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2024年10月15日火曜日

パッケのソイルぜんぶ洗う。~20年前の悪夢とソイルの寿命~


過去の失敗談から学ぶソイルの寿命

今回は、ソイルは消耗品だという話をしていきたいと思います。
今や水草栽培で、なくてはならないこの底砂ですが、いかにして崩れ、軟水化能力が低下していくのか述べていきます。水草アクアリストには今さらの話であるため、どちらかといえば初心者の方向けの記事となっています。

なお、当記事は削除された過去記事より使えそうなパートを、大幅に加筆し修正したものとなっています。悪しからず。



袋の中のソイル、全部洗う。


いつの時代もリテラシーは大切

昔のソイルはすごいものがありました。ときに枯草が浮き、泥水テイストに水が濁る、突発的な大自然を生み出しアクアリストを恐怖に陥れていたのです。これはそれにまつわる20年前の失敗談です。

初めてソイルを利用してから1年後、いよいよ水草の生長に勢いがなくなり交換のタイミングを迎えます。しかし、悪夢が頭をよぎります。アマゾンのごとく茶色くなり、急激に低下した硬度で魚たちはショック状態に。わたしは右往左往し、ただ見守ることしかできませんでした。それをまたこの水槽で再現するだなんて! 同じことを繰り返すわけにはいきません。

でも、わたしも馬鹿ではありません。講義を1コマさぼり「i-mode」の掲示板でこれを避ける手立てを調べておいたのです。その方法とは、利用前には優しく水で濯ぐというもので、濁りはおろか余分な肥料分まで除去できるというもの。……今では考えられない話ですが、ネットリテラシーという言葉すら生まれていなかったその当時、真に受けたわたしは、ついにこの狂気ともいえる方法に手を出してしまったのです。



グルグル洗浄の先にあるものは?

もちろん結果は、大失敗。
何度洗ってもバケツの水が透明になるどころか、どす黒く染まり、底も見えないブラックホールとなるばかり。洗っているはずなのにどんどん色を増し、さながら黒い無洗米地獄ともいえる状況に陥ってしまったのです。今ではソイルを洗うという行為自体がご法度ですが、大磯砂しか手に取ったことがないわたしは、洗浄の手加減がまったく分かりません。米を濯ぐようにサラリサラリと手でかき回し、事態の悪化に拍車をかけていたようです。

1時間洗えど濯げど、濁りは取れるどころか増すばかり。とうとう最後は洗うのを諦め、そのまま水槽に入れ、フィルターのウールマットが濾し取ってくるのを待つという最終手段に打って出ます。
しかし、この愚かしい選択は正解だったようです。時間がたつとともに緑のバックスクリーンが見えるようになり、3日もすれば水は完全に透明。万事解決となったのです。
なお、魚を水槽に返すがてら、ウールマットの交換を実施すると、純白だったものが田んぼに落ちたような状態になっていたそうな……。

こんな笑い話が生まれるほどに、ソイルは簡単に崩れ、こげ茶色の水を生み出します。それでも私たちがソイルを選ぶのは、圧倒的に水草を栽培しやすいからなのです。

(これだけ濁っていても:コントロソイル)

(翌日にはこの通り。最近のソイルはすさまじい。)


ソイルは崩れるもの


昔にとくらべ格段によくなったソイルだが

さて、今まで述べてきた大昔の話と違い、近年のソイルは敷いた直後の濁りが出ることはほとんどなくなりました。しかし、それでも、ソイルは崩れやすいものです。

指でつまんだり、足で踏んでしまえば簡単に団粒が弾けて粉々になります。そればかりではありません。容器に入れてグルグルと激しく混ぜようものなら、粒同士が擦れて削り合い微粒子が発生することもあります。普段、砂利系底砂ばかりを使っている人からしたら、こんな柔らかい素材を使ってよいものか不安になることもあるでしょう。

実際には、正しく、優しく、丁寧に扱えさえしていれば、ソイルが崩れて水が濁ることはほぼありません。一度水底に敷いてしまえば最後、魚の力ではほとんど崩せないからです。現にわが家のブルーフィンペコルティアが尻尾でブンブンと穴を掘っていますが、これで水が茶色になることはありません。

となれば、気を付けたいのは人の手によるものです。

(ペコルティア系プレコは穴掘り名人)


メンテナンス時の扱いは要注意

注意すべきは大きく2点。
まず、水草の植え付けには専用のものでなくても構わないので、ピンセットを使うべきです。植え込む際に指が当たらず、それだけ崩れるのを防いでくれるからです。
また、清掃時にはプロホースなどの道具を利用しましょう。表面だけ優しく清掃すれば、水槽が見えないほど濁ることはないはずです。もっとも、プロホースはごりごりと底床掃除をしても、汚れが外へ排出される仕組みのため、崩れて生まれた粒子も水槽外へと運んでくれるので、水が茶色く染まることはありません。病原菌が気になる人はこちらがおすすめです。なお、モーターを利用した循環式だった場合、ちょっとした悲劇になるかもしれませのでご注意ください。

とにもかくにも、どんなに丁寧に扱っても、それでも着実に劣化は進み、やがて底に微粒子がたまるようになります。こうなると、水草を抜く際や底床の高さを均すとき、さらには流木などのアクセサリーを移動に合わせて、崩れて沈殿していた粒子が舞い上がるようになります。これがあまりにも進めば、何をするにもこげ茶色。交換のタイミングを迎えたということになるわけです。



軟水化だって無限ではない


ソイルがMg²⁺とCa²⁺を吸着するメカニズム

しかし、ソイルを交換するタイミングはそればかりではありません。軟水にする力が衰え、硬度が上がり始めても同様のことが言えそうです。

ソイルは腐植酸を含む土壌コロイドのイオン交換作用で、硬度の元となるマグネシウムイオン(Mg²⁺)やカルシウムイオン(Ca²⁺)を吸着しています。これは、軟水化以外にも肥料分を保持するメカニズムでもありますが、硬度にせよ肥料にせよソイルが溜め込む量には限りがあります。四次元ポケットではありませんので、無限に吸着することなどできないのです。

そのため必然的に寿命があり、一般的にソイルの寿命は1~2年というのが通説です。



実際の期間はどれくらいか?

では、具体的にどれぐらいでしょうか?
ここからはわたしの経験談となります。わが家においては、利用開始からおおよそ5~8ヵ月後に失われることが多いようです。もっとも、これは厚さ1~2cmに敷いたときの話ですので、一般的な厚さである3~5cmにした時は、単純計算で量が2~3倍、すなわち寿命も2~3倍になり、結果的には先に述べた通説と似たような値となります。
いずれにしても、水草栽培において硬度とpHは、CO2添加と同じく成否を分ける最重要ポイントです。テトラ テスト6in1などを用いて水質を定期的に把握しておくべきだと言えるでしょう。

ソイルは消耗品です。購入したら5年以上の長い付き合いができる砂利系底砂と違い、その寿命ははかなく短いものです。これこそ水草水槽の屋台骨だと肝に銘じ、早め早めの交換を実施したいものです。

(安価で簡単に測定でき、水質測定のすそ野を広げたはず)

というわけで、今回はここまで。長文読んでいただきありがとうございました。



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