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2024年3月27日水曜日

水草水槽で油膜が出るのを知らなかったあの頃:油膜の原因と対策

どんな水槽でも油膜は出る時は出る!【前編】


1. 水草水槽は油膜が気になる。

この記事は文章メインの前後編。ほぼ「読み物」となります。
さて、これは今から、15年以上前の話となります。


(1)そしてヤツラらがやってきた

初めての陽性植物。買ったばかりのCO2ボンベ、パレングラスにカウンターをセットして、底には流行りのADAのアマゾニア。そしてテトラのイニシャルスティックに鉄分肥料。
よし! 道具は全て揃えた。

まだ、通販でアクアリウムグッズを買うなんて信じられなかった時代。国道沿いの今はなき有名店でいくばくかの水草を購入し、大急ぎで帰宅し手早く植栽し終えます。夢はヘアーグラスの大草原。それがいかに難儀なことであろうとは全く知らず……。
フフフン、ソイルの濁りが取れた明日の朝が楽しみだ!

そして、奴らはやってきたのです。
(黒ひげではありません)


(2)水草水槽なのになんで油膜が出るんだい?

今回の話はタイトルの通り油膜のお話。

当時のわたしは、プレコ水槽しかしらない水草超初心者。そこに、虹色に鈍く輝くドロリとした膜が一夜にして覆いつくしたのです。
スマホやタブレットなどはなく、インターネットはデスクトップPCでオタクがやるものと決めつけられていた大昔、ネットの情報など数えるほどしかありません。なんとか調べてみても「フィルターの不調」と書いてあるばかり。

でもこれ水草水槽だよ? 生態もほとんど入っていないし。
どうして、ろ過の不調になるのさっ?

水槽の表面張力
あっ!油膜!? ではなく、こちらはただの表面張力


2. 油膜の原因とその影響

さて、油膜の原因とその影響には、どのようなものがあるのでしょうか?


(1)油膜の原因となる3つのパターン

一般的に原因だと考えられているのが、フィルター内でろ過を担う硝化細菌の不調です。

例えば、水槽の新規立ち上げで生物ろ過そのものができていない状況や、ろ材を清掃しすぎてダメージを与えてしまった場合。さらには、春から夏に起きる急激な気温の変化などで一時的な不調になってしまった時など。とにもかくにも、ろ過細菌が不安定な時に発生します。

が、そればかりが原因でないこともあります。
過剰な量の給餌や汚れが出やすい生の餌、はたまた何らかの有機物の残存や過密飼育による汚物の蓄積など、水質が悪化しているときに油膜がでます。こちらのパターンは、ろ過の需要と供給のバランスが崩れているときに起こる現象とも言えるでしょう。

では、水草水槽では……?
冒頭でも書いた通り、このような水槽では、フィルターのトラブルはほとんどありません。その点、前2つのパターンと違います。
その原因は、CO2や鉄分を含む肥料です。また、水草水槽ならではの特徴、エアレーションを利用しづらく、天高く水草や浮草に邪魔され、水面が撹拌されにくいという理由も、油膜が出る要因の1つです。

そのため、水草水槽において油膜は頻発する傾向にあると言えます。
もちろん、ろ過細菌が不安定な場合や需要と供給のバランスが崩れた時にも起きますが、基本的には生体メインの水槽の物とは、原因が別の物であると心得ておいた方がよさそうです。



(2)油膜による影響とは?

そんな油膜による悪影響とは、どのようなものなのでしょうか?

アクアリストが思っている以上に、タンク内のみなもは重要な役割をしています。水の表面と接する空気は、絶えず拡散作用によりCO2やO2をやりとりしており、あたかも人間の肺のような機能を有しています。

例えば、排水などで波打たせ表面積を増やせば、拡散の効果もアップとなることを意味します。
しかし、もし、ここが分厚い油の膜で覆われていれば、拡散作用が阻害され水槽内の酸素が不足し二酸化炭素が貯留気味となるのです。
とりわけ、溶存酸素量が低下しやすい夏や二酸化炭素添加後の真夜中などは、酸欠やCO2中毒に見舞われる可能性はゼロではありません。

やはり、たかが油膜と侮ってはならないのです。
とはいえ、正しく対処していれば大きな問題にはなりにくく、対処自体も容易であるのが、この油膜というトラブルの特徴でもあります。

水槽と表面張力
いくら、水草のためCO2添加しているプレコ水槽でも、毎日エアレーションをしていれば油膜など出るはずもなく……。


3. 原因を正し、油膜に対処する

では、油膜の解消方法にはどのような方法があるのでしょうか?
大きく2つの方法があります。原因療法と対症療法です。


(1)原因療法

なるべくなら、まずは原因療法を試すのがお勧めです。つまり給餌量を減らしたり、フィルターを追加してろ過の性能を上げる。さらに、生の餌や食べ残しを除去するため、数日に1回は定期的な底床掃除もするべきです。

しかし、それが通用するのは生体メインの水槽です。水草水槽ではCO2や肥料は止められません。原因を根本的に解決できないとなれば、対症療法の出番です。



(2)対症療法

まず、挙げておきたいのが器具を用いた方法です。

その急先鋒はエアレーション。
エアポンプとエアストーンなどを利用すれば簡単に油膜を水中に落とし込め、みるみるうちに問題解決となります。そして、なによりフィルターの強化に繋がりますから原因療法ともなります。しかし、CO2が逃げてしまう欠点もあるため、水草水槽ではCO2添加中に利用できないのが痛いところ。

そんな時はサーフェススキマ―です。


エーハイム350のような淡水用油膜取り用器具で、海水用のプロテインスキマ―とは全く別の物です。

水面に浮かぶ油膜を吸い込み、強制的に水中に溶け込ませることができるのがこの道具の特徴です。昔は外部フィルターの吸水パイプに設置するタイプばかりでしたので、一部のユーザー限定なハードルの高い器具でしたが、昨今は水中モーターのみでで稼働するものもあり、誰でも利用できる道具となっています。

また、器具ばかりでなく直接吸着する方法もあります。
昔ながらの必殺技「新聞紙で吸着!」ならぬ、キッチンペーパーで直接除去する方法もあります。なお、前者は、大豆由来とは言え、印字のインクがわずかにでも溶出するリスクがあります。その点、後者は調理器具ですので、安全に利用できます。

とにもかくにも、昔から油膜はアクアリストの悩みごと。そのため、解消法もたくさんあるのです。



4. 油膜を解消する心構え


(1)原因がわからないなら器具で対処する

さて、油膜は放っておいても治るものではありません。

可能な限り原因を突き止め、そこを正すべきです。それがだめなら、すみやかに器具などを利用して対処するべきだというのが、わたしの考えです。
と言いますのは、たとえ原因が分かったとしても、餌の入れすぎなど余程端的な因果関係でない限り、根治に時間がかかることがよくあるからです。

そのため、エアレーションやスキマ―などの道具を正しくチョイスし、それらをタイマーで制御して油膜取りに自動的にあたらせる。人事を尽くして天命を待つ……、というよりは気長に待つことが大切です。



(2)成り行きに任せ、気長に待つ

え? あれだけ原因や解消法に熱弁して、最後は成行き任せだって?
そうなんです。
そんな、心構えを持つようになったのは、興味深い経験をしたからなんです。

そう、あれは15年前のあの立ち上げたばかりの水草水槽……ではなく、それから半年後、ふと立ち寄ったアクアショップでの体験です。

というわけで、今回はここまで。 後編では話を15年前に戻し、当時の話を綴っていきたいと思います。



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