その時何が起きたのか? どうすれば防げるのか?
今回も過去記事より、注意喚起として使えそうな部分を加筆修正してお届けします。
半分解説、半分読み物ですが、最後までお付き合いいただければと思います。
なお、今回登場する物品は、すべて自費で購入したものです。
スピンドルを破損は突然に
カタン!
「……え、どうして?」
とある日の午後。
足元に転がるグレーのカバーケースを尻目に、手のひらで朽ち果てたエーハイムのスピンドルを見つめ、茫然自失となった。目の前にある水中では、赤ヒレたちがこちらを覗き込んでいる。
「大丈夫か?」
とでも言っているのだろうか……。しかし、今置かれている状況を理解するのにこれで十分。わたしは慌てて物置へと向かい始めた。
さて、今回は外部フィルターの清掃の中でも、もっとも神経を使うであろうスピンドルの取り付け・取り外しについて述べていきたいと思います。エーハイムの静音性を作り出している主要部品であるこの白色の軸ですが、本体が高寿命なのとは裏腹に、その 耐衝撃性は低く 、パッキーンと折ってしまうことが多々ある取り扱い要注意のパーツとなっています。
冒頭のようにみなさんが惨事に見舞われぬよう、失敗談も合わせて紹介していきたいと思います。
壊さない取り付け方
ここでは、スピンドルを破損させない取り外し方について述べていきます。
最初に、取り外す手順を確認してましょう。
① プロペラ型のカバー(スピンドル受け)を外す
② O型のカバー(インペラーカバーケース)を外す
③ インペラをやさしく取り外す
④ スピンドルをゆっくり取り外す
具体的には……、
まずスピンドル受けを左右どちらかに回し、
↓
真上に引き抜くように取り外します。
すると、白色のセラミックシャフトがあらわになります。しかし、このままではまだインペラにアクセスできません。次いで、カバーケースに生えたつまみを手に取り、そっと取り除きます。ようやく名機の心臓部が姿を現すのです。
ここまでくれば後は簡単。磁石でモーターと引き寄せ合っているため、多少の力を要しますが、インペラをやさしく上にズラすように持ち上げれば、スルンと抜けてくれるはずです。
残されたのは、心臓が入っていた大きな穴と真ん中にスピンドル。これはゴムパーツで固定されているだけの状態ですから、最後はゆっくり真っすぐに抜き抜いて、取り外し完了となります。
以上のプロセスで大きな事故が起きることは少ないはずです。問題は、取り付けです。
しかし、手順自体はいたってシンプルで、取り外しとは逆の手順を踏むだけです。
① スピンドルをゆっくりゴムパーツに差し込む
② インペラをやさしく取りつける
③ O型のカバー(インペラーカバーケース)を取り付ける
④ プロペラ型のカバー(スピンドル受け)を取り付ける
この時、①~②ではスピンドルをラバーに差し込んだり、インペラをスピンドルに通したりと、ドキドキな作業が続きますが、実はミスが多いのは③と④。
必ず、
③O型のカバー(インペラカバーケース)
↓
④プロペラ型のカバー(スピンドル受け)
の順番に取り付けましょう。この順番を間違えると……
(次パートへ続く)
後悔先に立たず
たどり着いた物置で物色しつつ反省する、真冬の昼下がり。
2213のスピンドルがあっけなく折れてしまった理由はもうわかっていた。
インペラカバーケースをはめずに、スピンドル受けを取り付けたからだ。
だが、それが間違いだと気づいた時にはもう遅かった。絶対に壁面に触れないはずのインペラが、磁石に吸い寄せられカタン! と音を立てた時には、すでに2本となっていたからだ。こうなると、もはや直すすべはない。
思い返せば、初めての外部フィルターは2231、2213も複数年使ったが、そのあとはずっと2222ばかりだ。それは、他の二つにはない特殊な構造を持っているからだ。
なぜか、モーター部のカバーは2つのパーツからなっている。これでは必ず「順番」が発生してしまう。本来なら構造的に工夫して順番に取り付けられないようにしてほしいし、百歩譲って間違えてもすぐに戻せるようにするべきだ。
思索にふけ、ため息をつく。
「しかし、もう2回目だ」
現実は非情。順序を誤ると確実に不可逆的な悪夢が待ち受けている。
今の私にできることは、たったの二つのみ。
まずはネット通販でスピンドルの手配。通算3本目の注文をしつつ、有名なことわざを思い出す。二度あることは三度ある、と。
「おそらく4本目も必要だろう……」
幸い1本800円(当時)。道中スマホから迷わず手配をした。
だが、問題はまだ終わらない。この物品の山から、エーハイム2233を探し出して代役を務めさせなければならないのだ。幸い配管は流用できるが、ホースの長さは合わないはずだ。それに面倒なろ材の入れ替えが伴う。ろ材の量が足りるか、それとも不足するか……。
「あぁ、どれくらいの時間で終わらせられるだろうか」
箱を手に取り、物置のドアをスパンと閉じると、踵を返し水槽へと戻るのであった。
あれから
さて、この事故から7~8年はたとうとしています。随分と状況は変わり、現在は2222が主役となっています。2233が予備機、2213は予備の予備です。
確かに、静音でパーツも豊富。まさしく名機です。それなのにどうして使わないのか、スピンドルをまた折るのが怖いからです。それらは、フィルターばかりでなく水槽の心臓部。これを、自分のミスでおいそれと止めるわけにはいかないのです。
あの時買った交換用インペラをいまだにお守りのように持っています。予備機の予備機が投入される不測の事態に備えて。
というわけで、今回はここまで。
長文読んでいただきありがとうございました。
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