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2018年4月19日木曜日

木酢液の濃度・時間を調整して水槽の水草についた黒ひげ苔を駆除

なるべく安全に木酢液でコケの駆除をする手順

(2024/11/14 修正)

今回は、木酢液を使った黒ひげ苔の駆除方法について述べていきたいと思います。高いリスクはあるものの、扱いさえ間違わなければ非常に頼れる薬剤です。この記事では、使用上の注意点、道具、方法、さらには、安全に使用するためのテストについて述べていきたいと思います。

なお、木酢液は多かれ少なかれ水草へのダメージがあります。そのため、利用する際は必ず自己責任で行ってください。



対象となる水草、道具一覧など


木酢液は陽性植物に使えることもある

まず、利用対象については、「陰性植物と一部の陽性植物」という括りにしました。前者はアヌビアスやミクロソリウムなど、後者はハイグロフィラなど繁殖力の強い植物を鉢植え栽培していることが条件です。

しかし、本来木酢液は陽性植物に利用できません。なぜなら、葉が薄いためバリア機能が弱く、大きな負担となるからです。にもかかわらず、この記事において利用できると言ったのには2つの理由があります。1つは、繁殖力の強い水草なら成長も旺盛で、ダメージを受けても立ち直りが早いということ、もう1つは後述のテストで「安全な濃度と作用時間」さえ導き出せれば、トラブルなく使用できることがほとんどだからです。

とはいえ、水草の耐性が弱すぎれば、テストから求められた「安全な濃度」が駆除の有効濃度より下回ることもあり、結果として効果が上がらないものとなりますのでご注意ください。



今まで、木酢液が利用できた水草たち

以下、テストをして希釈濃度と作用時間を調整した上で、木酢液で黒ひげ苔が駆除できた水草の一覧となります。

まずは陽性植物。

・ヘアーグラス
・ウォーターウィステリア
・ハイグロフィラ・セイロン
・ロタラ・ロトンディフォリア

次は、陰性植物。

・ウィローモス
・ミクロソリウム・プテロプス
・ミクロソリウム・ウェンディロブ

上記7種が日常的(記事作成当時)に、木酢液の処理をしています。 また、過去にアヌビアスの仲間4種にも利用して安全を確認しています。

・アヌビアス・ナナ
・アヌビアス・ナナプチ
・アヌビアス・バルテリー
・アヌビアス・コーヒーフォリア

以上、計11種が木酢液を利用できたことを当方では確認できています。



道具一覧

今回使用する道具一覧です。

・水草(黒ひげ苔を駆除するもの)
・木酢液
・水
・計量カップ
・スプレーボトル
・バケツ
・カルキ抜きした水
・ストップウォッチ
・ディスポの手袋
・筆(テスト時)
・園芸用ラベル(テスト時)

ここからは、注釈が必要ないくつかの道具について述べていきます。

まず、木酢液は園芸用であれば、どのメーカーのものでも構いません。なお、実際の噴霧にあたっては、後述するテストを行い、安全な濃度を求めてから希釈して利用してください。希釈する水は水道水で問題ありませんが、極端にカルキに弱い水草の場合はカルキ抜きしたものが望ましいでしょう。それを入れるスプレーボトルは、100円均一のもので十分です。

ストップウォッチは、作用時間を測定するのに使います。こちらも、どのようなものでもよく、スマホに付いているアプリでも構いませんので必ず用意しましょう。バケツとカルキ抜きした水は、作用時間後に水草をすすぐのに用います。あらかじめ、大きいバケツに草丈全体が浸かる水位となるよう、十分な水を入れておきましょう。

今回利用した木酢液
(今回利用した木酢液)



注意事項

作業するうえでの注意事項となります。
まず、声を大にして注意喚起したのは、一歩間違えれば水草水槽の壊滅につながるということです。そのため、木酢液を水草に使用するときは、必ず自己責任で行いましょう。

また、初めて使うときは、テストで害のない安全な濃度と作用時間を見定めてください。なお、テストであっても水草にダメージがないというわけではありません。例えば、セキショウモのように酸性の水が苦手な植物もあります。ピンスポットで穴が開いてしまったり、溶けてしまったり、全体が枯れる可能性があります。

以上のように、木酢液には常に枯死のリスクが付きまとうため、すべての責任を自分で負えないのであれば、以下の利用方法は極力避けるべきです。



木酢液で黒ひげ苔駆除

それでは、実際の方法について紹介していきます。
今回、読みやすさの観点から、作用させる濃度と時間は、わたしが普段利用している「3倍希釈」と「20秒」と記載しますが、実際には後述のテストで安全性が確認された作用濃度と作用時間で実施してください。

なお、繰り返しますが、必ず自己責任で実施してください。



水を用意し、木酢液を希釈する。

まず、すすぎで使用するバケツと水をあらかじめ準備しておきます。水草がすっぽり浸かる量を用意しておきましょう。

次いで、希釈した木酢液を作ります。今回利用するスプレーボトルは300ml入るタイプのもので、これにいっぱいに3倍希釈の木酢液を作ります。「~倍希釈」という表現は、希釈する元の体積の~倍になるように薄めるということです。詳しい分量を下に記した通りです。

3倍希釈木酢液(300ml) → 木酢液(100ml):水(200ml)

