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2018年5月24日木曜日

チェリーバルブ先生にスネール駆除をお願いしてみた!

ターゲットはカワコザラガイ

(2024/11/19 修正)

今回は、チェリーバルブについてまとめてみました。この魚の特徴や、実際にカワコザラガイ駆除をしたときの話をしていきたいと思います。

なお、記事に登場する生体や物品は全て自費で購入したものです。



チェリーバルブとはどんな魚?


生物兵器としての特徴

まず、今回の主役であるチェリーバルブについて述べていきたいと思います。お決まりの話ではありますが、この魚の諸元を列記してみました。

(オトシンを囲むチェリーバルブ)

【チェリーバルブの諸元】
(学名) Puntiustitteya
(分類) コイ目コイ科
(分布) スリランカ
(体長) 4cm
(餌)  一般的な飼料
(水質) 弱酸性~中性
(水温) 22℃~27℃
(飼育) 容易
(繁殖) 容易
 
(性格)
おとなしい→異種間
多少の小競り合いあり→同種間
 
(発色)
オス:赤一色(成魚)
メス:背部朱・黒帯腹部白

特筆すべきは、スネールを捕食してくれる生物兵器でありながら、気が優しく、穏やかな性格であることです。導入したがために、水槽内のパワーバランスが崩れ、邪魔な貝類はいなくなったものの、生傷の絶えない水槽になるという、この手の魚によくあることは起きづらい魚だと言えるでしょう。

実際、わたしが見てきた限りですが、この魚には「生物兵器」と言われる魚種にありがちな、他種への「気の強さ」や「攻撃性」を持ち合わせていません。もちろん、産卵期に入ったオスや、卵を守っている個体は追いかけまわすこともありますが、相手が死傷するまで執拗にアタックすることはありません。

そのため、後述する「大きな問題」はあるものの、導入へのハードルは大変低い魚だと言えるでしょう。

(オスは体表が真紅に染まり美しい)


コイ科ならではの美食家

コイ科の小型魚です。好奇心旺盛で口に入るサイズなら、なんでも頬張ってみる習性があるようです。底砂や水草、ガラス面に付着したものは当然、揚げ句の果てにはわが家ではプレコの餌にも興味を示し、味が良好である種類のみ盗み食いをするようになってしまいました。もしかして、美食家なのかもしれません。

これは言い換えれば、小さなサイズの生体、例えば稚魚・稚エビとの混泳は不向きであると見るべきでしょう。記事最終部では、ミナミヌマエビとの同居について、実体験をもとに述べていきますが、この場であえて言えば、環境によりけりかと思います。そのようにお茶を濁すのは、チェリーバルブが対象生体の味を覚えているか否かにかかっているからです。

その執着があるがゆえにチェリーバルブは、プラナリアやカワコザラガイなど小型のスネールを優先的に口にしてくれるわけです。



性格と混泳について

もちろん、あくまでわたしの環境においての話なのですが、異種間ではおとなしく、同種間ではまれに小競り合いをする程度です。同じコイ科でも同種・異種見境なく追い払いにかかるアカヒレやラスボラと比較すると、性格が大変温和で、気の優しい魚だと言えるでしょう。

現在(記事投稿時)は、オス2匹とメス2匹を水槽で飼育しています。まずメスについてですが、他の魚を追いかけ回したり、オスを追い払う姿はほとんど見たことがありません。メスは臆病であまり表に出ず、水草の陰などに隠れていることが多いようです。

となれば、気になるのはオス。多くの種でも、気性が荒いのは決まってこちらの性別で、ともすれば水槽内の台風の目となることもあります。しかし、同種のオスは、まれに他種と小競り合いはするものの、そもそも攻撃的な性格ではありません。繁殖のためにメスのお尻を追い回したり、卵を守るためにスカベンジャーを追い払うことがほとんどのようです。そのため、雌雄ともに導入後水槽で大暴れして、パワーバランスを引っ掻き回すというようなことになる可能性が低い魚だと言えるでしょう。

もちろん、相性は組み合わせた魚次第。残念ながら「絶対に問題を起こさない」と断言はできません。それでも、群泳はしませんが、群れていることも多く、アカヒレのように「弱い者いじめ」が発生したり、ブルーテトラのように相手が水槽から飛び出すまで追い回すようなことはしないので、安心してタンクメイトに迎え入れられる魚だと言えるでしょう。



導入にあたっての一番のハードルは?

ここでそろそろ、イメージをより膨らませるために、チェリーバルブの姿を写真で紹介したいと思います。

しかし、餌で魚を誘導しながら撮影を試みたものの、変な時間帯にライトオン&餌という組み合わせに警戒されたのか、それとも寝起きだったためか、なぜかアカヒレとラスボラばかりが寄ってきて、見事に失敗に終わりました。そのため、まずは以前掲載した稚魚の写真を載せておきたいと思います。

カワコザラガイを駆除してくれるチェリーバルブ

後日、改めて餌の時間にチャレンジしたところ、今回は無事に写真を撮らせてくれました。下の写真はオス2匹のものです。オスは成長すると、稚魚やメスとは違い美しい紅色になります。

チェリーバルブオス2匹。

さて、投稿当時は餌に慣れておらず、少数勢力であったこともあり、その姿をファインダーで捉えることすら四苦八苦していたのですが、その数年後……

(プレコそっちのけでタブレットに群がる)

