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2023年10月17日火曜日

単子葉類的美とハイグロフィラの強さテンプルプラント・ナローリーフ

美しく強く簡単なテンプルプラント・ナローリーフ

水温計とのにらめっこの日々もまた来年。朝晩は冷え込み、すっかり季節は秋になりましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか?
どうもこんにちは、ごん太です。
さて、今回はいつぞやセキショウモと一緒に植えたテンプルプラント・ナローリーフについてお話したいと思います。

過去記事を見てみると育て始めたのは2023年7月でそろそろ3か月目。だんだんと性質も分かりはじめ、話のネタもたまってきたので、この水草の特徴について紹介していきたいと思います。



テンプルプラント ナローリーフを紹介してみる

まずは、テンプルプラント ナローリーフとはどんな水草ぞや? という話を大まかに説明しておきたいと思います。
テンプルプラント・ナローリーフの大きな特徴の1つとして、まるで日本刀のごとく細長く美しい葉があげられます。一見、単子葉類のような針形もしくは線形な葉を有していますが、こちらはハイグロフィラの仲間。学名もHygrophila corymbosa “angustifolia”となっています。
そのため、双子葉類でいわゆる有茎草と呼ばれる水草で、単子葉類にありがちな「根元から新芽が次々に生えてくる、ランナーが伸びて子株が生まれる」というようなの特徴は有していません。差し戻し(挿し戻し・切り戻し)やピンチカットが可能な、
いたって普通の有茎草となっています。
なお、ハイグロフィラの仲間であるため、旺盛な生長が売りで草高が30cm以上となり、どちらかといえば後景草向きな水草であるという側面を持っています。

テンプルプラント・ナローリーフ

一通り簡単に述べたところで、次パートよりテンプルプラント・ナローリーフのより詳しい特徴を以下に紹介していきたいと思います。



ソイルとCO2さえあれば栽培簡単

ハイグロフィラらしく、その栽培は容易です。
多少の硬度もなんのその。ソイルさえ使っていれば悩むことなくグングンと伸びていきます。
しかし、そもそもソイルを使えない水槽もあるでしょうから、マツモなどの金魚藻やウィローモスと比べれば、多少なりとも難しいと言えるでしょう。
なお、我が家では水質調整剤なしソイルを入れただけ水質=KH3、GH4、pH6付近かつCO2添加あり(1滴/3秒)な環境で栽培していますが、次から次へと新しい葉が生まれています。

テンプルプラント・ナローリーフのある水槽

まさしく、「ソイルを使っているのに水草育たない!」と悩めるアクアリストの救世主なのです。



トリミングで簡単に増やせる

差し戻し&ピンチカットOK。
見た目はバリスネリアな感じ満載ですが、あくまでもハイグロフィラの仲間で、双子葉類のいわゆる有茎草です。トリミングの際、茎頂を上から7~8cmのところでカットして、その茎をソイルに刺せば1~2週間程度で根生え1つの株となります。さらに、茎頂をカットされたものをそのまま残しておけば脇芽が出ますので、倍々ゲームで増やせます。
ランナーが伸びて、子株が出て……と生長の過程を待つ必要はなく、茎が伸び葉が広がり次第トリミングを繰り返せば、
破竹の勢いで増やせる強烈な生命力をもつ水草です。
さすがのハイグロフィラ“様”だと言えるでしょう。



強い生命力でトラブル発生後の挽回は容易

トラブルに強い水草です。
差し戻しOK、ピンチカットOK、おまけに生長が早いからです。
葉一枚ぐらいなら葉柄からカットしてもなんのその。たとえ下葉にびっちりコケがついてしまっても、茎頂さえ無事ならまだ挽回可能です。
多少草姿が悪くなりますが、頂点から4~5枚のみ残し調子の悪い下葉を全てカット。それでも勢いを崩すことはありません。もちろん、その部分を差し戻し&コケた部分は根ごと引っこ抜いて捨てるのもあり。
このように、素早い生長と各組織から柔軟に根・葉・茎へと分化するため、トリミングを主軸としたコケ対策が非常に容易です。
トラブルにも強いなんてスゴイ水草だZE!!



見た目はバリスネリアだが扱いは極めてイージー

輪郭鋭い葉とスリムな草姿。まるでバリスネリアです。

テンプルプラント・ナローリーフはセキショウモに紛れるとなかなかわかりづらほどに、単子葉類的な葉を持っている

↑の写真の中にセキショウモの中にテンプルプラントが紛れ混んでいます
見つけられるかな?

