ドワーフ・フロッグピット栽培のポイントは水流と温度!
(2024/11/30 編纂・修正)
今回は、ドワーフ・フロッグピットの実際の栽培について。導入方法、栽培方法、間引き(トリミング)、栽培上の注意点、越冬などの栽培経験をもとに、紹介していきたいと思います。
導入と栽培
導入方法はとっても簡単!
導入時の注意点について述べたいと思います。まず、購入したら初手はスネールが侵入しないことを優先し、カルキ抜きした水で軽くすすぎながら目視による検疫を行います。それでもカワコザラガイなど極小サイズのものは見逃しやすいので、なるべく「水草その前に」や炭酸水などの薬剤を利用しましょう。作業が終わったら、よくすすいで薬を落としてから水槽へ戻すまでが、一連の流れとなります。そのため、多くの水草とほぼ同じ手順となっていますが、
最大の注意ポイントは、葉の裏側です。
浮草という特性上、表側(水面側)の葉に目が行きがちですが、スネールたちは基本的に、暗がりや人目につかぬところを好みます。とりわけ、ドワーフ・フロッグピットの場合、裏側に付着していることが実に多いです。そのため、葉をひっくり返して、目でよく観察することをおすすめします。また、水ですすぎながら、軽く手で触れてみてください。スネールがいれば、小さなポコっとした無機質な感触があるはずです。手触りを頼りに、手でスライドさせるようにやさしく剥がしましょう。
そして、最後は、駄目押しとばかりに薬剤を利用していきます。これを怠り、睡蓮鉢がカワコザラガイまみれになってしまった経験があり、景観・時間・金銭ともに損失は甚大です。たしかに、手間や時間や、さらにはお金がかかり面倒ではありますが、もしものことを考えれば、導入のタイミングで処理するのがおすすめです。
ドワーフ・フロッグピットの栽培方法
実際の育成は、器具がそってさえいれば、比較的簡単なことです。なぜなら、光合成を行うための葉は水上にあり、よほどひどくない限り、コケにやられることはありません。さらに、ライトに最も近い場所で栽培となりますから、ほかの水草の陰に邪魔されることはありません。
そもそも、この浮草は池や沼などの穏やかな水面に自生し、人工環境においては夏に生長が盛んになるものです。そのため、栽培方針としては自然環境に寄せることがベストだと思われます。例えば、水面付近の水流を抑えたり、夏のような十分な光量(60cm規格水槽で2000lm程度)を与えたり、暖かな気温と水温、そして少々のCO2があるとよいでしょう。それらに注意すれば、ぐんぐん生長していくでしょう。
もし、ドワーフフロッグピットに元気がないときは、水流、光、温度、二酸化炭素、そして肥料の順に疑ってみると良い結果が出るはずです。
トリミングと間引き
このパートの最後に、トリミングや間引きについて話していきます。ドワーフ・フロッグピットは生長しやすい環境があれば大繁殖し、最終的には水面を覆い隠すほど強い浮草です。あえて水面全体に増やしたり、水質浄化目的で栽培しているときには、大きな問題にはなりませんが、もし水中に多種多様な水草を植えてあるならば、確実にそれらの調子が大きく落ちることに間違いありません。
そのため、この水草を単植しない限り、光を水底に届けるために適宜間引きすることをおすすめします。実際の方法としては、手で摘まみ上げて捨てるだけで、この時不要なランナーもカットして構いません。比較的雑に作業しても大きな問題は出ませんが、1つ注意点として挙げるならば、定期的に間引きしていないと、巨大化した株の根が底床に達して根付いてしまうことがあります。こうなると、根張りは思った以上に強力で、地中に大きく広がりますから、他の水草まで抜かないように注意しましょう。
やはり、小さくてフワフワと浮いているのが可愛らしい水草です。よほど思い入れがない限り、根付く前に間引くことをおすすめしたいと思います。
ドワーフ・フロッグピットの栽培上の注意点
ここからは、栽培するうえでの注意すべき点をまとめてみました。
水流に弱い!
もともと、緩やかな河川や湖に自生していますので、強い水流や流れが直接当たる場所は大の苦手です。そのような所で栽培していると、どんどんサイズが小さくなり、いつの間にか跡形もなく消えてなくなります。
それを防ぐため、なるべくナチュラルフローパイプやポピーグラスなど、水の流れを緩やかにする道具を利用したいものです。もちろん、水面付近に強い水流とエアを作り出すディフューザーなんてもってのほか。エアレーションするときは、エアポンプとエアストーンでふわりゆるりと焚く程度にとどめておきましょう。盛大に吹き込むのはおすすめできません。
何かと夏のイメージがある水草ですが、真夏の清流のような水流と気泡は好みでなく、あくまで夏日の沼地のような平らな水面が生息に適しているようです。
低温に弱い
今まで何回か述べてきた通り、ドワーフ・フロッグピットは夏の水草です。そのため、低温に弱い浮草となっています。わたしの経験した話ですが、日中の水温が12℃前後になると生長が止まるようです。それよりも低水温にさらされると、溶けるようにジワジワと枯死していきます。茶色く変色するようにカサカサになり、傷みが広がるのです。
また、低気温も苦手です。浮草はたった一晩の「秋風」ですら、枯死に至る場合があります。水槽を設置してある部屋の室温にもよりますが、保温に心掛け、必要があれば適宜ガラス蓋を利用してあげましょう。とりわけ、夏から秋にかけてはよく注意して、お手入れをしてあげてください。
逆に、適切な保温さえしてあげれば越冬は可能です。水槽水面直上の26℃の水とガラス蓋で囲まれた空間はわたしたちが思っているより気温が高く、冬でも旺盛な生長が見込めます。そのため、通年で栽培したいのなら、「秋」の保温開始のタイミングがポイントだと言えるでしょう。
肥料・CO2不足に弱い
その旺盛な成長力と、水質浄化作用が示しているように、肥料をたくさん消費する浮草です。極端な貧栄養の環境では遅々として生長が進まないこともあります。その点では、ウィローモスやミクロソリウムなど、養分をそれほど必要としない植物とは大きく違います。
とはいえ、基本的には魚を飼育しているような環境では、そのようなことは起きづらいはずですから、貧栄養に取り組んでいる水草水槽にのみ注意が必要だと言えるでしょう。それでも、どちらもカリウム分は不足しがちになりますので、生長具合と照らし合わせて添加しましょう。
また、浮草と言えどもCO2は添加した方が、よい結果につながりやすいように思えます。そもそも、この浮草がどのようなメカニズムでCO2のやり取りをしているかわかりませんが、わたしの今までの失敗や成功からわかっていることは、どうやら水に接している葉の裏側にある気孔からもCO2を吸収しているようだということです。とりわけ、生息環境が厳しくなる冬場だけでも添加しておくと、大きなトラブルなく越冬できる傾向にあるようです。
前の話と合わせると、ヒーター、ガラス蓋、CO2が越冬の大切なポイントとなります。
というわけで、今回はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。
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