ミューロAという不思議なろ材
どうも、こんにちは。ごん太です。
もうすぐGW。
水槽の水温上昇対策について、じっくりと考えるにはちょうど良い季節となりました。
さて、前回は……
ちょっと変わった構造のCO2ディフューザーについて紹介してみました。
ジグザクに気泡が水面に登りながら水に溶ける、見ても楽しいCO2ディフューザーの紹介をしました。
そして、今回もレビュー記事です。
テーマはミューロAというろ材について紹介していきたいと思います。
え? ミューロAってなんぞや?
という人も多くおられることでしょうから、ここに写真を載せておきたいと思います。
ミューロAは上の写真のようなプラスチックでできた薄い膜を持つボール型で、無数のヒダが特徴のろ材です。
このミューロAを外部フィルターで半年程度利用したので、そのレビューを綴っていきたいと思います。
まずはミューロAを入手した経緯から述べていきたいと思います。
その後、製品紹介、レビューの順で進めていきます。
ミューロAを購入した経緯
目詰まり恐怖症
いきなりですが、ごん太はろ材の目詰まり恐怖症です。
いまから15年以上の大昔に通水性が悪化しやすい生物ろ材を好んで利用していました。
そして、それを外部フィルターに目いっぱい詰め込んで、メンテナンスをさぼった結果、大・大・大失敗をやらかした過去があります。
当然フィルター水が止まり、魚はバタバタと倒れていきました。
愛魚を失い、ごん太の心は大いに挫け、一旦水槽を畳むことになりました。
……
そして月日が流れ、引っ越しを契機に再度水槽を始めることになりました。
その絶望的な体験から、ごん太は外部フィルターのろ材には何はともあれ”通水性”を求めるようになっていました。
そんなある日、我が家の水槽で猛威を振るっていた黒ヒゲ苔の抜本的な対策をすることになります。
45cm規格水槽で外部フィルター2台から、サブフィルター+メイン外部フィルターの運用に変更を画策します。
これで黒ヒゲ苔が好む水流が過大な状態を是正しようというわけです。
しかし、やはりエーハイム製とは言え、直列つなぎには不安があります。
通水経路が細く長いなってしまい、2台並列よりも詰まりやすいことが目に見えているからです。
なので、なるべく通水性が高いろ材を求め、紆余曲折ありあれこれ探し回りました。
そして、行きついたろ材がこのミューロAというろ材なわけです。
目詰まりしづらいことはいいことなのか?
そんな風に、ミューロAを購入したころは通水性至上主義。
しかし、この記事を書いている最近はろ材のバランス重視するようになりました。
通水性重視で失敗した! そう感じ始めたのは、通水性の良いろ材をろ材を多用するとウールマットが汚れやすくなったからです。
最初は生物ろ過性能ばかりに心とらわれ失敗し、その次は通水性ばかりで失敗した
というわけです。
もちろん、目の粗いろ材で生物ろ過、細かいゴミはウールマットという方法もあります。
そのウールマットを短期間で交換するれば、ろ材がゴミで詰まることはありません。
しかしごん太は、エーハイム2222という古いフィルターを利用しています。
ショップに行けばウールマットがすぐに手に入るというフィルターではありません。
ですから、なるべくウールマットの交換が1カ月に1回程度の間隔で済むようにしたいと思うようになります。
そして、通水性重視を改めろ材のバランスを重視の考えにたどり着きました。
(もっとも、どのフィルターの説明書にも書いてあることなのですが。)
しかしまぁ、自分のことを棚に上げて、あえて言うならば……
ゴミの一局集中を防ぐため、フィルター全体でゴミを濾しとろう! というわけです。
うまくゴミの一極集中を防げれば、ウールマットや生物ろ材が目詰まりを起こし、水流が止まってしまった! というような最悪の事態を回避できるわけですからね。
もちろん、ろ材の目を給水側は粗く、排水側は細かくするために、ろ材を用意しなくてはいけません。
ですから、単一ろ材で構成するよりもお金がかかります。
しかし、単一ろ材を詰め込みはハイリスクハイリターンです。
バランスよく利用したほうが、いろいろ不便ではありますが安全なわけです。
確かに面白味には欠けますがベターな結論ではあると思います。
さて、だいぶ話が脱線してしまいましたので、次のパートより製品の紹介をしていきたいと思います。
ミューロA紹介
ろ材の構造
まずは特徴的なろ材の構造を写真でもう一度紹介したいと思います。
まるでスギの実のようなサイズ感のあるボール状のろ材です。
しかし、よく見ると実は1mm以下の薄い膜で球体が構成されています。
