インペラ・スピンドル、そしてラバー。
今回は、以前故障し異音をうなるようになったエーハイム2222を修理していきたいと思います。
現在稼働中のフィルターは、代打のエーハイムエコM(2233)。インペラを交換の上、配置変更となればホースの配管も入るため、軽く見積もって30分以上。長丁場となるのが見込まれるメンテナンスを前にして、なかなかやる気が出ず、また「とある理由」もあり実行を見送っていました。
そうは言っても、ろ材にはどんどん汚れが蓄積し、流量も落ち、やがて清掃のタイミングを迎えましたので、重い腰を上げて2つまとめて解決することにしました。
当記事では、一連の作業の中でもインペラとスピンドルラバーの交換に焦点を当てて述べていきたいと思います。
なお、ここで紹介する物品は、全て自費で購入したものです。
カラカラ異音がうるさくて
今まで散々書いてきましたので、手短に経緯を述べておきます。
電気を消して床に就くと、聞こえるようになったカラカラ音。音量こそ極めて小さいものですが、古いディーゼルエンジンを想起させるもので、気になって眠れそうもありません。
さりとてプロシリーズの交換パーツは、クラシックと比べて高額であることは周知の事実です。その夜は、手早く原因を調査し、緊急時用にスタンバイしている2233に交換して、いったんは作業を終えることにしました。
かくして、睡眠を邪魔する音から解放され熟睡……となるはずだったのですが、これが思ったよりも難航し、気が付けばもう朝。結局は寝不足になってしまった、という話は以前に記したことです。
後日、交換部品の価格調査のためネット上を巡回してみたのですが、どこを見て回っても在庫切れか残り1つの表示。将来の修理すら不可能になると見込まれたので、慌てて購入することに。そして、パーツがやってきたのは前回話した通りです。
原因はパーツの損耗……だと、思う。
本当に壊れてるのか?
それでは、ここからは異音の原因である心臓部の修理となります。
まずは、パワーヘッドを外して、パシャリと写真を撮影。
初代プロシリーズのエーハイム2222には、ろ過槽で均一な水流を作り出すためか、モーター部に向かって無数のフィンが生えており、外部フィルターでは珍しい四角形と相まって独特な雰囲気を作り出しています。
このカバーを外しますと、問題のインペラがお目見えとなります。
インペラを丁寧に取り出し、次にむき出しになったスピンドルを折らぬよう優しく取り外します。最後に残ったのはスピンドルラバー。こちらは……、無事にトラブルが起きましたので、記事後半のネタにすることにします。
※ 話の都合上、問題を解決し、ラバーを取り外したところから述べていきます。
次いで、到着したパーツを開封していきましょう。
下が、組み立てた新パーツ。
異音の原因と思われるインペラを新品に照らし合わせつつ、つぶさに観察してみるのですが……どこにも傷や破損は見当たりません。 もし交換しても直らなかったら、4,000円が台無しになります。
さて、みなさんに問題です。どちらが新しい部品でしょうか?
正解は右側です。
インペラやスピンドルはほとんど劣化はありませんが、上下の端に取り付けたスピンドルラバーが少し気になるところです。とにもかくにも、そんな問題ができるくらい、両者に差はなく、先ほど浮かんだ嫌な予感が現実のものになりそうです。
開けて交換して閉める……と?
もちろん、失敗しないためにも、原因をくまなく調査してあります。稼働中にエアを抜くためにゆすってみたり、排水パイプを外してみたり、給水パイプを外してみたり、ろ材を全部取り除いてみたり。
しかし、何をやってもパワーヘッドに耳を当てればカラカラ音がするばかりで、異音は一向に止まりそうにありません。となれば、インペラもしくはスピンドルが破損・損耗していると見るのが妥当でしょう?
……いや、そのはずです。と、自分が行った推察を何度も思い返しては飲み込み、天に祈りつつも新しいインペラをセット。
さらにカバーを取り付けて……ってあれ?
これでは、前後でほとんど写真が変わりませんね!