なお、目分量は思わぬトラブルの原因になりますから、必ず計量カップを使いましょう。最後にスプレーボトルに入れて、木酢液スプレーの完成です。3倍に薄めたとはいえ、臭いがきつく、付着すると残りますのでご注意ください。

3倍希釈木酢液入りスプレーボトル
(3倍希釈木酢液入りスプレーボトルの出来上がり)



スプレーし作用時間経過後にすすぐ

実際にスプレーをしていきますが、その前にまずは場所選びについて。今回利用する木酢液には、焚き火臭ともタバコ臭ともとれるような、きつい香りがあります。屋外ならまだしも、室内で利用すれば長時間残存しますので、必ず換気扇がある場所で実施しましょう。

それでは、作業に入ります。まずはスプレーボトルで希釈した木酢液を水草に向かってスプレーします。最初のワンプッシュをしたら、今度はすぐにストップウォッチをスタート。葉全体にかかるように噴霧しつつ、作用時間が経過するまで、目で時計を追い続けます。この時、根にかかると調子を落とす水草もありますから、その付近には使用しない方がいいかもしれません。そして、かけ続けて作用時間(20秒)が経過したら、次は水草を素早くバケツに入れてすすぎをします。10秒間ほど水中で揺すり洗いし、数分間はバケツの中に留め置き、付着した木酢液を十分に取り除きましょう。

なお、10秒、20秒の遅延は水草にとって命取りです。手早く正確に作業しましょう。



水草を水槽に戻し、効果の確認をする

すすぎ終わったら、水草を水槽に入れ、元の位置に戻します。これで、作業自体は完了となります。作業後は以下の2点について、2週間ほど目視で確認します。

・黒ひげ苔が枯死したか?
・水草が枯れていないか?

黒ひげ苔は、木酢液に暴露すると直後~3・4日かけて赤く枯死します。この状態はミナミヌマエビやヤマトヌマエビの大好物ですので、同種を飼育している人は数日で跡形もなく消え去るでしょう。それらがないときは、赤くなった黒ひげ苔がしばらく水槽内にあり続けることになりますが、こちらもじわりじわりと溶けるように消えていきます。

次に水草の枯死について。具体例は最終部で述べますが、万が一再起不能のダメージを与えると、弱い水草は数日で、強い水草は数週間をかけてゆっくりと枯れ始めます。そのため、木酢液で黒ひげ苔を駆除する場合は、必ず後述のテストで、安全な濃度と作用時間を見定めてから実施し、噴霧後は最低1週間以上経過観察をしてください。



安全な濃度作用時間を探る

以 下は、複数の倍率で希釈した木酢液を水草の一部分に塗布し、任意の時間作用させ、安全に使えるかどうかを確認するテストについての話となります。実際の手法は、先に述べた木酢液の利用方法とおおむね同じですが、いくつか異なる点がありますので、述べていきたいと思います。

まず、用意する木酢液は2倍・3倍・4倍、作用時間は10秒・20秒・30秒3×3の合計9つの条件でテストをします。塗布にあたっては、筆を用いて水草の目立たない部位に塗りつけ、後で見てもわかるように園芸用ラベルなどで目印を付けておきます。

葉の目立たない場所に並べて塗布すると比較しやすい
(3種の濃度を用意し塗布。)

これを……↓

3つの濃度×3つの作用時間=9か所
(葉ごとに3つの時間に分け繰り返す)

テスト結果の判定も、先に述べた方法と同じように、必ず一週間以上経過してから判定してください。安全性が気になるようでしたら、2週間あけて判定してもよいくらいです。以下、判定の結果について。

(異変ありの場合)
塗布した部分が溶けたり、白くなっていたり、黄色くなっていたら、濃度が濃すぎるもしくは作用時間が長すぎることを示しています。その条件は使わないでください。全てのテストした場所で異変があった場合は、より低濃度・短時間で再度テストしましょう。

(変化なしの場合)
木酢液を塗っても、葉に変化がなかった条件は、安全に利用できる時間と濃度として黒ヒゲ苔の除去に利用できます。ただし、複数の候補がある場合は、安全マージンとして一番低い濃度かつ短い作用時間を用いるとよいでしょう。



濃すぎたり、作用時間が長すぎたりするとどうなるか?

最後に失敗するとどのように水草が枯れるのかについて述べて、記事を終えたいと思います。

木酢液の濃度が高すぎたり、作用時間が長すぎたりすると、溶けるようにして水草が枯死していきます。ここではウィローモスとミクロソリウムの例を挙げます。まず、前者について。普段は深い緑色をしていますが、強く木酢液にさらし続けると、スプレー直後から色が抜け始め、次第に黄色となり、最後は溶けるように消滅してしまいました。次いで、後者について。こちらはスプレー1週間後から徐々に状態を崩し始めました。最初は葉が溶け、次に茎が腐るようにボロリと折れてしまいました。それでもウィローモスと違い木酢液への耐性が強かったため、奇跡的に復活しましたが、元のサイズに戻るまで2カ月ほどかかることになりました。

このように、使用者のさじ加減一つで水草を枯らしてしまうリスクが大いにありますので、実施の際は細心の注意を払い、必ず自己責任で行いましょう。

というわけで、木酢液の利用方法についてはここまでとなります。
長文を読んでいただきありがとうございました。



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