この薄い膜が小さいボールの中に無数のヒダを作り出しているのです。
さて、球状で無数にヒダがある物を1つあげなさいと言われれば、ごん太は生物系ですから大脳を真っ先にあげます。
ミューロAも大脳もどちらも無数のヒダがあります。
そんな大脳と同じ方法を採用したミューロAの狙いは2つあるようです。
1つは表面積を増やすことで硝化細菌の定着場所を増やすこと。
そしてもう1つは……
ヒダが成す大きな溝でゴミをキャッチし続けることです。
また、人間とは違い、ヒダを作り出しているプラスチックの膜は軽いです。
ですから、プラスチックの薄い膜を独特の構造にすることで、表面積が広く、目詰まりしづらく、そして軽くなるわけです。
素材と構造でミューロAの3つの特徴が作り出されているのです。
パッケージ紹介&セット時に気になったこと
次いではパッケージ。
ごん太が注文したミューロAはビニール袋の簡易的な包装で我が家にやってきました。
これで1Lでお値段1400円なり。
ビニールにバーコードが張り付けてあるだけなので、パッケージについては主だって紹介する内容がありません。
ですのでここでは、フィルターにセットした際の話を述べておきたいと思います。
さて、ミューロAが到着して早速利用するために洗浄したのですが……
プラスチックろ材のため浮いてしまいました。
しかし、ろ材が浮いてしまうのはプラスチックろ材にはよくあることです。
ですから、躊躇せずそのままろ材コンテナにセットしましょう。
なお、ごん太は心配でしばらく軽くかき混ぜながら水に漬け込んでおいたのですが……
数分で水分を吸ったのか?
それとも含まれていた気泡が抜けたのか?
下の写真尾ように自然と沈むようになりましたので、それほど気にするような問題ではないでしょう。
また、こういったプラスチックろ材はそもそもセラミックの粒子がありません。
ですからセラミック粒子で水が濁ることもなければ、水槽の底床を汚すこともありません。
お手軽にセットでき、大変便利です。
なんとも便利な時代になったものです。
重さ・サイズ
ここからはミューロAろ材単体のサイズと重量についてです。
まずはミューロAの重さを1g単位で測定できるキッチンスケールで調べてみました。
我が家ではミューロAを700ml強ほど利用しています。
その残り300ml弱の残りのうち、200ml分を計量カップにとり、その重さを計測してみました。
すると200mlで22g。
なんともアバウトな結果なのですが、1Lあたりおおよそ100g強のようです。
なお、エーハイムバイオメックは1Lあたり600g程度ありますから、セラミックろ材の1/6の重量だということができます。
次いでサイズ。
こちらはノギスで測ってみました。
その直径は17~19mm。
ボールろ材と言えども複雑な構造をしていますので、きれいな球体ではなく多少のいびつのようです。
ですから、ミューロAのろ材の紹介文通り直径20mmと考えても問題ないでしょう。
まとめると……
【ミューロAのサイズ・重量】
・サイズ 直径17~19mm(約20mm)
・重さ 200mlで22g(1Lあたり100g強)
というわけで、サイズがサイズなために、投げ込み式や外掛け式フィルターには向いていません。
ろ材が少々大きすぎるからです。
しかし、驚くほど軽いため、重量が問題となることもある上部フィルターでも臆することなく利用できるでしょう。
また、ろ材洗浄時などでも取り扱いは極めてイージーです。
もちろん、外部フィルターにおける最大の重量物は”飼育水”です。
ミューロAの軽さを享受するためには、必ずフィルター内の水を抜いてから作業をしましょう。
そんなわけで、紹介もレビューの色を帯びてきたのでレビューに入っていきたいと思います。
ミューロAレビュー:ここが良い!編
このパートでは、ミューロAの利点について述べていきたいと思います。
なお、次のパートに清掃前の汚れたろ材の画像や洗浄で利用したバケツにゴミが溜まった画像があります。
お食事中人はご注意ください。
ここが良い!その1:通水性とろ過の性能が良い
ごん太は外部フィルター内で水槽の水が入って来るすぐのところで利用しています。
ミューロAの物理ろ過能力と通水性を当て込んでのことです。
ミューロAのヒダが作り出す大きな溝は、目詰まりが起きないほど深いものです。
そのミューロAを利用してから半年以上経過しますが、目が詰まってフィルターの水流が止まるようなことは起きていません。
