瞬間接着剤でウィローモスの活着~メリットとデメリット~
(2024/11/15 修正)
今回と次回で、接着剤を利用したウィローモスの活着について述べていきたいと思います。今回は、そのメリットとデメリットについて、次回は実際の手順とその様子を写真とともに紹介していきたいと思います。
瞬間接着剤でウィローモスの活着をするメリット・デメリット
さて、ウィローモスの活着方法については現在さまざまな方法が模索されており、その中でもグリーンに染色された木綿糸で巻くものが、一般的に知られています。
しかし、近年の情報発達は凄まじく、さまざまな固定方法が考案されては、はやり廃れの波で駆け巡り、まさしく日進月歩の分野だと言えるでしょう。時に木綿糸の代わりに釣り糸を用いてみたり、鉢底ネットとオクラネットを組み合わせモスマットとしてみたりと、強靭な水草であることも相まって多種多様なものが生まれては消える状況となっています。その中でも、今回と次回にわたり紹介する瞬間接着剤を利用したものは、エポックメイキングなアイデアの一つです。
しかし、それゆえ利点の他に数多くの欠点を有しています。詳しくは後述するとして、まずは簡単に列挙しておきたいと思います。
【メリット】
・簡単! 短時間!
・どこでも入手可能
【デメリット】
・必ずしも無害ではない
・葉の密度はウィローモスの生長次第
・成長速度は極めて遅い
それでは、一覧にした特徴について、下のパートより、述べていきたいと思います。
メリット
簡単!短時間!
何といっても、「瞬間」接着剤だということです。
もし、細い糸で固定しようものなら、モスを巻き付ける緻密な作業の連続となり、精神力と時間を大いに浪費することになります。それが、瞬間接着剤なら塗って貼り付けるだけ。硬化も作業も短時間ときたものです。そのため、手が壊滅的に不器用でない人や、急いでいる人におすすめの方法です。
そもそも接着剤には、木綿糸や釣り糸では必須となる「結ぶ」という作業がなく、また巻き付けて使うものではないため「糸が緩んでやり直し」というような悪夢も訪れません。そのため、旧来の方式では15分~30分と時間が掛かっていましたが、接着剤を塗ってからモスを乗せて硬化するまでわずか数秒ですから、5分もあれば事足りてしまいます。
以上のように、痒い所に手が届くどころの話ではなく、まさに未来の活着方法だと言えるでしょう。
瞬間接着剤どこでも売っている
アクアリウム用品は、アクアショップでしか手に入らないものが非常に多いです。
アクア用木綿糸で有名な商品であろうADAのモスコットンは、ホームセンターやスーパーでは販売されていません。専門店まで足を運ばなければならないのです。対して、瞬間接着剤は、どこにでも売っています。コンビニでも手に入りますし、駅前の店や100円均一でも入手可能です。これは言い換えれば、思い立ったが吉日、ウィローモスさえあればすぐに活着できることを意味しています。
誰しもが、24時間365日の世界で生きています。となれば、時間は有限であり、働き盛りの疲れ果てたビジネスマンが平日の会社終わりに郊外のアクアショップまで足を運ぶというのは、いささか無理があります。ならば、100円均一の道具で……となるのは当然の流れなのかもしれません。
とにもかくにも、作業時間ばかりでなく、準備に要する時間も短時間。従来の方法とは異次元ともいえる活着方法となっています。
デメリット
必ずしも無害ではない
たしかに大変便利ではありますが、注意するべき欠点が多い手法となっています。
まず、瞬間接着剤は硬化する前の状態では有毒です。「人間において」という前提ですが、気化したものは、粘膜を刺激する毒性があるようです。しかし、短時間で硬化し、その後は無害であるため、現在では医療用としても使われることがあるようです。
結局のところ、水草に使用してみないと何とも言えないわけですが、わたしの経験では、問題が出る植物とそうでないものがあるということがわかっています。例えば、ウィローモスにゼリー状の瞬間接着剤を利用した際には、ほとんど変色しませんでした。しかし、同じものでアヌビアス・ナナを接着させると、塗布した場所が色が抜けたように変色してしまったことがあります。そのため、まずは目立たない部分で試し塗りしてみるのがよさそうです。
以上のような理由があるため、実際の作業にあたっては、必ず自己責任のもと実施してください。また、十分にすすいでから水槽に戻しましょう。
葉の密度はウィローモスの生長次第
さて、以下の話はわたしのウィローモスの現状をもとに比較し、記したものです。全ての栽培環境に当てはまるとは限りません。
接着・活着はうまくいっても、一番気になるのは成長後の姿。しかし、残念ながら木綿糸や釣り糸、そしてモスマットなどの固定方法と比べ、瞬間接着剤で接着したものは葉の密度が低くなる傾向があるようです。つまり、スカスカなウィローモスになりやすいのです。
あれこれと深く考えてみたのですが、思い当たる節は一つだけ。そもそも、この手法はウィローモスの下側のみを固定するものです。そのため、茎葉は糸やネットで押さえつけられておらず、より豊かな光量を求めて生長点を脇芽として作り伸びていくというようなことは起きません。結果、茎葉は長く生長しますが、横へと広がった絨毯にはなりづらくあるようです。
もっとも、時間さえかければ、他の手法と比べても遜色のないものになるはずです。
そう、時間さえかければ。
見頃を迎えるまで時間がかかる
この方法の一番の問題は、接着したウィローモスが生長し、美しい絨毯として見頃を迎えるのに、長い時間を要するということです。
後日追記となるのですが、記事に登場した木化石に接着したウィローモスが、やっと目的としていた葉が密に生い茂る姿を見せてくれるようになりました。その期間、なんと1年。作業が時短になるというメリットの代償は、思いのほか重くなるようです。
そのため、この方法は、よほど時間に追われている人以外にはおすすめできません。今日、客人が来るんだ! 明日、コンテスト用の写真を撮影するんだ! という人でなければ、仕上がりに大いに不満を持つことになるかもしれません。多少面倒でも、時間をかけて釣り糸を利用した方が、より短時間でため息の出るほど美しい姿になってくれるはずです。
非常に便利な手法であることは間違いないのですが、栽培結果を考えれば、ほとんどの水草アクアリストには出番のないものだと言えるかもしれません。
(葉が密になるまで時間がかかる) |
というわけで、今回はここまで。次回より、実際にウィローモスを接着するための道具や方法について紹介していきたいと思います。長文読んでいただき、ありがとうございました。
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