短時間の停電をポタ電でやり過ごす
南の海上で台風が多発しており、残暑厳しい季節となっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
どうもこんにちは。ごん太です。
さて、前回は 5000円で購入できるCO2ディフューザーの話をしました。
今回は、我が家に工事による 停電 が起きるようなので、
昨今もてはやされているポータブル電源で、やり過ごした体験談をしていきます。
それでは目次に続きまして、本文へと入ってきます。
続きをどうぞ!
「工事で停電します!」
9月と言えば防災。
それは、1923年9月1日に発生した関東大震災が由縁です。
また近年では、8~10月にかけて台風が上陸し、甚大な被害をもたらしているのも、防災意識の高める背景となっています。
そんな事を知ってか知らずか、我が家に届いた【停電のお知らせ】。
老朽化した変電設備を交換するようで、深夜に2時間程度停電に〝なるよう〟 です。
――そうなんです。
あまりに突然のことで、ポカンと開いた口が閉まらず、泳いだ目で停電の文字を何度と追っても、いまいち実感が湧かないのです。
しかし、柔らかな文章を配しつつ、深紅のフチで囲ってある異常事態を知らせるチラシは、それを許しません。
確実に訪れる水槽の危機。
冷たい水滴が背中の裏を伝い、頭よりも体の方が先に感じ取っているようでした。
しかし幸いにも、準備期間は1カ月あるようです。
停電地に押さえておきたい2つのこと
停電。
これほど電気器具がこんもりと接続されている水槽に、悲観的なことはありません。
フィルターもヒーターも。ライトもCO2添加器具も。さらにはエアポンプでさえコンセントに繋がっています。
これらが同時に止まれば、水槽には大惨事が訪れることは明白です。
とりわけ止めてはいけないのは、フィルター(硝化)とエアレーション(酸素の取り込み)。
フィルターが止まれば硝化が進まず、水槽は猛毒であるアンモニアが溢れ始めます。
また、硝化細菌自体も通水がされないことで、徐々に酸素不足になりじわじわと死滅します。
酸素と言えば、エアレーションも気を付けたい点です。
酸素は魚の他に、硝化細菌や水草も必要としているからです。
光合成の進まない夜間は、ライト点灯時よりも消費酸素量が多く、酸欠まっしぐらとなります。
そんな、停電がやって来る。
大切なフィルターとエアレーション。
どう乗り越えればいいのでしょうか?
※詳細は後述しますが、今回の記事では、季節的な理由で停電時の保温(ヒーター)については、除外して話を進めていきます。あしからず。
今回はポータブル電源を利用することにした理由
乾電池式のエアポンプで一石二鳥
一番オーソドックスなのが、釣り用の乾電池式エアポンプを利用することです。
振動や騒音などはアクアリウム用よりも劣りますが、電池さえあれば停電時でも難なく稼働してくれます。
これを見越して、普段からエアポンプで動くろ過装置をサブフィルターとして利用しておけば、水槽の防災対策の1つとなります。
具体的には、スポンジフィルターや投げ込み式フィルターをろ過の補助として平時は利用し、停電時には乾電池式のエアポンプと組み合わせてメインフィルターとするのです。
このように利用していれば、硝化細菌がびっしりついています。緊急時でもろ材の容量にもよりますが、どうにかろ過を続けられるのです。
また、エアポンプを利用するろ過システムのほとんどはエアレーションも兼ねています。
硝化と溶存酸素量。
先にも述べたこの大切な2つを、乾電池式のエアポンプで賄えます。
しかしそれは、あくまで水槽内の話。
ろ過と酸素の問題は、まだ他にもあるのです。
ろ過細菌も酸素を使う
次なる問題はろ材です。
停電時は、どのようなろ過システムでも、フィルターケースやパイプなどへの通水が停止し、ろ過も停止します。
この時、注意したいのがろ材への酸素の供給方法です。
ろ材には硝化細菌が付いています。
彼らは好気的な生き物ですので、生命活動を続けていくうえで、魚と同じように酸素を使います。
酸欠となれば生きていけません。
たくさん死滅すれば、たとえ停電が完了し通水し始めたとしても、アンモニアや亜硝酸が検出される事態になりえます。
停電後もろ材を使うために
ここで、問題となるのが外部フィルターです。
先にも述べた通り、エアポンプで動くろ過装置は電池式の物へと交換すれば、問題にはなりません。
また、上部フィルターは自然に水が流れ落ち、さらに元来ろ材が酸素と接触しやすい構造となっています。時折手で飼育水を汲んで通水させおけば、こちらも問題にはなりづらいフィルターです。
しかし、外部フィルターは話が別です。
このフィルターは小さなバケツ状のケース内にろ材を入れ、フタで密閉した上で強力なポンプで通水させる仕組みとなっています。
たくさんのろ材をまとめてろ過するには、大変適している仕組みですが、ポンプが止まれば水も止まります。
水槽器具の最下層に位置するこのフィルターからは、上部式とは違い自然と水が抜け落ちるようなことはなく、止水域となります。
結果、小さなバケツの中は酸欠状態意に陥ります。
具体的には外部フィルターが停止して30分後には、少しずつ酸素が減り始めると言われています。
酸欠の危険性は上のパートでも述べた通りです。
これを回避するためにも、30分以上の停電時は外部フィルターのケースからろ材コンテナごと取り出すことをお勧めします。
そして、取り出したろ材コンテナは……
- バケツの中でで飼育水に沈め、エアレーションを掛ける
- たらいの上に出し、乾燥しないよう時々飼育水で霧吹きする
どちらかの方法で対処しましょう。
1は確実に硝化細菌をダメージなく保てますが、停電時には電池式のエアポンプが必須となります。こちらは、ろ材清掃時などでも活用できる方法です。
2は多少のダメージがありますが、道具が少ないのが利点です。
こちらは、引っ越し時に利用できる方法です。
硝化細菌は乾燥にも強いため、大きなダメージにはなりづらいのです。
それでも2は、大なり小なりバクテリアにダメージがある方法ですので、自己の責任のもと実施してください。
では、今回の停電を乗り切る方法は? といいますと……
ポタ電なら難しいこと考えなくてヨシッ!