また、ろ材洗浄のたびに観察していますが、目詰まりを起こすほどろ材間にゴミを溜め込んでいるような状態は一度たりとも見受けられませんでした。
ですから、通水性はかなり良いろ材だと言えるでしょう。
次いで1カ月程利用したミューロAの一部を取り出し、写真を取ってみました。
所々に大きなゴミをキャッチしています。
しかし、それよりも気になるのは所々に硝化細菌のコロニーと思われるような丸い点々が付いていることです。
クローズアップしてみましょう。
美しいヒダの内側には、思った以上に有機物を溜め込んでいるようです。
さて、ミューロAはプラスチックろ材ではありますが、その表面はザラザラとした加工が施されています。
もしかしたら、そのおかげで硝化細菌が定着しやすく、ゴミもキャッチしやすいのかもしれません。
ここで、どれだけ硝化細菌やゴミを溜め込んでいるか見てみましょう。
1カ月ほど利用したミューロAをバケツで洗浄し、それらから分離されたゴミを撮影してみました。
バケツにゴミもしくは硝化細菌のコロニー思われる茶色の物体がどっさり取れました。
ショッキングな画像ではありますが、ヒダの内側にこれだけの物をキャッチしていたのですから驚きです。
そんな特徴があるわけですから、
物理ろ材もしくは物理ろ材と生物ろ過の兼用として十分な性能があるはずだと言えるでしょう。
次いで気になる生物ろ過性能についてです。
このような表面積と軽さに趣を置いたボール状のプラスチックは、ドライろ過”向き”のろ材です。
ドライろ過は、多孔質にこだわらなくても豊富な酸素により生物ろ過効率が高く、また設置方法ゆえに重量に制限があることが多いからです。
プラスチックでボール状のろ材は、そんなドライろ過の要件をクリアするために設計されていることも多くあります。 もちろん、ミューロAもそのような方向性で作られています。
そう考えると……
ドライを目的としたろ材に、ウェットろ過における生物ろ過の主役を任せてみるのは少々荷が重いように思えます。
生物ろ過は目の細かい専用の生物ろ材に担わせましょう。
ミューロAには物理ろ過ないしは物理ろ過と生物ろ過の中間を受け持ってもらうのが、ミューロAの長所を正しく活用できる方法だと思います。
じっくり時間をかけて硝化細菌を定着させれば生物ろ過でも使えるでしょうが、やはり”餅は餅屋”です。
ここが良い!その2:とにかく軽い!
上でも触れましたが、プラスチックろ材ゆえに軽いのミューロAの利点でもあります。
もちろん、ほとんどのプラスチックろ材共通の利点でもありますが。
ミューロAは大変軽いろ材です。
フィルター内の水をしっかりと抜きさえすれば、お子さんでも女性でも簡単に外部フィルター本体を持ち上げられることができます。
ですから、フィルターを洗い場に持っていくのが随分楽になります。
フィルターのメンテナンスに余計な体力・筋力を取られる機会が減るわけです。
もちろん、フィルターの中のすべてのろ材をプラスチックにするのはなかなか難しい話です。
しかし、例えば物理ろ過で利用しているセラミックろ材と交換するだけでも、500g程度は軽量化できます。
ですから、力の弱い人にはお勧めなろ材です。
特にエーハイムクラッシックシリーズは、吸水パイプから簡単にフィルターケース内のほとんとの水を抜けるので、軽量化・低労力化という観点では相性ばっちりな外部フィルターだと言えるでしょう。
ここが良い!その3:見た目とは裏腹に耐久性あり!
このミューロA、何度もプラスチックろ材と記しましたが、正確には塩化ビニルでできています。
そのため程よい柔軟性と弾力があります。
その塩化ビニルでできた膜の壁は、その1枚1枚が1mm以下ですから、一見簡単に折れてしまいそうな気配があります。
しかし、実際にはそう簡単に折れることはないでしょう。
ろ材そのものが柔軟で弾力があり、衝撃が逃げるためです。
さらには、隣り合う壁の間隔が狭いため、いい塩梅で力が分散されるのも一因のようです。
試しに指で押しつぶしてみても、手でつぶしてみても、ごん太の力では潰れませんでした。
しかし、やはり足で踏みつぶしたら、当然潰れることになるでしょう。
ですから、ギリギチにろ過層に詰め込んだり、重いろ材の下に置くなど、無理な力をかけるのはやめておくのが無難です。
逆に言えば、ろ材コンテナにほどほどにセットするような、正しい利用方法をしていれば壊れることはなさそうです。
なお、現在は約半年ほど利用していますが、あからさまに破損したろ材は見受けられませんでした。
また、経年劣化については、進展があり次第この記事で追記したいと思います。
ここが良い!その4:プラスチックなので粉が出ない!