※組み立ては冒頭から3枚目までを逆順としたものなので、写真は割愛。
実は代わり映えのない写真となりそうだったのも、なかなか交換作用と踏み出せなかった理由の1つ。いわゆる、取れ高が少ないためです。そして、幸か不幸か、作業をしてみると予想外のトラブルが起きたため、ネタには困らなくなりました。
が、まだまだ写真によるインパクトが弱いため、アクアリウム作業記事であるにもかかわらず、文章がメインとなっております。あしからず。
とにもかくにも、あとは電源を入れるばかり。
さぁ、白黒つけよう! カラカラ音よ、消えていておくれ!!
スピンドルラバー問題
ピッタリサイズは悪夢の始まり
修理結果は最後のパートに記すとして、ここではパーツ交換時に遭遇したとある問題について述べていきたいと思います。スピンドルラバーです。
このラバーは、スピンドルをパワーヘッドに取り付ける際、上下を支える台座とも言えるパーツです。問題は取り外し。下端はカバーに取り付けるため簡単に取れるのですが、上端はインペラを入れる円柱状のモーター内部の最奥にあるため、取り外しは若干苦戦することが多々あるのです。
とはいえ、ドライバーやキリで突けばポロリと取れることもありますし、時にはスピンドルが抜けるときに一緒に付いてくることもあります。このようなことが起きるのは、ラバーをはめる溝にわずかに余裕があり、水が入り込み表面張力で貼りついてしまうからです。全くもって取れないということは今まで経験したことはありません。2213や2233に限っては。
しかし、エーハイム2222は全くの別物。静音性を高めるためか、ほぼジャストフィットサイズとなっており、
ラバーを入れたら最後、ピッタリとはまり込み、
どんな道具を使っても一向に取り出せなくなります。そこに隙間は微塵もなく、金属の爪など到底入らないからです。
今回は、精密作業用の細いピンセットでつかんで取り出そうとしてみましたが、一度たりとも成功の予兆すら感じることがありませんでした。
うーん、どうしたものか。
ヒントはピンセットが弾けた音
ライトでモーター内部最奥を照らしつつ、引き続き格闘すること10分。
作業が進展するめどは依然として立ちませんでしたが、ラバーを掴み取ろうとして弾かれ、ピンセットがビンと空気を震わせたのを見て思いつきます。この復元力をうまく使えば良いのではないかと。
ラバーが取れない理由は、モーター内部奥に差し込んだ器具とうまく掴めない、つまり固定できないから。ならば逆転の発想で、外側から掴むのではなく、内側から押し当ててみてはどうか?
論より証拠。まず、2つの爪をスピンドルラバーの真ん中に空いた穴に入れてみます。すると精密作用であったためか、本来ならセラミックの棒がはまる溝にぎりぎり入ってくれました。そのまま手を離すと、ピンセットの左右の爪が元の幅に戻ろうとする力が働き、ぐいと強くはまってくれました。あとは、そのままそっと上に引くだけです。
なんとか問題は解決できたようです。
なお、わざわざ交換しなくても、実はスピンドルとインペラは交換できます。しかし、大枚はたいて購入した物ですから、気持ちよく使いたいところです。
静音すぎて惚れ直す。
さぁ、それでは電源ON! 果たして、静かに動いてくれるのか!?
全ては杞憂に終わりました。
配管や防振マットなどの騒音対策を重ねた2233がうるさく感じるほどに、20年物のフィルターは静かに稼働し始めたのです。
正直、2222に惚れ直してしまいました。故障の原因は経年による損耗だと考えられるため、パーツさえ用意できればあと10年は戦えるかもしれません。
なお、2222を今さら入手するのはやめておくべきです。なにせ終売からもうすぐ20年で、そのほとんどが中古品のはずだからです。
それらは、メーカーの保証がないのはもちろんのこと、稼働履歴、癖や調子の有無が一切不明であり、さらにパーツ交換時には多額の出費が伴うため、わたしとしては購入をおすすめできません。
そもそも外部フィルターは、もし漏水が発生すれば、サイフォンの原理で吸水パイプの水位まで水が抜ける構造となっています。惨事が起きてからでは遅いため、なるべく新品を手に入れましょう。
個人的には、60cm規格水槽用なら、安くて静音な2213がおすすめです。
というわけで、今回はここまで。
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