と、ここまで説明しておいて話の方向性を変えるのは恐縮なのですが、今回は――
③、ポータブル電源を利用する
そう! やっとタイトル通りのお話となります。
アウトドアもわたしの趣味の一つ。
これさえあれば、屋外で扇風機が回せるという点もありますが、何よりも操作が簡単で、アクアな知識への理解度が低くても、停電を乗り越えられるのが魅力です。
アクアリウムを初めて十数年。
色々な危機対処は学んできたつもりですが、やはりいつもの機器を使えることに越したことはありません。
また、停電は突然やってきます。
思い出す知識が少ない方が、操作が簡単な方が、注意点が少ない方が、大きな失敗も起こりづらいのです。
その点、ポータブル電源なら願ったりかなったり。
わたしなりの一つの結論です。
ポタ電を購入するにあたり……
水槽器具の消費電力とバッテリーの容量
さて、ポータブル電源を選ぶうえで、調べるべきは消費電力。
まず、現在利用している器具の電力(W)を調べてみました。
- ヒーター 100W
- ライト 19.6W
- フィルター 5W/8W(50Hz/60Hz)
- エアポンプ 2.8W/2.3W(50Hz/60Hz)
- 電磁弁 0.4W
全てが稼働したとして約120W
もし、これを2時間連続稼働させるには240Wh(電力時間)が必要となります。
が、実際には「電力×時間=電力時間」分のバッテリーの容量では、不足することがあります。
それは、電力変換の際にロスを勘案する必要があるからです。
いままでの話を式にすると、↓のようになります。
h(時間)=Wh(電力時間)×0.8(変換ロス) ÷ W(消費電力)
上の式に消費電力(120W)、停電時間(2h)を代入して計算すると……
2=0.8Wh÷120
Wh=240÷0.8
Wh=300
というわけで、もし120Wの水槽を2時間動かし続けるには、300Whの容量をもつポータブル電源が必要ということになります。
また、ポタ電源の
最大電力
というモノにも注意が必要です。
例えば、最大電力200Wの物では、それより上の消費電力を持つ器具を利用することはできません。
容量ばかり目が行ってしまいますが、大きな水槽やメタルハライドランプを利用した水草水槽などは、これに引っ掛かりやすくなりますのでご注意ください。
もっとも、
停電中にライトを付けるのか?
と言われますと……
(次の話に続きます。)
現実的には……
いままでの話から、水槽が大きくなる(=ヒーターが大きくなる)ほどに、もしくは使用時間が長くなるほどに、より大容量かつ最大電力が大きな物が必要となることがわかります。
そして悪いことに、ポータブル電源は大きくなるほどに高額となります。
最大級の物は、金額が一桁違います。
……が、2時間の停電で、そのようなものは用意しづらいです。
幸いなことに作業日は、秋と言ってもまだまだ厚い9月。記事を書いている時点で最高気温は28℃最低気温は23℃程度。
この気温ならば、ヒーターなしでも水温は大きく下がることはありません。
そのため、停電時は電気喰い虫を停止させておくことにしました。
また、作業時間帯は深夜。
今回はライトとCO2添加用の電磁弁は、停電中はおやすみです。
結局今回の停電では、魚の生命線たるフィルターとエアレーションのみ使用することになりました。
これなら消費電力はおおよそ10W。当初の見積もりの1/10です。
必要とする消費電力が少ないので、安価なポタ電でも長時間稼働できそうです。
というわけで、バッテリー容量(Wh)を計算し直してさっそく購入しました!
我が家にもJackeryがやってきた!
有名メーカーを選んだ理由
今回はレビュー記事でもなければ、宣伝でもありませんので、サササッと紹介しておきます。
購入したのはジャクリの容量240wh/最大電力200Wのもの。
他社製品より割高でしたが、キャンプ場でよく目にするメーカーでしたので選びました。
正直、普段利用するならまだしも、このバッテリーは緊急時や非常時に利用する物ですので、認知度の低い物はたとえ安くても、レビューが少ないため怖くて手が出せませんでした。
必要な時にいざ取り出してみたら、使えなかった……なんてことがあっては困りもですからね。
開封
というわけで、届いた箱を開けていきましょう!
