和テイストに虜!? 伸びすぎるゆえに注意したい水草
テレビはしきりに「今年は異常気象」と訴えていますが、桜の葉が落ちはじめてほのかに秋の気配が漂い始めています今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回はセキショウモのお話。
思い返せば、初めて導入したのは2017年のこと。失敗の連続でした。
根にオモリを巻いて生長を妨げてみたり、うまくいき始めたかと思えばスネール対策で炭酸水に浸け込んで枯らしてみたり。
ほろ苦い思い出があります。
あれから、6年ぶり再会。
リベンジを誓った栽培もなんとか軌道に乗ったので、いままでの経験をもとにセキショウモを紹介していこうと思います。
セキショウモはどこの国の水草?
漢字で石菖藻と書くように、
国内の河川、水路、遊水地などの淡水域に自生している、トチカガミ科セキショウモ属に含まれる単子葉類の水草です。
これは言い換えれば、日本の水とは相性のいい水草とも言えます。何かと水質で悩みがちな水草アクアリウムにおいて、
セキショウモは比較的簡単に栽培できる一因となっています。
なお学名は、「Vallisneria asiatica」の通りバリスネリアの仲間となっています。
自生地と分類に軽く触れたところで、以下よりセキショウモの特徴を述べつつ、おすすめできる点、気を付けたい点を紹介していきたいと思います。
セキショウモがおすすめな理由
生長力がありトラブルが起きても挽回しやすい
セキショウモは水に適応さえすれば、生長が非常に旺盛な水草です。
青々とした葉は天高く伸び、根元からは次々に新芽が生まれ、さらにランナーが這うように出して子株を増やす。
どちらかといえばトリミングで忙しくなる部類の水草です。
こうのように書けば、若干面倒な水草なように思えてしまいますが、言いかえれば良好な状態をキープしやすいともいえます。
そのため、コケも付きづらく、もしついてしまってもトリミングで対処しやすい水草となっています。多少葉を落としてしまっても、力強い生長であっという間に葉が増えて、次回の水替えまでには再び青々とした葉が生い茂ているというワケです。
生命力の満ちあふれた植物です。
水質のストライクゾーンが広い
セキショウモは、冒頭でも述べたとおり日本に自生している水草です。
そのため、ソイルさえ用いれば、健康な状態で育成できるストライクゾーンを作りやすく、軟水だ硬水だと悩むことはありません。
現在我が家の水質は、水質調整剤なしソイルを入れただけの
GH4、KH3、CO2添加あり(1適/3秒)
の条件で栽培できています。
また、一応にも言及しておきますが、CO2なしでも育成できるようです。なお、わたしの環境では他の水草があるため試せておりません。あしからず。
根元が〝いつまでも〟きれい
セキショウモは根元が生命線ともいえる植物です
根元から新芽とランナー、さらにそこから子株を出すからです
これはヘアーグラスやエキノドルスなど単子葉類の水草によく見られる特徴です。
同じく育成が簡単な後背草であるハイグロフィラなどと違い、大きく生長しても足元がいつまでも綺麗で、これは頂芽優勢の傾向が強すぎないゆえの利点です。
もちろん、そのために水面に浮かぶ葉の頂部付近は緑コケに浸食されやすくはあります。
しかし、目に入りやすい根元はいつまでも健康。
そのため、後景草だからと足元を隠す必要はなく、水景を彩りに使いやすい水草です。
葉が細く綺麗
葉が幅1cm程度で長い刀のように伸びていく、スラリとした華奢な草姿。
わたしたち日本人のDNAに深く刻まれているその姿は、アクアリウムを知らない人なら水草といえばコレデショとうなづいてしまうほどのオーソドックスなスタイルです。
そのような和風な美を持っており、さらに根元がコケづらい特徴や子株を生みつつ密生となりやすいため、
さながら竹林のような水景を生み出します。
なにかと洋風庭園調となりやすい水草アクアですが、セキショウモと景石を利用して和テイストにするものありかもしれません。
比較的廉価
セキショウモは廉価に販売されていることがよくあります。
今まで述べた通りの特徴もあるため、是非とも初心者に栽培してほしい「安い、早い、簡単」な水草です。
植物栽培の基本である、育てる楽しみを実感しましょう!
