおすすめします)
④ 取り出す
⑤ スネールがいないかチェック
あとは植栽するなり差し戻すなり、はたまた鉢植えごと戻すなりするわけですが、その前に、必ずスネールがいないかチェックしてください。また、炭酸が気になる方は、別途汲み取った飼育水で濯ぎましょう。そのため、作業自体は極めて簡単です。
(トリミングをしたばかりのセキショウモ(当時)) |
セキショウモが溶けた理由
最後は、炭酸水の水草に対する安全性について触れたいと思います。今回、以下の水草を炭酸水に3分間浸しました。
・マツモ
・ドワーフ・フロッグピッ卜
・ミクロソリウム・プテロプス
・ミクロソリウム・ウェンディロブ
・ウォーター・ウィステリア
・ハイグロ・セイロン
・セキショウモ
計7種。そのうち、溶けてしまったのはセキショウモのみです。
なぜでしょうか?
実は、セキショウモは硝酸の蓄積によるpHの低下で溶けることが知られています。そのpHは5以下だと言われており、対して炭酸水のpHは5.4です。やはりこれが、溶ける原因であるようです。以上のような因果関係があるため、pHが低めの水や、汚れた水=硝酸塩がたまっている水が苦手だと言われている水草には、悪い影響を及ぼす可能性が高いです。
そのため、繰り返しますが、炭酸水で処理をする際には、水草が好む水質についてできる限り情報を収集し、短時間から浸け始めることをおすすめします。それができないのであれば、葉の一部分のみ炭酸水に浸け込むなどしてテストしてみるのもよいでしょう。
というわけで、今回はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。
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