紛れ込んだテンプルプラント・ナローリーフは水槽右側

そんなバリスネリアやヘアーグラスを含むいくつかの単子葉類の水草は、根が本体とも言えるものが多く、それらを増やすコツはこのランナーと子株をケアに注力することにかかっています。が、コレってなかなか有茎草では味わえない体験。どこまで手を出していいのやら、悩む場面もあるでしょう。
対して、テンプルプラント・ナローリーフなら取り扱いは極めてイージー。
単子葉類のような細い葉を有しているのにもかかわらず、その正体は有茎草。さらに生命力もありトリミングも自在です。まさしくハイグロフィラ・ポリスペルマ感が強い、というより「さすがハイグロフィラの仲間!」と言い切れるほどのタフネス。
力強さと美しさが同居した稀有な水草と言えるでしょう。



すぐ根を張り、さらに移植しやすい

中・後景限定となりますがレイアウトに柔軟性のある水草です。
ランナーも子株もありませんから、根を抜いても他の株が芋づる式に抜けるトラブルは皆無。移動に悩むこともなければ、煩わしい思いをすることもありません。
さらに、ピンチカットと差し戻しもできます。移動した先でもすぐに根付き、調子を崩すことはほとんどありません。万が一コケてしまっても茎頂部さえ元気なら、↑で述べた通りまだまだ挽回は可能です。
テンプルプラント・ナローリーフは、栽培が簡単で、トリミングもしやすく、結果レイアウトにも使いやすい。
悩める水草アクアリストのために存在するような植物なのです。



気になる点も

ここまで褒めちぎってきましたが、いくつか気になる点もありますので記しておきたいと思います。


有茎草ゆえに

株の根元側の葉が痛みやすい水草です。
変色しやすく、コケが生えやすいのです。
これは頂芽優勢という、栄養を茎頂に優先して分配する傾向が強いためです。ほとんどの植物にとって日光は光合成を回すためのエネルギー源です。背が高ければ他者よりも有利に光を得られるため、草高こそ生き抜く武器となります。そのため茎頂付近は生存競争の最前線。栄養をいっぱい回し、たくさん分裂させて大きくなり、自分は有利な位置で光を受け取ろうとするのです。
しかし、これは逆を言えば、下側の葉には栄養をそれほど送られないということを意味します。脇芽はでることもなく、下葉が痛み黄変。さらに調子を崩せば免疫力が落ちコケまみれ。よろしくない結果につながります。言い換えれば、水景下層を汚しやすい性質を有しているとも言えます。
やはりテンプルプラント・ナローリーフは、後景草らしく足元は他の前景草などで隠すべき水草。
持ち前の華奢で美しい葉を生かすために、なんとかして汚れやすい根元付近を隠したいとことろです。
とは言え、そもそも綺麗な草姿を持つ水草です。下葉がいつまでも美しく維持できるほどの水質管理・肥料管理の腕前があれば前面に出してもなんら違和感は感じないでしょう。



草高大きめ

葉一枚の長さは20cm程度。
これだけなら水槽内に収まるかもしれません。しかし、有茎草であるため「茎」があります。良く生長し伸びれば、押し出されるように水面まで届いてしまうでしょう。
我が家の株は、優に草高30cmオーバー。
対して水槽は45cm規格水槽ですから、セキショウモとそろって、細長い葉が水面を占領しています。

セキショウモとテンプルプラント・ナローリーフが我が家の水槽天面をふさぐ

もちろん、葉が伸びるとトリミングすれば良いだけですから、その管理は簡単な部類に入ります。しかし、「いやいや私はこの凛とした草姿を全て水槽に収めたいんだ!」という方はそのサイズを選ぶところから始めなくてはなりませんので、要注意といえるでしょう。



影が問題?

水面を独占するため、直下の水草に影ができます。
占領されるまでの期間は、トリミング後1~2週間水面です。もしそこに、高光量を要する前景草が植わっていたら目も当てられません。しかし幸いなことに、トリミングしやすい部類です。邪魔な葉はカットして撤去、茎が伸びすぎたら茎頂部ごと差し戻して草高を低くしましょう。
適宜メンテナンスさえできれば、大きな影響にはなりづらい水草です。
ランナーや子株で知らぬ間にあれよあれよと増えるセキショウモと比べると、レイアウトにはそれほど気を使わなくても大丈夫でしょう。
御しやすい部類の植物と言えます。



まとめ

単子葉類のような姿をしていますが、ランナーや子株を持たない有茎草。
旺盛な成長力とトリミングの融通の利きやすさから、ハイグロフィラの仲間である通りの栽培しやすい水草です。
確かに草高は大きくなるものの、水草の基本的なメンテナンスを知っていれば、癖がなく使いやすい植物で、有茎草栽培初心者には是非ともおすすめな品種となっています。

というわけで、今回はここまで。
長文読んでいただき、ありがとうございました。



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