テンプルプラントをCO₂なしで
桜咲く入学式も終わり、新しい夢をスタートさせる人も多い季節となりました。
さて、今回は、今回は1カ月間だけCO₂の無添加を試して時のお話です。
一度でも高校で生物を履修した人ならば、植物にとって二酸化炭素がどれだけ大切なものなのか、すぐに思い浮かぶはずです。それもそのはず、CO₂は光合成におけるブドウ糖の直接的な原料であり、光や水と同じく生長に直結する超が付くほどの重要な物質です。
その添加を止めれば、どのような結果を生み出すのかは見るよりも明らかです。しかし、そこに勝算を見いだしたのにはワケがあるのです。
あれ? CO₂が不要な水草ばかりかも
ここで、今我が家の水槽について軽く紹介しておくと、マツモ、ミクロソリウム・プテロプスとウェンディロフ、そしてテンプルプラントの4種類が現在栽培されています。
さて、前者3つの共通点はなんでしょうか?
それこそ、わたしが今回無茶なチャレンジをすることにした理由なのですが、 実はこれらは古くから水草アクアリストに愛されてきた水草だということです。 昔はCO₂の添加装置なんてありませんでしたし、当然ソイルもありません。専門業として営むプロは別として、CO₂なしで一般愛好家が育てられる種類はごく限られていたのです。
それらは、時代が移りCO₂添加が普及した今にちでも、極めて栽培しやすい品種として広く流通しています。そして不思議なことに、この古くから親しまれている水草たちは、たしかにミクロソリウム・プテロプスのように学名で販売されている水草もありますが、「マツモ」や「ウォーターウィステリア」、さらには「ウィローモス」などのように愛称(流通名)で呼ばれるものが非常に多いのです。
以上の話をまとめると、私論ですが、流通名がついている水草は古くから栽培されてきたものが多く、それはすなわちCO₂が効いていない水槽でも育てられる可能性があることを意味しています。マツモやウィローモスはCO₂の添加がなくても栽培できることが広く知られており、実際わたしの水槽でも数年ほどCO₂無添加で栽培したことがあります。
ここまで話した上で思い出してほしいのは、テンプルプラントという流通名です。学名こそHygrophila corymbosaという立派なものが付けられていますが、愛称がついていることが示す通り、もし古くから親しまれてきた水草なら、CO₂無添加を実現できるかもしれない! と考えたのが今回のきっかけです。
以上のように、文章化してみればそれなりの勝ち筋があるような感じですが、ほぼ思いつきな実験であるため当時は成功するとも失敗するともわからない状況でした。そのため、失敗の兆候があり次第すぐさま中止することだけを強く決め、とりあえず試してみることにしました。
まさかのキミの調子が落ちるなんて……
テンプルプラントの結果は上々でした。
いきなり話が結論にワープするのは、実は失敗する可能性が十分にある実験でしたので、写真を撮影していなかったためです。CO₂無添加でテンプルプラントに起きた影響といえば、成長スピードが低下し、葉が密になりやすい傾向があったぐらいのものです。ほぼ一貫して生長障害が見られる兆候はなく、むしろ苔が減りメンテナンスが楽になったとすら感じることもあるぐらいでした。
さすがテンプルプラント。CO₂添加普及後に初心者アクアリストの救世主として一躍スターダムに昇りつめたハイグロフィラの仲間でありながら、学名ではなく古式ゆかしき流通名で呼ばれるのには、愛されるべくして愛される天賦の才があるようです。
しかし、ここで思わぬトラブルが発生。
どうにもミクロソリウム・ウェンディロブの調子が芳しくないようなのです。症状としては、株全体が傷ついた古い葉ばかりになり、残念な草姿に遷移しつつあるようです。これは大まかにとらえれば1つ生長障害であり、その原因は生長が遅くなりすぎることで朽ちる葉と生まれる葉による新陳代謝のバランスが崩れてしまったからだと考えられます。このまま進めば株のサイズが小さくなること間違いなし、早めに手を打たなければなりません。
ここで、10年以上前の出来事を思い返すわたし。
そもそも今の水槽でCO₂添加を開始したのは、ウェンディロブの不調があったからです。どうにもこうにも、住まう地域の水質とウェンディロフの相性が悪いようなのです。当時は光量増増加に肥料投入といろいろと試してみましたがまるでダメ。プテロプスばかりどこ吹く風と巨大化する怪現象に頭を悩ませ、最終的に二酸化炭素の添加に至ったのです。となれば回復には添加が必要のようです。
結局添加を再開
というわけで、ここで実験中止。
現在は3秒で1滴に添加し、ウェンディロフの回復に努めています。木酢液による甚大なダメージから復活できるほど、強靭な生命力を持っている水草ですが、生長速度は遅い部類の水草のため、残念ながら美しい姿を取り戻すには少しばかり時間がかかりそうです。
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(現在のミクロソリウム。苔に未だ覆われている) |
以上のように、テンプルプラントよりもミクロソリウム・ウェンディロフのほうに影響が出るという予想外の結果になりましたが、無添加栽培の可否は別として、とにもかくにもCO₂添加こそ水草栽培の難易度を下げる一因だと再認識するよい機会となりました。
なお、今回のように流通名がついているからといきなりCO₂の添加をやめるようなことはせず、水草についてよく調べてからチャレンジすることをおすすめします。
というわけで今回の話はここまで。長文読んでいただきありがとうございました。
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