ウェンディロフはどんな水草?
(2024/12/3 編纂・修正)
今回はミクロソリウム・ウェンディロフについての紹介となります。どんな植物なのか、栽培道具と方法はどのようなものかという話をしていきたいと思います。
どんな植物?その学名・和名
ウェンディロフはプテロプスの仲間? その学名は?
Microsorum pteropus var. Windelov
これが、ミクロソリウム・ウェンディロフの学名です。さて、学名はラテン語で、属名(ぞくめい)と種小名(しゅしょうめい)がセットの命名規則(=二名法)です。そのため、Microsorum(=ミクロソラム)が属名、pteropus(=プテロプス)が種小名となっています。続けて言いますと、ミクロソラム・プテロプスという名前になります。つまり、プテロプスとウェンディロフは同じ種(しゅ)だと、言うことができます。
問題はその後ろ、var.と記されている部分です。これはvarietas(ラテン語)の略で、日本語で言うところの「変種」ということになります。ですので、ウェンディロフはプテロプスの変種だと学名からわかります。
和名は何ともロマンチック
次は和名についてです。実は私たちが普段「ミクロソリウム(ミクロソラム)」と何気なく言っていますが、これはラテン語の属名です。その和名では、ヌカボシクリハラン属と言います。漢字で書きますと、糠星栗葉蘭と書くようです。学名にも1フレーズに意味が込められているものが多いですが、和名も同様に込められています。
以下わたしの推測ですから、はっきりと断言はできません。さて、ヌカボシ(糠星)とは夜空に輝くあまたの星ということだそうです。星の数ほどに何があるかと言いますと、これはおそらく胞子嚢のことでしょう。次いで栗葉は、クリのごとく長い楕円形の葉を有していることから、この名が付いているものと思われます。
ここまでくると、「蘭」とは何ぞやとなるのが必然ですが、蘭はラン科の植物のことだとは思えてしまうのですが、当然それらに分類されるものではなく、また蘭のような花はつきません。
実は、蘭という漢字は奥が深く、さまざまな意味があるようです。例えば、いい香りのする植物にも蘭と付くことがあるようです。しかし、繰り返しますがこちらは花が咲きません。あまりにも謎過ぎて、1つの記事ができてしまいそうです。植物が好き、漢字が好き、という人は、その真相を是非調べてみてください。きっと、おなかいっぱいに知識をむさぼれるはずです。
とにもかくにも、当ブログでは蘭という言葉を幅広くとらえ、「植物」という事にしておきますが、何か重大な意味が隠れているような気がしてなりません。というわけで、夜空に輝くあまたの星のごとく(胞子嚢がある)栗の葉の形をした植物という意味合いになるのかと思います。
特徴と栽培のための条件
ミクロソリウム・ウェンディロフはウラボシ科のシダ植物です。大きさ20~30cm程度にもなる着生の陰性植物です。プテロプスとは違い、葉の先端が手のように分枝するのが大きな特徴です。その栽培上の条件は比較的緩く、どちらかと言えば初心者さんでも栽培できると言われています。具体的には、アヌビアス・ナナなど、ほかの陰性植物と同じように、低光量、CO2なしの環境でも育成ができるほどです。
その成長速度は、同じくアヌビアス属と同様に比較的緩慢で、有茎草のような毎週の頻繁なトリミングは不要です。また、生長が緩慢ですから、肥料の消費も厳しくありません。
以上、ミクロソリウム・ウェンディロフの特徴をまとめると……
・低光量で育つ
・CO2不要
・ソイル不要
・トリミングは頻繁でない
・肥料の要求も緩い
しかし、簡単だからみすぼらしい姿だということは決してなく、有茎草と同じように十分な光量を与え、CO2を添加すれば、たちまち美しい樹形と青々とした葉から綺麗な気泡が上がるようになります。それもまた1つのチャームポイントでもあるのです。
ミクロソリウム・ウェンディロフを育てるための道具選び
ここからは、道具選びの中でも最も注意を払ってほしい、ライトとCO2という二つの器具について述べていきたいと思います。
ライトの選び方と点灯時間
水草栽培で一番重要なのはライトです。これが水草の要求条件を満たしていないと、いくらCO2や肥料を添加していても意味がありません。ミクロソリウムが要求する光の強さは60cm規格水槽で、20Wの直管蛍光灯1本で育つと言われています。20W蛍光灯はだいたい全光束で、1500lm程度の光を発するものがほとんどですから、それを基準に考えれば良さそうですね。
いつもよく例に出すGEXパワーIII600は1台で1000lmです。それでは同等ないし、多少不足気味だということになります。同じ値段帯(ただし色味がかなり違う)のコトブキフラットLED600でも同様のことが言えるかと思います。ですから、綺麗に育てるのであれば、上で紹介したような安価なLEDの場合、なるべく2台あったほうがよさそうです。もっとも、CO2の添加状況によっては1台で十分なときもあります。