これもプラスチックろ材全てに当てはまる利点であり、製品紹介のパートで既に述べた話となります。
このミューロAは塩ビでできていますので、利用初期のセラミックろ材のようにセラミックの粒子が出ないのも利点です。
新しくセラミックろ材を購入した際、労力と時間を取られるのが洗浄です。
ろ材の素材によっては、まるで無洗米を研ぐがごとく洗っても洗ってもセラミック粒子が出てくきてしまい、延々と時間を取られることもあります。
しかし、それが面倒でろ材の洗浄をいい加減に済ませると大変なことになります。
最悪ウールマットをすり抜けて、排水パイプから水槽内に吐き出され、せっかくの底床をセラミック粒子のまだらの白い斑点で汚すことになるからです。
ですから、粉状のものが出ず洗浄にも時間が取られないのはメリットと言えるでしょう。
ここが良い!その5:目を見張る特殊な形状なので……
見れば見るほど不思議な形をしたろ材です。
ごん太もこの形がとても気になり、ミューロAを購入しました。
その形たるや外部フィルターに入れておくのがもったいなく思えるほどです。
(もっとも、それではろ材として利用できませんが。)
このミューロAというろ材は、この形が全てです。
軽い、通水性が良い、物理ろ過で使いやすいなど、様々な特徴がありますが、それらの性能が目当てでこのろ材を購入する人がどれほどいるでしょうか?(オイオイ
この記事をご覧になった人はきっと、長い内容はどこへやら、ミューロAという名前と共にその不思議な形が目に焼き付いたことでしょう!。
つまりは、それほど強烈な形をしているのです。
ミューロAの微妙な点
このパートからは、ミューロAの微妙な点について述べていきたいと思います。
ここが微妙!その1:値段設定がやや高い
このミューロAはプラスチックろ材です。
物理ろ材として利用する人が多いはずですから、現実的な直接のライバルはエーハイムメックになります。
もっと細かく突っ込んで言えば、リング状のプラスチックであるプラスワンやバフィーサポート。
ドライろ過でも利用できるろ材という視点に変えてみれば、カミハタバイオボールがあります。
いやいや生物ろ過で利用するんだ! となればエーハイムサブストラットプロもいます。
そのような多種多様なろ材たちがライバルがいるのです。
そのろ材たちと比較すると1400円という値段設定はどうでしょうか?
やはり、1400円という値段設定は、どのライバルたちよりもやや高めに思えます。
ですから安い!という理由でこのろ材を選ぶ人は、それほどいないはずです。
もちろん、1400円という値段は、他の高性能・高機能セラミックろ材と比較すれば極めて妥当な値段ではあります。
しかし、言い換えれば、他のろ材と比べられやすい値段とも言えます。
おそらくこのろ材を手に取る人は、軽さや値段設定、さらにはろ過能力やブランド名ではなく、この独特な構造に惹かれてのはずです。
そのように考えれば、1400円という値段はお値打ちであると言えるでしょう。
ここが微妙!その2:フィルターを選ぶ
直径役2cmのボール状で、比較的大きなろ材です。
ですから、ろ過層の小さな外掛けフィルターや投げ込み式、さらには小さい水中フィルターでは十分な数を詰めることができません。
小さなフィルターとして利用するのは少々厳しいかと思われます。
また、生物ろ過作用よりも物理ろ過作用の方が強いろ材です。
なるべく生物ろ材も併用できるフィルターにセットするべきで、ある程度大きなフィルターで利用することが前提となります。
具体的には、適合サイズが60cm規格水槽を対象とした”普通サイズ”の外部フィルターや上部フィルターのドライ層などで利用すると、本来の力を発揮させやすいはずです。
総評:魅惑的な形に惹かれて
ミューロAはドライろ過でもウェットろ過でも利用できるろ材です。
しかし、それでも今まで述べたような特徴があるために、ドライろ過真価が発揮される物だとごん太は考えています。
プラスチックは多孔質でないため、いくら表面積が大きくても生物ろ過ではセラミックに敵いません。
また、ろ材の重量制限が事実上ない外部フィルターでは軽量であることのメリットは、なかなか引き立ちません。
そんなドライろ過向けのろ材をウェットろ過で利用するわけです。
正直なところ、性能面ではなかなかオンリーワンな利点を見つけるのが難しくもあります。
値段で言えば、安くて信頼できるエーハイム製のメックがあります。
軽さで言えば、どのプラスチックろ材も似たような重さです。
肝心の生物ろ過性能は、目の細かいセラミック製生物ろ材の方が上でしょう。
そんなわけなので、八方塞がりな状況に置かれているミューロAですが、他のろ材とは比較できない最大の特徴はやはり、
【他のろ材にも負けないミューロAの特徴は?】
・ヒダが複数に集まったスパイラル構造
・構造由来の通水性の良さ
そしてこれを生かすためには……
物理ろ過や物理と生物の橋渡しとして活躍してもらうほかありません!
もちろんミューロAは生物ろ過でも利用できるろ材です。
ですから、生物ろ過の主役も務めることができるはずです。
しかし、ライバルひしめく生物ろ材よりも物理ろ材寄りで利用してあげた方が、ミューロAもアクアリストも幸せになれるような気がするのです。
というわけで、今回のレビューはここまで。
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