TVCMもされている割高な商品なだけあって、外側の段ボール箱ですらこの気合の入りよう。
これを開けると、高級感漂う白を基調に、コーポレートカラーのオレンジを配色した内箱がお目見えします。
パカッ! ↓
パカッ!! ↓
さらに開封すると、ジャクリとでかでかと記された袋が出てきました。
こちらにはコード類が入っています。中身は家庭用電源(コンセント)用とシガーソケット用の充電コードです。
黒色の袋を取り出すと今度はオレンジの封筒。
中身は、取扱説明書とジャクリーのシール。
……なかなかの気合が入った梱包です。
もしかしたら、その分価格に――ゲフンゲフン。
しかし、多くの人の好みに沿うのは事実でしょう。
これを取り出すと、やっと件の御本体がお目見えです。
ここで、各ポートを紹介しておきましょう。
オレンジのジャクリと記された、上段中央消費電力や充電状況を示す液晶ディスプレイ。
その上段左側には、液晶のバックライトを付けるボタンが、上段右側にはシガーソケット(出力用)が配されています。
さらに下段、中央部にはUSBポートが2つ、下段左側には充電用ポート、下段右側にはコンセント(60Hz)が設けられています。
また、コンセントとUSBポートには、ON/OFFスイッチがそれぞれに付属しています。
とまぁ、これ以上アレコレと書くとレビュー記事になってしまいますので、このくらいにしておきます。
ポタ電で停電を乗り越える
まずは充電
それでは、充電を始めましょう!
まずは、専用のコードを入力ポートへ。
コンセントと接続すると、入力ポート上部にあるランプが青色に光、電気を受け付けていることを示してくれます。
この状態となると、ディスプレイに現在の残量と入力電力が表示されます。
せっかくなので液晶のバックライトを点灯させてパシャリ!
60Wで充電中、残量は43%となっています。
その3時間後……
めでたく残量が100%となりました。
USBポートからのモバイルバッテリーと違い60Wでの充電です。
たかだが240whのモデルでは数時間で満タンになるようです。早くて便利!
最後に念のため、フィルターをポタ電で動かします。
エーハイム2222のプラグをぐさり。
消費電力10Wのようです。
肝心の水槽は……
滞りなく水が出続けているようです。
そして停電当日
深夜に目覚ましを掛けて、一度就寝。
けたたましくなり続けるスマホにおこされ目を覚ましました。
停電10分前のようです。
慌ただしく、ポタ電の準備。
三角のタップを付けて、そこへさらにフィルターとエアポンプを取り付けます。
そして、おもむろに通電ボタンをon! 消費電力は12Wのようです。
たったこれだけで停電対策となるのですから、やはり便利な道具です。
これから起こるのは、灯りも消えた深夜の停電。
開始と終了がわかりづらいので、すぐにわかるように、普段は付けない常夜灯を付けることにしました。
これが消えれば、変電設備の交換作業が始まったというワケです。
その数十秒後にライトは消え、あたり一帯は漆黒の空間が広がります。
開始時刻ぴったりに変電設備の交換が始まりまったのです。
外からは男性の物と思われる太いヒソヒソ声が3つ。ときおり聞こえる工具が手から滑り落ちる音。
2時間後の終了予定時刻目指して懸命に作業しているようです。
そんな彼らには申し訳ないですが、こちらは、停電終了予定時間に目覚ましを設定して、再び床に就くことにしました。
停電終了。バッテリーの残量は?
バン! とドアを閉める音で意識が戻りました。
まぶたをゆっくりと開けると、消えたはずの灯りが点いています。
その直後、けたたましくエンジン始動の雄たけびを上げて、トラックが走り去っていきました。
薄暗い室内と寝起きで、なおエンジンのかからない頭。 スマホを手繰り寄せて時間をみると、作業はおよそ45分で終わったようです。
あっ! 肝心の水槽は……!?
――フィルターとエアレーションはいつもの音を出しながら稼働し続けいていました。
そのバッテリーの残量は96%。
コンセントへ挿し直し、これにて今回の停電は全て終了。
安堵の内に再び眠りにつきました。
いつもの器具をコンセントに挿して、電源を入れるだけで停電を乗り越えられたのです。
短時間の停電なら十分あてになる
この便利さは想像以上のものがあります。
たしかに、大規模災害などで長期停電に陥った時には、ポータブル電源の充電方法や太陽電池の効率など不安な点もあります。
また、冬季や極寒地ではヒーターを賄えるほどの大容量の物は、大枚はたかなくてはなりません。
しかし、たかが2時間の停電。されど2時間の停電。
こんなに簡単に乗り越えられるのなら、持っておいて損はない道具だと言えそうです。
というわけで、今回の話はここまで。
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