栽培の上で気になる点
でかい
気になるのは葉の長さ。
その大きさ50cm以上。環境によってはさらに大きくなるようです。
おそらく並みの水槽では、ピンと張った状態で草姿全体を水槽に収めることは不可能でしょう。
たしかに体は華奢で可憐な見た目ですが、長い身長がなかなかのクセ者でトラブルの元になることもあります。
水面を独占! ご利用は計画的に
葉の直下がうっすらと影になります。
つまりは、レイアウトに制約を受けます。
水面に届いた葉はそのまま空中に向かって伸びればいいのですが、しなやかなテープ状であるこの葉は、天に向かうことなく水平に折れ曲がります。結果、水槽上部を独占。
そのため、直下の水草光量不足となりやすく、工夫や配慮が必要となります。
例えば影の下は陰性植物を植える、もしくは伸びきった葉は定期的に切ってしまうなど、レイアウトやメンテナンスに計画性が求められることになるでしょう。
掃除中にうっかりで抜いてしまうことも
手に張り付くほどの、しなやかで扁平な長い葉。
しかし意外にもその根張りは弱く、親から伸びるランナーをたどって子株まで、簡単に掘り返せてしまうほどです。
そのため、掃除中は注意しなくてはなりません。
長い葉がべったりと腕に張り付くと、
その表面張力は人間が意識する以上に強い力がかかるようで、
ずるずると芋づる式にセキショウモが掘り返されることがあるからです。
急いでいても面倒でも手に張り付いた葉は、丁寧に一枚一枚剥がしましょう。
差し戻しでは増えないからこそ、植え付け時は大切に
以前も記しましたが、導入時は若干弱い傾向があるようです。
やはり、子株で生長・水質に適応していく水草であるためか、どこからでも根を生やしモリモリ増えていく有茎草に比べて、このような弱いようなのです。
過去にはオモリを巻いて失敗、水質がなかなか合わなずに親株がコケてしまったりと、散々な結果となったこともありますが、こうなってしまうと再起は難しいものがあります。
有茎草なら綺麗な頂芽のみ差し戻し、もしくは水に浮かべて復活にかけることもできますから、これは単子葉類ならではの厳しい点とも言えます。
(こんな風に、オモリはランナーに取り付けるましょう!!)
……しかし、これも当時の記事に書いたことですが、
基本的には強い水草。
とりわけ、子株をいっぱい出して、水に適合し始めたらとにかく強い。子株がグングン生長して孫を、孫がひ孫を……、あれよあれよという間にソイル底床を浸食していきます。
それまではがまんがまん、大切に大切に。
2週間もあれば、適応も済むはずです。
続々と子株が!
「めっちゃ増えるぅ~~!」
嬉しい悲鳴を上げることが実に多い水草ですが、逆を言えば、瞬く間に増えすぎてレイアウトが崩れてしまうこともあります。
脆弱な側面もありますが、上でも述べた通り生長モードにスイッチが入るとどんどんランナーを伸ばし、子孫を作ります。これこそ、この水草のもっとも難しいところ。
成長力旺盛でコケに強い。さらにランナーを伸ばすとなれば、
植栽した場所からグイグイと支配地域を広げ、他の水草の生長を阻害してしまうことも。
直接のコンタクトなしでも、長い葉は影を作り出すため、間接的に悪影響を与えてしまう可能性もあります。
幸い、根張りは弱いので適宜植えなおしてあげましょう
酸性に弱いので……
スネール対策で炭酸水につけたところ、強く効きすぎて葉がドロドロに溶けてしまったことがあります。
ともすれば、それは同じく酸性の木酢液などの薬剤が、コケ対策で使えないことになります。
となれば、コケ駆除はトリミングメイン。
ここが難しいと感じる点です。
なるべく、セキショウモの生長スピード>コケの生長スピードにして、コケた部分を切り落としても、次々と新芽が出るくらいに調子よく栽培したいものです。
とはいえ、その条件は緩く簡単な水草なので、はじめは難しいと感じても軌道に乗れば、次第に気にもならなくなるはずです。
まとめ
ハイグロフィラなどと比べると、導入時若干弱い傾向がありますが、水に適応してしまえば生長スピードはかなりのもの。
グングン高く伸びる葉、続々生まれ出るランナー、たさいかにレイアウトで悩むこともありますが、嬉しい悲鳴をあげてしまうでしょう。
そしてなにより
綺麗なのに、こんなに強いの?
と思えてしまうその姿。
the水草な和風な趣をもつその草姿に見とれてしまうこと間違いないでしょう。
というわけで今回はここまで。
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