なぜプレコ水槽とソイルは相性が悪いのか?
(2024/11/19 修正)
さて、今回はプレコ水槽にソイルを利用して3ヵ月が経過しましたので、そのレビューを記してみたいと思います。なぜプレコ水槽にソイルを入れることになったのか、まずはこれをお話ししなくてはなりません。
桜大磯砂の劣化
事の発端は、細かい粒がたまっているのを清掃後のバケツで見つけたことです。いろいろと調べてみると、10年以上使用していた桜大磯が、なんと指でつぶせてしまうほど劣化していることが発覚。このまま放置すれば、屑になった大磯砂で外部フィルターのインペラを傷つけるおそれがあったため、底砂を可及的速やかに交換することとなりました。
さて、この水槽では、とある理由によりプレコと水草が同居しています。そのため、交換候補は、硬度を上げずに半永久的に利用できるガーネットサンドや酸処理した大磯砂などを利用する予定でした。そして、実際に大磯砂をクエン酸で処理しています。しかし、ある意外なことが判明したため、取りやめとなったのでした。
それは、ブラックウォーターやゼオライトなどのソイル以外の方法で軟水化を画策しているときに気が付きます。なんと、高い硬度の原因は大磯砂ではなく、わが家の水道水の季節的な変動によるものだったのです。逆に、ボロボロと崩れ落ちる大磯砂は硬度分がすでに溶け出し、ほとんど影響を及ぼさないことを示唆する試験結果となりました。であるなら、何をやっても焼け石に水で、強く硬度を下げる方法が必要となってきます。となれば、ソイルしかありません。
ごく当たり前の結論に話が行き着いたわけですが、初めはひどく躊躇しました。プレコ水槽にソイルという組み合わせは、相性が悪いとよく言われているからです。そして、交換を決めかねてネット上で右往左往していると、こんな言葉を見つけることになります。
「必要以上にソイル嫌いになっていないか?」
ネットで得た知識のみで、一から十まで判断するのはいかがなものかと気が付かされたのです。実際にやってみなければ本当のことはわからないのです。
(我が家で利用していた桜大磯砂) |
ソイルの弱点どう克服するか?
そもそも、ソイルの弱点とは何でしょうか? それは摩耗や劣化、さらには物理的な圧力により、粒が崩れることです。そして、これはさらなる問題を引き起こします。粒子が崩壊すれば濁りが生まれ、底床が低くなるのです。
このような問題に対して、それらを常用する水草水槽では以下のようにして向き合うことになります。
・力を加えないように底床掃除をする
・生体数や餌を抑え底床の清潔を保つ
・淡水エビなどのスカベンジャー導入
・底床を掘り起こす魚は入れない
さまざまなテクニックを駆使して、ソイルが崩れすぎないよう維持していくことになります。では、プレコ水槽ではどうすればいいのでしょうか。繰り返しますが、プレコ水槽とソイルは相性が悪いと言われています。その理由を列挙すると……
・底床掃除が控えめとなり不衛生
・比重が軽く地面を掘るプレコに不適
・プロホースを用いた掃除がしづらい
以上、3点が大いに問題だとはっきりと言えるでしょう。しかし、ここまで問題点が明白にわかっているのなら、対策を取ればいいだけの話です。
まず、ソイルを利用する以上、どんな理由にせよ崩壊からは避けられません。丁寧に扱っても、乱雑に扱っても運命からは逃れられません。それに、この水槽はそもそもプレコ水槽です。であるなら、底砂よりもプレコが優先なのは当然のことで、臆さずガシガシと底床を掃除すればいいだけのことです。幸いプロホースの構造上、掃除で生まれた濁りは水槽外へ排出されますし、幸か不幸かソイルは洗浄しなくても投入できるので、適宜追加していれば下で困ることもありません。