その点灯時間については、6~10時間程度が良いと言われています。しかし、6時間と10時間ではコケの出方がまるっきり違います。最初は短時間から始め、徐々に増やしていきましょう。それでも、6~8時間前後がちょうどよいと思いますが、どうしてもコケに侵されるのなら、3~5時間と短くしてしまうのもよいでしょう。貧栄養・低光量の持久戦に持ち込めば、ミクロソリウムの方に分があるからです。
ミクロソリウムはそこそこの光量さえあれば、CO2や肥料についてそれほど気を使わなくても、調子よく育ってくれます。では、何をもって調子がよい根拠とするのかと言いますと、それは葉の生長の良し悪しです。幸いなことにミクロソリウムの葉は、生長中だと先端が半透明になる性質があります。つまり、半透明な葉がところどころで観察できれば、元気よく生長できていると判断できるのです。これを頼りにライトの数や点灯時間を探るのもよいでしょう
CO2添加器具の選び方
CO2がなくても育つようです。現にわたしの睡蓮鉢では、無添加で栽培していますが、少しずつ大きくなっています。生長が早い水草ではないので、その要求度合いは大きくないようです。しかし、やはりあったほうがよく生長するようです。
もしミクロソリウム・ウェンディロブのみの栽培なら、添加量も少量であるため、添加方式としては小型ボンベがおすすめです。小型ボンベは省スペースかつ、1万円程度の初期投資で済みます。また、メンテナンスも面倒でなく、水草が増え添加量が上がっても、労せず対応できるのも利点です。しかし、そんな金額を出せないという初心者の方もいるでしょう。そんな人には、多少手間や苦労があっても、発酵式がよいかもしれません。メンテナンスや作成が大変で、添加量も季節により左右されますので、かなりノウハウが物を言う添加方法ではありますが、とにかく安価だからです。
ミクロソリウム・ウェンディロフは、上記の通りCO2がなくても生長できる植物です。そのため、一般的な添加量と比較して、少なめで問題ありません。具体的には60cm水槽で1滴あたり2秒~3秒程度、場合によっては、もっと少なくても育つでしょう。
少し曖昧な表現なのは、基本的にCO2は生体に対して有毒だからです。そのため、ネットの情報ではなく、現実の水槽を見ながら試薬を使い、濃度を測定してから決定しましょう。測定方法は昔ながらの試薬の他に、ADAのドロップチェッカーのように常に水中に沈ませておくタイプのものもあります。また、テトラ6in1試験紙のKHとpHの値を計算するなど、案外さまざまな方法があります。ご自身の利用しやすい方法で、CO2の変移(点灯直前、点灯中、消灯直後など)を見ながら添加量を決めることをおすすめします。
わたしとしては、最初はやはりテトラ6in1から計算で求める方法が面倒でも使いやすいと考えています。この試験紙は初心者の方が立ち上げに利用している人も多く、ネット上に落ちている一覧表を使えば計算は回避できるため、たしかに調べる努力は必要ですが追加コストが発生せずに調べられるからです。次点で、ドロップチェッカーです。こちらは常時視覚的に分かるので大変便利です。
さて、ボンベ式なら電磁弁とタイマーで添加時間を制御すると何かと便利です。最近はamazonで廉価品も売っています。ボンベを使っている人は、なるべく利用しましょう。発酵式の場合は、電磁弁を使えませんのでエアレーションをかけCO2を逃がすことで、時間を制御しましょう。
栽培上の注意点
ここからは栽培上の注意点いくつか述べておきたいと思います。
まず、この植物の生長はゆるやかです。そのため肥料の消費も少なく、他の水草と比べて水質浄化能力は低くなっています。前回まで紹介してきた、猛烈に増殖していくドワーフ・フロッグピットほどの水質浄化は望めません。フィルターが不要になるとか、そういうレベルには到底届きませんので、夢は見ない方がよいでしょう。
次の注意点はトリミングとコケ対策についてです。成長速度が遅い=トリミング回数が少なくなりやすい、つまり古い葉と新しい葉の入れ替わりが遅いわけです。そのため、コケが付きやすくなっています。生長がゆっくりとしているため、いちいちトリミングで解決していては葉がすべてなくなってしまいます。コケにまみれになったときは無理に切らず、木酢液で処理することをおすすめします。
また、生長が遅いがゆえに、バサバサとたくさん葉を切り落とすと、極端に調子を落とし、同じサイズに戻るのに時間がかかることもあります。なるべくなら、丸坊主はやめておいた方がいいかもしれません。もし、バッサリとトリミングしてしまった時は、生命力が強く栽培が容易な種ですから、大切に見守りながら調子が上がるのを待ちましょう。いつか必ず復活するはずです。
というわけで、今回はここまで。
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