プレコの餌を入れただけで、このように大群に成すようになります。ここで、多くの読者の方はお気づきかもしれませんが、チェリーバルブは繁殖が大変容易な魚種となります。柔らかく葉の大きい水草さえあれば、特殊な操作や手順は一切不要。葉の中で体を震わせるようにして産卵し、わたしが見た限りでは孵化まではオスがテリトリーを守るようです。その卵は肉眼でわかるほどのあからさまな卵塊ではなく、水草の中に小さな粒を産み付け、孵化した稚魚はそこをシェルター代わりにして大きくなっていきます。ある時気が付けば、1cmほどの若魚がお泳いでいる!? ということも十分あり得る魚なのです。

そのため、爆発的な繁殖こそ導入するための一番のハードルだと言えます。水草の多さにもよりますが、意識しなくても勝手に増えてしまう可能性が非常に高いです。結果として、生まれてきた稚魚をどうするかという問題が常に付きまとうことになります。保護するのか、それとも、あるがままにしておくのか、大変悩ましい問題です。しかし、このたぐいの話は、個人個人の生命倫理観により、大きな差が出る非常にデリケートな話です。わたしとしては、今回はあえて何も述べないことにしたいと思います。



チェリーバルブでカワコザラガイ駆除!


チェリーバルブの導入

それでは、この章から本題に入っていきたいと思います。
今回の騒動のもとになったカワコザラガイが、いつ侵入してきたか、どれに付着してきたか、ということについては定かではありません。小型のスネールですから、大繁殖してやっと侵入に気が付くことがほとんどなのです。そして、水草が引っ切り無しに出入りしている水槽では、どの水草にどのタイミングで入ってきたかを特定するのはなかなかの難問だからです。

とはいえ、その時に導入した数種類に付着していたのは確かなことで、気が付けばたくさんの水草を根城として勢力を広げ、最終的にはガラス面にまで現れるようになったのです。もちろん、わたしとて手をこまねいているはずはありません。 可能な限り見えているスネールを手で駆除していたのですが、それでは一向に減る気配がなく、最終的に生物兵器の力に頼ることになったのです。

ある日、大きな発泡スチロール箱がわが家に届きます。小型魚には似つかわしくない大きな箱を開けると、とこれでもかというほど丁寧な梱包に包まれ、初対面となりました。みんな元気に遠路はるばるやってきてくれたようです。梱包を取り払い早速水合わせすると、一日中旅をしてきたというのに所狭しと若魚4匹がバケツの中を元気よく泳ぎ回っているではありませんか。チェリーバルブの生命力と、チャームの配送技術に、当時はいたく感心したものです。

とにもかくにも、水槽に入れ、あとはカワコザラガイが駆除されるのを待つばかり。しかし、やはり1.5cm程度のサイズですと、無理があったようです。



協力してカワコザラガイを駆除するということ

待てど暮らせど、カワコザラガイは減りません。それもそのはず、まだ若く体長も口も小さいため、大きいサイズのスネールはうまく捕食できないのです。

チェリーバルブは、口に入るサイズの生き物しか捕食できません。稚魚のうちは成長しきった大きなカワコザラガイは食べられません。しかし、月日がたてば当然成長するわけで、一度でも頬張り味を覚えた途端、その忌まわしい姿が次第に減り始めるようになります。そして、いつしか彼らが大人になる頃、憎き邪魔者たちは水槽内では見当たらなくなるはずです。優秀な生物兵器と言えるでしょう。

となれば、人間がすることは1つ、飼育環境を整え、大人になるまで成長させてあげることです。それまでの間は、小さなスネールはチェリーバルブに任せつつ、大きなものは自分の手で取り除くようにしましょう。これこそ、カワコザラガイ駆除の最も大切なことなのです。

なお、わたしの場合ですが、導入からスネールの姿が見えなくなるまでに、2ヵ月ほどかかっています。これは、チェリーバルブが成長するまでの時間とも捉えることができそうです。



ミナミヌマエビとの同居について

最後に、ミナミヌマエビとの同居について述べ、記事を終えたいと思います。あくまで、わたしの水槽の話となりますが、投稿時においてはエビが捕食され、総数が減少するということは起きていません。

そうは言っても、口に入るサイズなら捕食してしまうチェリーバルブのことです。稚エビは多少なりとも捕食されていると考えるのが妥当だと思います。そもそも、エビは熱帯魚の餌に入っているほど、いや、種類によっては人間が食べてもおいしい生き物です。そのため、味を覚えてしまったら、彼らの捕食対象となるのは明らか。そのため、たまたま、わたしの太の水槽では、

エビの繁殖スピード≧バルブの捕食スピード

となるようにバランスが取れ、同居が成立していると考えるべきなのでしょう。とにもかくにも、何らかの理由でこのバランスが崩れた際には、別水槽や産卵ボックスなどで手厚く保護しなければ、消え去ることになるかもしれません。

現に、「チェリーバルブにエビが捕食されまくった!」という話を他者からよく聞きますし、わが家の水槽では産卵場所と思われる水草からエビやオトシンを追い払う姿も見られます。双方を両立させるには、十分に注意を払った方がよいかもしれません。

というわけで、チェリーバルブについての話はここまで。長文読んでいただきありがとうございました。



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