次に、プレコが開ける穴についてですが、これは元来持つ習性ですからどうにもできません。できる対処方法としては、底床の厚さを薄くし、深く掘れないようにするぐらいです。このようにすれば、清掃は簡単に済みますし、色飛びも防止できます。もちろん、あえて厚く敷くのも大いに結構です。なぜなら、尻尾をブンブン振り回して穴を掘ることこそ、プレコの生態だからです。旭山動物園の行動展示とまではいきませんが、穴を愛でるのも、真の愛だと言える……かもしれません。
最後は、プロホース。これだけは水草水槽で知られている既存のテクニックで補えます。シャカシャカと呼び水をし終えたら、今度は左手で排水ホースを折るようにしてつぶし、流量を調節すればいいのです。このようにするだけで、比重が軽くパイプ内でゴミと一緒に詰まりやすいソイルも、プロホースで掃除することができるのです。
とにもかくにも、これだけ乗り越える方法があるのなら、やる前からあきらめるのは、いえ、やってもいないのにダメだと決めつけるのは、建設的な行為ではありません。失敗の兆候があるのなら、すぐに元の環境に戻せばいいのです。
プレコ水槽にソイルの実際
というわけで、いざ実践。ここでは、3ヵ月間プレコ水槽でソイルを利用したときの話を述べておきたいと思います。
さて、当初一番の懸念事項であったソイル崩れですが、これはどうやら杞憂だったようです。そもそも、この問題は多くの水草アクアリストを悩ませてきたのですが、となれば硬くて崩れにくく、濁りが生まれづらいソイルが開発されるのが資本主義として当然の流れです。結果、たしかに掃除ごとに崩れた粒子がバケツに出るものの、頻繁に追加投入が必要だという状況に陥っていません。当然、プレコのヒゲが腐ったりヒレが病気になったりなどのトラブルもありませんでした。となれば、あれほどダメだと言われた話は何だったのか? ということにもなります。もっとも、これは45cm規格水槽でプレコを1匹飼育したときの話であり、これより大きな水槽であったり、数が多ければ話が違ってくるかもしれません。
次いで水質についての話となります。まずは、変更前と変更後3ヵ月の水質変化をご覧ください。
【変更前】
NO3 10mg/L
NO2 0mg/L
GH 8°d
KH 6°d
pH 6.8
【変更3ヵ月後】
NO3 10mg/L
NO2 0mg/L
GH 4°d
KH 3°d
pH 6.8
まず、変更前と変更後3ヵ月の数値を比較すると、硬度が大きく低下したことになります。結果として水草は以前よりも遥かに育ちやすいようになり、ヘアーグラスやセロタラなど、今までの水質では育てるのに難儀した植物たちも、こぞって大きく生長するようになりました。また、二酸化炭素の添加も利くようになったため、点灯時には美しい気泡さえもつけるようになりました。しかし、硬度の問題が解決すると、今度は別の問題が目立つようになり始めました。コケ問題です。そもそも、この水槽はプレコ水槽であり、水草水槽としては硝酸値が高すぎたのです。ここで難しい水草を栽培しようものなら、問答無用でコケの餌食となるようになってしまいました。その詳しい話はまた別の機会に。
結果としては、生態にトラブルもなく、水草は生長したため、この組み合わせは成功だったと言えるでしょう。
まとめ
最後に話をまとめて終えたいと思います。当初、プレコ水槽にソイルという組み合わせは「禁忌」のように感じ、それを打ち破ろうとチャレンジ精神で、底床を交換し飼育にあったわけですが、望外にも悪影響がほぼなく、取り越し苦労であったようです。たしかに、プロホースで掃除がしづらいというデメリットこそありますが、慣れればしっかりと底砂を清潔にできますから、それほど大きな気にすることではないでしょう。
昨今、簡単に情報を収集し、相手に意見できる時代となりましたが、何事も自分でやってみなければ、わからないことだらけだなと改めて思い知らされた次第です。
というわけで、今回の話はこれでおしまいです。長文読んでいただき、ありがとうございました。
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